ろりすかシリーズvol.2

「はしゃぎすぎは失敗のもと」


ミント・ブラマンシュ(「ギャラクシーエンジェル」より)

16歳 トランスバール皇国・ムーンエンジェル隊少尉
身長123cm。3サイズ60-42-59(推定)
髪の色は水色で、ショートカット。宇宙に名前の轟く財閥のお嬢様。人の心の表層が読めるという能力を持つ。


 エオニア前皇太子の反乱を鎮圧してから数ヶ月。元エンジェル隊旗艦エルシオールは、辺境探索の旅の途中でミルフィーユの故郷に立ち寄っていた。
 奇しくもそこでは祭の真っ最中。駄菓子好きのミント・ブラマンシュがこれに飛びつくのは必然だった。司令官タクト・マイヤーズは、どこかあきらめたような顔で、その付き添いを務めるのであった……。

「タクトさん、ほら、かき氷ですって」
 ミントが屋台の店先を指差し、ささやく。今日これで何度目であろうか。タコヤキ、わたあめ、りんご飴、アイスクリーム。ミントは目に映るもの全てに手を伸ばしていた。
「欲しいの?」
「もちろんですわ。あぁ、縁日って素晴らしいです…」
「仕方ないなぁ……何味?」
「ブルーハワイでお願いできますか? あの青色15号の着色料の風味と香りがなんとも……」
 ミントは合成着色料や甘味料たっぷりの、いかにも身体に悪そうな食べ物が大好きである。お嬢様育ちでそのような食べ物に縁がなかった反動とはいえ、タクトには理解はできても共感できそうにはなかった。
 引きつった笑いを浮かべつつ、注文を頼む。
「そ、そうか……あ、おじちゃんブルーハワイお願い」

「美味しかったですわ……毎日このようなものがいただけたら、どれほど幸せでしょう……」
 かき氷を食べ終わり、下にたまった半透明の真っ青な汁を飲み干したミントが、本当に嬉しそうにつぶやいた。
「かき氷なんて、家で作る機械とか売ってたような気がしたけど」
「そ、それは本当ですの!?」
 突然目の色を変える。それほどまでに、ミントの「お祭り菓子」への憧れは強いものだった。
「うん。あと、わたあめとかカルメ焼きなんかも作れたんじゃないかな」
「自分で作れるものだったなんて……もっと早くから知っていれば……あ、ら、ラムネは作れるんですの?」
「うーん、どうだろ……? さすがに炭酸が無理じゃないかな……」
「じゃあ、今のうちに飲んでおかなければいけませんわね」
 そう言って、タクトに最高の微笑みを投げかける。タクトは再び、苦笑いを浮かべるしかなかった。
「……よく、飽きないなぁ……」
「いいではありませんか。たまのお祭りですもの。ささ、ラムネラムネっ」
「しょうがないなぁ……」

ごく、ごく……
「あぁ、美味しいですわ……」
「さ、さすがに俺は舌が麻痺してきたよ」
 結局二人は一緒にラムネを飲んだのだが、タクトの方は単なる砂糖の味に食傷していた。言うまでもないが、ミントは天国の天使もかくやと思わせる笑顔を浮かべて、本当に美味しそうにラムネを飲み干していた。
「タクトさんは鍛え方が足りないのですわ」
「こんなこと鍛えたってなぁ……」

ギュルッ……
「え……あっ……」
 その時、ミントのお腹が小さく鳴った。かすかな音だったが、身体の変調を感じるにはそれで十分だった。
(お腹が痛く……い、いえ……それより……急に…こんな……)
 頭の中で言葉にすることすら恥ずかしいのか、ミントは真っ赤になってうつむいてしまった。
 要するに、冷たいものの食べすぎでお腹を壊し、うんちがしたくなってしまったのである。
(ど、どうしましょう……お手洗いに行かなければ……でも、タクトさんに何て言えば……)
「ミント?」
「あ、な、何でもありませんわ。えと、そ、そろそろ帰りましょうか」
「突然だな〜。さっきまでまだまだ食べる気だったくせに」
「いえ、そんなつもりは……。時間も、その、遅くなってきたこと……ですし」
ギュルルッ……
 お腹が締め付けられるような音を発し、さらに便意が加速していく。
「まあ、ミントが満足したなら帰ろうか」
「は、はい……」
(何とかして宿まで我慢しないと……)

「ふぅ……うぅ……くっ……」
(ど、どうしてこんなに急に……ひどく……)
 ミントの肛門を襲う便意は、今まで経験したことのない速さで膨れ上がっていた。とてもではないが、この会場を出るまで我慢できそうにない。
(……も、もう限界ですわ……)
「タ、タクトさん……その……私ちょっと……お手洗いに……」
「え、ああ。ん……なんか顔色悪いよ。冷たいもの食べ過ぎてお腹壊したんじゃないの?」
「そ、そそそそんなことありませんわっ。す、すぐ戻りますから」
「ああ。じゃここで待ってるよ」

(タクトさんったら……心でも読まれたかと思いましたわ……)
 ミントはそんなことを考えながらトイレに急いだ。そうこうしている間にも、便意はのっぴきならない状態にまで高まっていた。
(み、見えましたわ…………え…っ!?)
 たどり着いたトイレには、浴衣姿の女性たちが長蛇の列を作っていた。その数、10人以上。
「そ、そんな……」
 列の横から中をうかがうと、個室は2つしかないようだった。
(早く空いても10分以上……そんなに我慢できませんわ……)
 列の並び方と自分のお腹の具合から、ミントが出した計算結果は「待てない」だった。しかし、このまま宿の部屋まで戻ることはなおさら不可能である。それどころか、別のトイレを探すことすらできそうにない。もう、歩くだけでものすごい負担がかかっているのだ。
(…………あ、あれは……)
 ミントの視線が、隣にある男子用トイレに移る。そこには、父親につれられてがら空きの個室に入っていく、6歳くらいの女の子の姿があった。
(………………)
 年齢こそ16歳だが、ミントの身長はその娘とさして変わらない。その気になれば、小学生と言っても十分に通用してしまうのだ。ということは……
(い、いけませんわっ!! そのようなこと、もし誰かに見られたりしたら……)
 ミントは意志の力を振り絞って、安易な誘惑に打ち勝った。しかし、だからと言って問題が解決したわけではない。

グキュルルルルル〜ッ……ゴロロロロロロッ……
「うぅ……あっ……」
 お腹から発せられる音はさらに大きくなり、周りに聞こえるほどになっていた。便意もさらに強くなり、肛門から力を抜いたらあふれてしまいそうだ。
「くっ!!」
 今までにない急激な便意の波が襲ってきた。身体を強張らせ、必死に耐える。
(が、我慢しなきゃ……)
 ……
(まだ波が退かない……は、早く収まってください……)
 ……
(ま、まだだめなのですか……もう、もう力が入りません……)
グ、ググッ……
 緊張を続ける括約筋が限界を迎え、肛門が開きかけてしまった。
(い、いけませんわ……お漏らしなんてできませんわ!)
 その瞬間、ミントは右手でお尻を押さえ、大便が溢れ出すのを食い止めた。
プスゥゥゥゥ……
 肩透かしを食らったかのように、肛門はかすかな音とともに腸内の気体だけを放出した。
「……はぁ……はぁ……」
(な……なんとか……漏らさずにすみましたわ……でも……私……)
 ミントにとっては、音もないおならをしてしまっただけでも十分すぎるほど恥ずかしかった。青ざめていた顔が紅潮し、思わず下を向いてしまう。

「ねぇ、なんか臭くない?」
「あのちっちゃい子じゃない? なんかさっきお尻押さえてたよ?」
「えー? あんな子がこんな臭いおならするの? 信じられない…」
「きっと、お腹でも壊してるのよ……大丈夫かしら」

(うぅ……お願いですから何も言わないでください……うぅ……もうだめ……)
 ミントは文字通り限界だった。さっき必死にこらえたのと同じくらいの便意を常にこらえている状態だった。
(……あ……あそこ……なら……)
 ミントは、うつろな目で周りを見回し、トイレの裏手にある、木と茂みで囲まれた部分を視界に捉えた。あそこなら、足元は茂みがあるし、ミントの身長なら頭まで木陰に隠れてしまう。
(もう……こうするしか……)
 お嬢様育ちのミントにとって、トイレ以外の場所で排泄を行うなど耐えられるものではなかった。しかも大きい方、その上お腹を壊した下痢の状態である。その恥ずかしさたるや、想像することすらできるものではない。
 しかし、押し迫る便意の前には、それ以外におもらしを免れる術はなかった。ミントはお尻を押さえながら列をそっと離れ、逆側を通ってトイレの裏手に回った。

(お願いです、誰もいませんように……)
 ミントの必死の願いが通じたのか、その空間には誰もいなかった。後ろを振り返ってみるが、人々は暗いトイレの後ろなどに気を配らず、祭を楽しんでいた。
(よかったですわ……こ……これなら……)
 大便を排泄できる。そう考えた瞬間、恥ずかしさがミントの動きを止めた。
(私……本当にこのようなところで……)
 戸惑い。しかし、その戸惑いは、さらに膨れ上がった便意によって打ち消された。

ギュルルルルルルルッ!!
ゴロッ!! グルルルルルルルルゥゥッ!!

「も……もう……だめ……ですわ……」
 お尻に押し寄せる大量の下痢便に急かされるように、ミントはスカートをたくし上げ、同時にショーツをずり下ろした。
 崩れるようにその場にしゃがみこむ。
 全ての音が消えたような、一瞬の間があった。

ブビュルルルルルルルッ!!
ブチョッ! ドバババババババッ!!
ブリリリリリリリリィィィ!!
ビチビチビチビチッ!! ブビビビビッ!

「うぅぅぅっ……はぁ……はぁ……」
 空気の混じった液状便が肛門を震わせるものすごい音とともに、ミントのお尻から茶色の水飛沫が迸った。
(私……私……とうとう…………してしまいましたのね……)
 形を保っていた便はごくわずかで、ほとんどは水分だらけの液状便だった。それが途切れることなく、次から次へと地面に叩きつけられていく。
(うぅ……すごい臭いですわ……)
 お尻から溢れ出すうんちは、ものすごい臭いを撒き散らしていた。

ブチョチョチョッ!! ブビチュッ!!
ジュバッ!! ブブブッ!! ビチィィッ!!

「うぅぅ……くっ……んっ……」
 排泄された下痢便は、濁った茶色の水たまりを足元に形作っていく。
(こ、このままでは靴が汚れてしまいますわ……)
 それに気付いたミントは、引きずるように少しずつ足を前に出していく。その間も、お尻からの濁流は止まることを知らず、下痢便の海を広げていく。
(ス、スカートも……)
 スカートの後ろの部分が、危なく自分のうんちで汚れてしまうところだった。慌ててスカートを持ち上げ、片手で身体に密着させる。
(うぅ……また……また出てしまいますわ……)

ブビビビビビビビビッ!! ドボボッ!!
ブチャブチャッ!! ビチビチッ!!
ブリブリッ!! ブプッ!! ブピィィィィッ!!

「はぁ……はぁ……うぅん……」
 これだけ大量に出したのに、まだお腹の痛みが治まらない。
(うぅ……早く終わってください……)
「………ミント?」
「早く……早く…………えっ……?」
 ミントが驚いて顔を上げる。その前には……驚きに目を丸くしてミントを見下ろしている、タクトの姿があった。
「タ、タクトさん!? あああああっ、ど、どうして、どうしてここに!?」
「い、いや……遅いから心配になって……それより、ミント……」
「そ、そのこれは、あのっ、ですから、私、その…………ああっ、み、見ないでください!!」
「あ……ご、ゴメン。その……大丈夫かい?」
 その声に、慌ててタクトが後ろを向く。ちらちらとミントのほうをうかがいながら、気遣う言葉をかけた。
「その……お腹の具合がおかしくなってしまって……我慢できなかったのです……うぅ……申し訳ありません……」
「い、いや謝ることじゃ……」
「いえ……私がいけな……うぁっ…だ、だめっ!!」
「ミント!?」
 そう言ってタクトが振り向いた時。

ブチュルルルルルルッ!! ジュブブブブブッ!!
ブリッ!! ドバァァッ!! ブビィィィィィィッ!!
ビチビチビチビチィィィッ!! ブチョチョチョッ!!
ブリリリリリリリィッ!! ブピピピピピッ!!
ブチョッ! ブビブビビビッ!! ビチィィィィィィィッ!!

「あぁ……あぁぁ……」
 ミントの肛門から、残りのうんちが一斉に迸ったのだった……。


あとがき

 ミントの「駄菓子好き」の設定を使ってみました。
 普段、母艦の中にもお菓子を貯めこんでいるミント。
 「本場」であるお祭りに行ったら本当にこうなりそうです。
 お嬢様キャラは羞恥心をこれでもかと描くのがポイントだと思いましたが、いかがでしょう。


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