ろりすかコレクションvol.1

「Long Way Home」


柏木 楓(「痕」より)

16歳 高校2年生
身長154cm 3サイズ71-53-73(推定)

黒髪おかっぱの髪型に細身の体。
無口な性格もあいまって、まるで日本人形のような印象を与える少女。


  ギュルルルルルッ……
「あ……っ……」

(おトイレ、行きたい……)
 柏木楓は、かすかなうなりを発しながらシクシクと痛むおなかを抱えて、思わず立ち止まっていた。
(やっぱり、学校で行っておけばよかった……)
 授業が全部終わり、帰る前に教室の掃除をしている段階で、かなりの便意を感じていたのだった。しかし、掃除の時にゴミ捨てを頼まれ、断れずに引き受けてしまった。その仕事が終わった後教室の近くのトイレに行ったら、個室がすべて埋まっていて……。しかもそのときだけなぜか便意が引いていて、そのため家に帰るまで我慢しようと思ってしまったのである。

(学校でするのは恥ずかしいけど……でも、こんなに苦しいなんて……)
 排泄というのは人間にとって日常的な行為だが、年頃の女の子にとっては世界でもっとも恥ずかしいことの一つである。ましてや、他人がいるもっとも身近な場である学校で大便をするとなれば、その気持ちもひとしおである。
 楓が家まで我慢しようと思ったのは、ごく自然なことだった。そして、普通ならこの程度の便意は余裕で我慢できるはずだった。
 しかし……。
(おなかが急に……まだ、どんどん痛くなってる……)
 そう。彼女はただ便意をもよおしたのではなかった。
 激しい腹痛を伴う、急激な便意の高まり……それは、おなかをこわしたことによる下痢に他ならなかった。
 何か悪いものでも食べたのか、それとも精神的なものか……なにか原因はあるのだろう。だが、今の楓にはそんなことより、差し迫った便意にどう対処するかが最優先の問題だった。

(学校まで戻ろうかな……でも、もうずいぶん歩いちゃったし……)
 今いる場所は、学校から家までのほぼ中間地点。どっちに向かっても10分以上はかかるだろう。田舎ということもあって、途中に公園などの公衆トイレはなかった。空き地や畑ならいくらでもあるが……。
「んっ……」
  ギュルギュルギュルッ……
 おなかがまた嫌な音を立てた。あんまり長く考えている余裕はない。
(家まで……帰ろう……)
 決断。距離がそんなに変わらないのなら、音や臭いを他人に知られる心配のない家のトイレでする方が圧倒的に安心である。もちろん家族――姉妹が近くにいる可能性はあるが、恥ずかしさという点では小さい。
「あっ……」
 楓が小さな声を上げる。特に便意の高まりを感じたわけではない。家にいてかつ、排泄のことを知られてはまずい相手に思い当たったからだ。
(耕一さん……)
 楓のいとこで、長い大学の休みを利用してこの柏木家に来ている。内気な性格に加えとある事情があって、決して表にこそ出さないが、楓が慕ってやまない男性である。
 もし彼にこんな恥ずかしい事を知られてしまったら、もう生きていけない――。そう思いつめるほどの相手だった。そして、そんなことを真剣に考えなければいけないほど、楓の便意は切迫していた。
「どう……しよう……」
 楓は、助けを求めるかのように、迷いを口に出した。無口な彼女には、それだけでも珍しいことだった。

 だが、そんなことは何の助けにもならず……それどころか迷って無駄に過ごした時間は、さらなる便意の高まりを招いてしまった。
  ゴロゴロゴロゴロゴロッ!!
「ひっ……!」
 お尻の穴をこじ開けようと急激に押し寄せてくる何かを、必死にこらえる。もう、括約筋の力だけでは支えきれず、片手をお尻に当てて、外から押さえつけなければならなかった。
(お願い、出ないで……)
 押さえた右手に力を込める。田舎の町の片隅で繰り広げられる、少女の悲壮な戦い……。周りにそれを見る人がいなかったのは、彼女にとって幸せだったろうか。

  ギュル……ギュルルルッ!!
「うぅぅぅっ……」
 数分とも数十分とも思える時間――実際は数秒に過ぎないが――の後。
 彼女はわずかな安息を得ることになった。
「……ふぅ……」
 お尻に感じていた激しい圧迫感が急激に薄れ、そして……。
  グキュゥゥゥゥッ……
 重苦しい腸の蠕動音とは異なる、どこか滑稽な音が響いた。
(なんとか……我慢できた……)
 便意を耐え切ったことに安堵する楓。だが、このまま落ち着いてはいられない。
 さっきの音は、肛門でせき止めた便……それも液状のものが、腸内を逆流する音なのだから。それはしばしの後に、さらなる勢いをもって、彼女を襲うに違いないのである。

(は、早く……帰らなきゃ……)
 家=安全な場所。
 便意との戦いで疲労した精神は、それ以上の複雑な思考を許さなかった。
「はぁ……はぁ……」
 痛むおなかをさすりながら、家の方角へ一歩を踏み出す。
「……っ!!」
 びくっと彼女の体が震える。
 おなかに猛烈な痛み。普通に歩いただけで、今の体にはものすごい負荷がかかる。
(慎重に……少しずつ…………あぁ、でも早く……)
 一刻も早く家にたどり着きたいと切実に思い、このままでは倍近く時間がかかるだろうと感じつつも、今の状態で走ることなどできそうになかった。おなかが痛むだけならまだよくて、下手をしたらふとした衝撃で汚いものがもれてしまうかもしれない。
 楓は、ふらふらとした足取りで、普段の半分以下の速さで家への長い道のりを歩き始めた。

 それから、5分もしないうちに。
「あっ……あぁぁぁっ!!」
  ギュルルルルルッ!!
  グギュルルルルルルルッ!!
 すさまじい便意。おなかをさすっていた手をお尻に回し、前かがみになって便意を和らげる……。しかし。
「痛っ!!」
 差し込むようなおなかの痛みに、思わず手に持った学生カバンを落としてしまう。その空いてしまった左手で、おなかを撫でるようにさする。しかし締め付けられるような痛みの前では、それも気休めにしかならなかった。
「うぅ……うぅぅぅ……」
 内股で中腰で、さらにはおなかとお尻を押さえる……誰が見てもそれとわかる格好をして、なかなか引かない便意の波に耐える。
 だが、楓の必死の頑張りをあざ笑うかのように、便の圧力はその度合いをさらに高めてきた。
 押さえていた右手が、あふれ出る何かに押し戻され、その出口が開きそうになる。おぞましい感覚が彼女を襲った。
「だ、だめっ!!」
 あわてて、もう一方の手をその上から当て、噴出を押さえようとする。
 だが、その行動は一瞬だけ遅かった。

  ブゥゥゥゥッ!!
「!!」
 お尻から発せられた汚らしい音。楓は、我慢を重ねて熱く火照っていた体から、血の気が引くのを感じた。
(もらしちゃった……?)
 一瞬、思考が絶望に包まれる。しかし、今の感覚はおもらしをしたにしてはおかしい。肛門にも乾いた感触しかないし、スカートの上から押さえる手にも、何も異物の感覚はなかった。
「あ……」
 わずかに遅れて、臭いが漂ってくる。お世辞にもいいとは言えない……いや、楓自身嗅いだことがないほど強烈な悪臭だった。だが、もらしたならこんなに早く衣服の中から臭いは拡散しない。楓が耐え切れず出してしまったのは……おならだった。
「え……と……」
 周りを見渡す。もし、近くに人がいたら大変だ。我慢しているみじめな姿をさらすだけではなく、ものすごく臭いおならまで……女の子にとっては死活問題だ。
 ……幸運にも、視界に人影はなかった。道路にも民家の前にも、視界の隅に入った空き地にも人はいなかった。
(助かった……)
 まさにその通りであった。しかも、ガスを出したことによって、腸内にも多少の余裕が生まれ、便意の波も収まっていた。
 だが。次にこんな便意が襲ってきたら、耐えられる保証はない。いや、耐えられない可能性が高い。
 そして、次に便意が高まる前に家までたどり着ける可能性は、ほとんどゼロに等しかった。

(このままじゃ……帰る前にもらしちゃう……)
 絶望的な気分になった楓。助けを求めるように辺りを見渡す。
 助けてくれる人こそ見当たらなかったが……涙で潤みかけた目に、ある空間が目に入った。
(あれは……)
 空き地であった。道路に面する側を紐で区切っており立ち入り禁止となっているが、容易に乗り越えて入ることはできそうだ。その上、雑草がぼうぼうに生い茂っていて、しゃがめば膝くらいまでは隠れてしまいそうだった。
「………」
 楓は、その空間を凝視したまま固まっていた。その頭の中では、たった一つの考えだけが呪文のように繰り返されていた。
(ここで……しちゃえば………)
 ここ、すなわち空き地の草むらの中で…………排泄行為をする。
 おもらしをせずに便意を解放する手段は、それしかない。
 しかし……何と言ってもこれは野糞である。到底、高校生の女の子がする行為ではない。
 しかも、いくら草が茂っているとはいえ、道路から上半身は丸見えである。立ち入り禁止の空き地の奥で、辛そうな表情でしゃがみこんでいるセーラー服の女子学生……。それだけで何をしているか気付くとは限らないが、どう見てもただ事ではない。近づかれたら、恥ずかしい行為のすべてが手に取るようにわかってしまう。
(こんなとこでするなんて非常識だし……それに、見つかったら大変だし…………でも……)
 ……でも、そうするしかなかった。

  ギュルルルルルルルルゥッ!!
「う………くっ……」
 おなかの唸りと便意の高まりが、彼女に最後通告を出す。
 もう、考える猶予はなかった。一秒たりとも無駄にせず、行動するしかない。慌ててカバンをつかみ、道路の端まで駆け寄る。
(早く……早くっ……)
 移動する以上、お尻を押さえている余裕はない。便意の波が頂点に達するのが先か、彼女が草むらの奥にたどり着いてショーツを下ろすのが先か、時間との勝負だった。
  ギュル……ッ……
(今なら……)
 おなかの痛みが一瞬引いた隙を突いて、片足を上げて紐を乗り越える。そのままもう一方の足を上げ、草むらの中に下ろす。あとはひたすら奥へ歩くだけだった。
 この紐があと数十センチ高かったら乗り越えるのは困難であり、それはそのままおもらしに直結したかもしれない。しかし、不幸中の幸い……。下校中に下痢で便意をもよおすという不幸の中にも、かろうじて誰にもその部分を見られずに排泄できる場所にたどり着ける、という幸運は残されていたのだった。

(も、もうだめっ……)
 灼けるようなお尻の圧迫感が、彼女の足を止める。できるなら空き地の一番奥……ニ方を壁に囲まれた隅まで行きたかったが、その数歩手前までしか、楓のおなかは保ってくれなかった。
  ギュルギュルギュルギュルッ!!
  ゴロロロロロロロロローッ!!
「――っ!!」
 嗚咽とも悲鳴ともとれる、声にならない声をあげる楓。
 ショーツに手をかけ、恥をしのんで下ろしながら、崩れるように腰を落とし、草むらの中にしゃがみこむ。もともと我慢のために内股になっていた脚は、しゃがむとちょうど肩幅程度に開かれ、トイレの便器にまたがるのと同様な格好になった。
 そして……乙女の最も大切な部分が、わずかにそよぐ風にさらされた瞬間……楓は、我慢の限界を迎えた。

「んぅぅっ!!」
  ムリリリリリブニュルジュブブブブブブブブブッ!!
 これまでこらえていた排泄物が、ものすごい勢いで肛門から溢れ出していsく。
 肛門が開き、つぼみの中心に空間ができた瞬間には、もうこげ茶色の大便がその姿を覗かせていた。肛門をこじ開けたその大便はしかし、急激に柔らかさと水気を増していった。固形だったのは先頭の数センチほどで、すぐに崩れやすい軟便、そしてゲル状の半液体便にへとを変えていった。腸内にわずかにたまっていた便に、後から下痢による軟便、水便が押し寄せた結果である。
 それに伴い、音のほうも水っぽいものになり、同時に含む空気が多くなりおならと同様の恥ずかしい音を立てるようになる。
 一呼吸もしないうちに、彼女の足元には握りこぶし以上の大きさの小山ができ上がっていた。色の濃いわずかな固形便は、後から降り注いだ赤っぽい茶色の軟便の下敷きになり、早くも見えなくなっていた。
 そして今度はにおいが立ち上っていくのであるが、それが楓の鼻腔に達するより早く、排泄の第二波が始まっていた。

「んぅ……くっ!!」
  ブビビビビビッ!! ブジュブビチャビジュッ!!
  プピピピビチビチビチッ!! ビビビィィッ!!
 ものすごい音を立てて、半液体状の茶色いものがお尻から吐き出され、地面……いや、積み重なった排泄物の上に叩きつけられていく。その排泄される勢いも尋常なものではなく、お尻の穴を通過する瞬間に水飛沫を散らし、地面に到達した瞬間には下のゲル状便をも巻き上げて四方に飛び散っていた。
 その飛沫のいくばくかは彼女の靴下や靴にも達していた。白い靴下には、ぽつぽつと茶色の染みができ、黒い通学靴には、表面張力を保つ茶色の水滴が付着した。
 しかし、そんな惨状は当然楓の目には届いていない。彼女はただ、生理的欲求の命じるままに、お尻の穴を全開にし、腸内の排泄物をそこに送り込むことしかできないのだ。
  ブピュルルルルルッ! ビチィ……ビジューーーッ!!
  ブビュ……ブジュルルルルルルルルルルルーッ!!
「んーーーっ!!」
 今度は、空気をろくに含まず、しかもさらに水を含んだ、ほとんど液状のものが一気に噴射された。最初の排泄より肛門の開きは小さく、その細い出口はまるで指でつぶしたホースの口のように、茶色い水流をとんでもない勢いで吐き出していた。時々混じる流動物がかすかな音を発することが、彼女の下痢のひどさをいっそう強調していた。
「うぅ……あぁぁ……」
 嗚咽を漏らすと同時に、わずかに開いていた目がぎゅっと閉じられる。下痢便の臭いが、彼女の鼻にまで達したのだ。腐ったような強烈な臭いは、排泄の瞬間の快感で真っ白になっていた彼女を現実に引き戻し、そして羞恥心をも呼び戻した。

(私……こんなところで……うんちしちゃってる……)
 学校帰りに、人の近寄らない空き地で、高校生の女の子が汚らしい下痢便を排泄している。
 草むらの上に見えるのは上半身のみだが、純白と濃紺で構成された清楚の象徴とも言えるセーラー服は、このような場所に不似合いなこと極まりなかった。しかも、その肌にはじっとりと冷や汗が浮かび、幼さの残る可愛らしい顔は苦痛に歪んでいた。目は現実から逃げるようにかたく閉じられ、口元は歯を食いしばって痛みに耐えている。
 そして、さらに下を見ると、それはもう言葉で語れるような生易しい光景ではなかった。両手で抱え込んだおなかは、今もゴロゴロとうなりを上げている。音こそお尻から絶え間なく漏れる排泄音にかき消されてはいるが、おなかが便を絞り出すようにうごめく異様な感覚は、常に彼女の神経に伝わっていた。おへその辺りにまとめてたくし上げられたスカートは、ふとももやお尻を隠す役割を果たしてはいない。
 両足はガクガクと震え、いつ後ろに倒れてもおかしくない。だが、そうなれば自分が排泄した下痢便の山……いや、もはや海というべきか……その中にお尻を突っ込んでしまう。そうならないよう、楓は残されたかすかな精神力で今の体勢を保っていた。
 そして……その脚の付け根。彼女が一番見られたくないであろう、女の子の最も大切な部分。普段そこを覆っているはずの白い布は、いまは膝元までずらされている。野外での排泄という、この上なく恥ずかしい行動を選択した彼女にとって、ショーツのお尻の部分が汚れていないことだけが唯一の救いだった。これも、わずかな固形便が栓になっていなかったら、きっとおならの時に液体がわずかに漏れてしまっていたことだろう。

 いや…たらればの話など必要なかった。いま現実に、彼女のお尻の穴からは、液状の汚物が迸っているのだ。
「うぅ……うぅぅ……」
  ブビッ!! ブリリリッ!!
 彼女が苦しげなうめき声をもらすたび、それと同調するようにお尻の穴が開き、中から茶色の液体が飛び出してくる。彼女の汚れなき白い肌の中心からその物体が生み出される様子は、どこか神々しささえも感じさせる。
 しかし、生み出されるその物体は、まぎれもなく大便に他ならない。強烈な臭いを発する消化物の残りかす……。しかも、彼女はおなかを下している。本来なら固形になるべき大便は、腸内で水分を吸収されるどころか、逆に水分と交じり合って茶色の液体となっていた。普段以上の悪臭、そして汚らしい音を伴って彼女のお尻を通過し、外に飛び出していく。野糞という行為に加え、下痢便の汚らしさが、彼女の恥ずかしさを極限まで高めていた。
 そんな恥じらいの果てに排泄した大便は、水洗トイレのように流れることなく、すべて彼女のお尻の下に積み重なり溜まっていた。やはり多少の粘着性は残っているのか、肛門の真下の部分がやや高い山になり、その周りに液状便が広がっている。夏場とあって湯気が立ったりはしないが、その強烈な臭いは、これでもかと立ち上らせていた。そんな汚らしさの極地である下痢便の海は、いまだなお広がっているのである。

「んっ……んぅ……」
  ブビビビッ!! ブリブリリリッ!!
  ビュルビジュッ!!
 だいぶ排泄も断続的になってはいるが、それでも出てくる量は少なくない。数秒おきに、ある程度まとまった量が水流として飛び出してくる。
(はやく、早く終わって……)
 ずいぶんな量を出して、おなかの具合に余裕が生まれた楓は、道路に目をやった。空き地の奥に向かっている途中で限界を迎えたせいで、道路に背を向けるようにして排泄していたのだ。幸い、人通りは見えなかった。今までに通った人がいるかはわからないが、今いないのなら気にしていなかったということになる。それなら問題はない。
 だが、これからも誰も通らないという保証はどこにもない。
(早くしなきゃ……)
 おなかに無理に力を加え、排泄を加速する。襲ってきた痛みに顔をしかめたが、かまわず力を入れ続ける。
「うぅぅぅん………んーっ…」
 やがて、おなかの奥のほうから何かが押し寄せてきて……次の瞬間には、お尻の穴から茶色の濁流が噴出していた。
「あ……ああっ!!」
  ブビビビビビビビビビュィィィィッ!!
  ブジュルルルッ!! ブチュチュチュッ!!
  ジュプブピビィィィッ!! ブリリィィッ!!
  ビジュブビュビュビュッ!! ビチュルルルルルッ!!
 地面の下痢便の海を一気に一回りも二周りも広げるほどの、それほどの激しい噴出だった。多少の空気の放出を交えながら数十秒もの間、開きっぱなしの肛門からすさまじい量の汚物があふれ出したのだった。あたりを包む臭いも、また一段と強くなっていった。
(お願い……早く……)
 ものすごい勢いでの排泄は、決して無駄ではなかった。腸内の圧迫感が急速に薄れてくる。排泄が終わりつつあるのである。
(早く……終わって……)
 また、楓は力をこめる。再び肛門に排泄感を覚えるが、さっきほどの激しさはない。
  ブジュジュジュッ!! ビジュッ!!
  ブビビブピッ! ビチィッ!!
 残っている便が出てくる。しかし、もう量もそう多くない。
(これで終わり……あっ?)
  ブプゥゥゥゥゥゥゥーッ!!
 腸内が空になったのを告げるように、乾いた音のおならが響き渡った。その音は限りなく恥ずかしかったが、同時にこれ以上の恥ずかしさを味あわなくてすむと言うことである。

(終わった……)
 おなかが楽になった彼女は、やっと安堵のため息をついた。そして落ち着いて視線を落とし、自分が出したものを目の当たりにする。
「っ……」
 気が遠くなりそうだった。ものすごい臭いを発する汚物の海。可憐な少女の体の中から出てきたとは思えないそれは、まぎれもなく楓の排泄物だった。

(早く拭いて……帰らなきゃ……)
 地面に広がる排泄物を見て、今の自分の置かれた状況を認識する。苦しい排泄は終わったが、彼女の危機は終わったわけではない。誰かに見られる前にお尻を拭いてここを離れなければならない。
(ティッシュ……)
 楓は近くに置いた自分の鞄を取り、中からちり紙を取り出す。数枚しか残っておらず、拭ききれるかどうか不安になったが、とりあえず一枚を右手で取り、手をお尻の後ろに回す。折り畳まれたままの紙をやや秘部に近いところに当て、壮絶な排泄を終えてわずかに盛り上がっている肛門を拭う。
「うぅ………」
 ぐちゃっという粘着質の感覚を、指先と肛門の両方に感じる。悪寒を感じはしたが、止めるわけにはいかない。そのまま指先を動かし、紙を肌から離す。
「……っ……」
 予想はしていたが、紙にはべっとりと下痢便がこびり付いていた。茶色ではあるが、こうして白い紙にくっついたのを見るとわりと透明度が高い。それだけ水分が多かったことの現れである。
(はやく……拭かなきゃ……)
 紙をじっと見ている時間はない。楓はそれを、恥ずかしさを隠すように茶色の海の中心に落とし、次の紙を手に取った。

「ふぅ……」
 立ち上がる。おなかに違和感こそ感じるが、差すような痛みはない。
 彼女の足元には、お尻を拭いた紙が、下痢便の海の上に浮かんでいる。わずかな紙では、出したものすべてを隠せなかったのだ。草をちぎってかぶせようともしたが、焼け石に水という言葉の意味を思い知るだけだった。
 服装は元通り。スカートの下には、汚れのない純白のショーツ。それに隠れるお尻の穴も、ショーツを汚さない程度にはきれいになっている。
(誰にも見つかりませんように……)
 そんな切実な願いだけを残して、楓は空き地を後にした。

「ただいま……」
 玄関をくぐり、帰宅のあいさつをする。
「お帰り、楓ちゃん」
 耕一が笑顔で迎えてくれる。いつもと変わらない光景。
 今日という日は、楓以外にとっては、いつもと変わらぬ日常の一つに過ぎなかった。
 たとえそれが、楓の心の中に、忘れられない恥ずかしさとともに刻まれる一日だとしても……。


あとがき

 オーソドックスに下校時の便意→野外排泄を書いてみたんですが……
19kBって、いつの間にこんな分量に……。
 排泄時の文章描写がすべてですね。表現力をかなり駆使しました。
光景を想像する一助になれば幸いです。


戻る