ろりすかシリーズvol.4

「おもらし、その後に」


柏木初音(「痕」より)
 15歳 高校1年生
体型(推定) 身長:146cm 3サイズ:68-49-69

小学生みたいな高校一年生。純真無垢を絵に描いたような少女で、その微笑みは曰く「天使の笑顔」。雰囲気は甘えん坊でいかにも子供だが、家事をそつなくこなすなどしっかりしている部分もある。


カリカリ……

 リズムよく教師が黒板に文字を書いていく。そして、それを書き取る生徒達の鉛筆の擦れる音が響く。
 ………。
 その教室に、ひときわ似つかわしくない音が響いた。

プジュッ!

「………?」
 教師が首をかしげて生徒の方を見る。……が、何事もなかったかのように振り返り、板書を続ける。
 その反応を見て、さっきの音の発生源の周りで、次のような会話が交わされていく。
「なぁ……いまの音ってさぁ」
「ああ。なんか臭うしさ……おまえか?」
「お、俺じゃねえって!!」
 口の軽い男子の間でそんな言葉が飛び交う。

 そんな男子達の隣で、ひとり真っ赤な顔でうつむいている女子がいた。

(どうしよう……音、聞かれちゃった…………)
(それに……絶対もれちゃってる……どうしよう、見つかっちゃったら…)

 幼い顔に小さな体。小学生と言っても通用する彼女の名は、柏木初音。
 彼女は今、容易ならざる事態に追い込まれていた。
 午後一の水泳の授業で冷えたせいか、お腹を下してしまったのだ。
 最後の授業が終わる頃には、猛烈な便意に苦しめられていた。
 ゴロゴロと唸るお腹をさすりながら、必死に我慢していたが……。
 激しい下痢の便意には勝てず、ついにはお尻の穴が開き、ガスとともに少量の便を漏らしてしまった。

(お願い……誰も気付かないで……)

「今の音さ、案外、柏木だったりしてな?」
「!!」
 はっと顔を上げる。男子のひとりが、初音を指差していた。
「ち、ちが……」
 違う。そう言いたかったけど、嘘をつくことへのためらいが、その言葉を一瞬遅らせた。
「顔は可愛いくせに、こんな……」
「こらそこ! まだ授業中だぞ! 静かに……」

キーンコーン……

「あ……」
「む……」
 騒いでいた男子達にとっても、追及されていた初音にとっても、天の助けとなるチャイムの音だった。

「……それでは、授業を終わりにする。……日直!」
「はい。起立!」
 ガタガタと椅子が音を立て、生徒達が立ち上がる。
 初音は一瞬ためらったが、ガスを出してしまったことで多少お腹は楽になっている。その具合を確認してから、そろりと立ち上がった。
「礼!」
「ありがとうございましたー!」
 きちっと揃った返事に、教師は満足げにうなずき、教壇から足を下ろした。
 それを皮切りに、生徒達が思い思いの会話を、行動をとり始める。……これからは放課後だ。

(早く……早くおトイレ……行かなきゃ……)
 机に手をついて立っていた初音は、一刻も早くトイレに駆け込みたい気持ちだった。
 しかし、今すぐトイレに走っては、さっきの音が自分だと思われてしまう。
(帰る支度して……どこか遠くのトイレに……)
 そう思って、机の中の教科書とノートを鞄に放り込む。周りを見回し、自分に視線が集まっていないことを確認すると、ゆっくりと教室を後にした。

ギュルルルルルルッ!!
(いやっ……また……我慢できないっ……)
 教室を出た瞬間、再びお腹が鈍い音を立て始めた。お尻には、漏らした瞬間と同じくらいの便意を感じる。
(おトイレ……もう出ちゃうっ……)
 遠くのトイレなどと言っていられない。教室の側にあるトイレまで、初音はとてとてと小さな歩幅で全力疾走した。

 バタン!
 幸運にも個室は一つだけ開いていた。そこに飛び込んだ初音は鞄を床に置き、スカートの中に手を入れた。
(ま、間に合った……)
 パンツを下ろすと同時に、便器にしゃがみこむ。

ブビチッ!!
ビチビチビチッ! ブピュッ!!

 水気の多いゲル状のうんちが、便器にたたきつけられていく。
「うぅ……」
 お腹が激しく痛み、力を入れることができない。

ブビュルルルッ!! ブブブッ!!
ブリュブリュ……ブリュッ……

(あれ……もう……終わり?)
 突然、うんちが勢いを失った。
(どうしよう……まだ、残ってる気がする……)
 痛むお腹をかばいながら力を入れてみる。
「うぅぅぅん………」
 ………。
「んっ……!」
 突然、お尻から何かが飛び出す感触。

ブブブゥッ!!

(いや……すごい音……)
 お尻から飛び出したものは、教室でしてしまったのと同じ、水っぽいおならだった。お尻を全開にしていただけあって、その音は比較にならないほど大きかった。
 もちろんおならだけでは済まず、茶色の水飛沫を便器中に撒き散らしてしまう。
「…………!」
「…………?」
 個室の外から、ささやき声のようなものが聞こえてくる。
(ど、どうしよう、きっと私のこと話してる……)
 このまま頑張っていて、また今みたいなおならをしてしまったら恥ずかしいどころではすまない。初音は残便感を感じながらも、このままトイレを出るしかなかった。

(あ……さっきのおなら……)
 さっきも同じように、水状のうんちを漏らしていたかもしれない……。

「あ…………あぁ……」
 ……果たしてそのとおりだった。
 膝まで下ろされたパンツの中心部には、いまだ湿り気を保つ数センチ級の茶色い染みが……。

(やっぱり……わたし、おもらししちゃった……)
 初音は、高校生になってのおもらしに限りない恥ずかしさを感じていた。
 ………。

「ぐすっ……」
 しかし、恥ずかしがっているだけでは仕方がない。彼女はお尻を拭き、パンツを完全に脱ぎ去った。
(パンツ……どうしよう……)
 とりあえず、染みをトイレットペーパーで拭いてみる。だが、完全に染み込んでしまった茶色い液体は、その程度では落ちてくれなかった。水で洗うしかないが、そうしたら今履けなくなってしまう。かといって、染みと湿り気が残ったままのおもらしパンツを履くわけにはいかない。すると、代わりになるものは一つしかなかった。

「まだ冷たい……」
 初音は制服の上を脱ぎ、水着を着込んだのである。さっき着たばかりのスクール水着は、まだ肌に張り付くほどに濡れていた。
 しかし、我慢するしかない。初音は制服を着直し、個室から出る。
「あ……」
 外にいた女子たちが、一斉に初音に目を向ける。
 ……到底、視線を合わせることなどできなかった。そのまま逃げるように、トイレを飛び出すしかない。

「はぁ……」
(おもらししちゃうなんて……)
 初音の頭には、おもらしと言う事実がこびりついて離れなかった。
 学校を出るその瞬間から、足取りはこの上なく重かった。

(うちに帰ったら、着替えて、パンツ洗って……)
 おもらしの後始末を必死に考えている初音。
 その小さな体に、さらなる悲劇が襲いかかった。

  ギュルルルルルルルゥ〜……
(えっ……!?)
 自分のお腹が発した音に、初音の顔は一瞬で真っ青になる。
 ほどなく、お腹の奥がきりきりと痛み始め、お尻に異様な圧迫感が現れ始めた。
(ど、どうして……さっきしたばっかりなのに……)
 急激に高まる便意。もちろんそれは、さっき出し切れなかった直腸内の下痢便によるものなのだが、初音の思考は完全にパニックになっていた。
(と、とにかく……早く帰らなきゃ……)
 ここから家までの間に、公園などトイレがある場所はない。かといって、学校に帰るのも恥ずかしすぎる。
 一刻も早く家に帰り着き、家のトイレに駆け込むことだけが、さらなるおもらしを避ける唯一の手段だった。

  ゴロゴロゴロゴロッ……
  ギュルルルルルッ……
  グルギュルルルル……
(お願い……お家に帰るまで……出ないで……)
 悲鳴を上げつづけるお腹をかばいながら、初音は必死に家までの道を歩く。
 可愛らしい顔を苦痛に歪ませ、肌にはじっとりと冷や汗を浮かべ、前かがみの体勢でお腹を押さえながら、一歩一歩足を前に出していく。

 見るのも痛々しいその姿。でも、その我慢のかいあって、初音は無事に家の前までたどり着くことができた。

(やっとお家に……は、早く、おトイレ……)
 そう思って玄関へ向かって一歩踏み出したときだった。
  ギュルギュルギュルッ!!
「ひぁっ!!」
 今までにない便意の大波。家の敷地の中とあって、初音は人目もはばからずに両手でお尻の穴を押さえた。
「くぅ……うぅぅぅっ……」
 なんとか下痢便が噴出するのは押さえたが、肛門や指先より早く、脚が限界を迎えた。震える脚は中腰の体勢を維持できず、徐々にしゃがみこむ体勢になってしまう。
「も、もう……だめ……」
 完全にしゃがみこむ。場所は、人通りが少ないとはいえ公衆の面前である玄関の前。服装は、制服の下に、おしりにぴったりと張り付くスクール水着。状況はこのように大違いだが、彼女が今とっている体勢は、和式トイレで排泄をするのと全く同じ状況だった。
 当然、本能は限界まで高まった排泄欲求を満たそうと動く。初音の理性が、羞恥心がかすかな抵抗を示すが、限界を越えた体はもう、言うことを聞いてくれなかった。

  ブリブリブリッ!!
「ひっ!!」
 肛門からものすごい勢いで、どろどろの下痢便が吐き出される。こうなると、押さえている指先も用をなさない。
「……い……いやっ!!」
ブジュブジュッ!!
ビチッ!! ブリュルルルッ!!
ブボボボッ!! ブプビチビチッ!!
 あっという間に、水着のお尻の部分が膨れ上がる。生温かい湿り気が、徐々にお尻の周りを満たしていく。
「う……うぅ…………」
  ブチュブチュブチュッ!!
  ブビュビュビュッ!!
  ビビビィィィッ!!
 お尻に言いようのない気持ち悪さを感じながら、勢いの衰えない便意と腹痛の前に、初音はみじめなおもらしを続けるしかなかった。

「誰か来てるのかしら……え、初音……どうしたの!?」
 お客が訪ねてきたのかと、玄関から千鶴が顔を出した。が、玄関の前でうずくまる初音の姿に一瞬目を丸くする。
「お、お姉ちゃん……ぐすっ……」
「初音……あなた……」
 あたりに漂う異臭。そして初音の涙。千鶴は初音の身に起きたことをやっと理解した。
「お姉ちゃん……ごめんなさい……」
「……気にしなくていいから。ほら、立ってお手洗いに行きましょう」
「……ううん……まだ……」
 その後の言葉は、初音のお尻から発生する音が代弁してくれた。
  ブビビビビビッ!!
  ビチビチビチビチッ!!
「……そ、そう……と、とにかく、落ち着くまで出しちゃっていいから」
「うん……うぅっ……」
  ブブッ!! ビュビュッ!!
  ビチィッ!! ブボボブボバッ!!
 初音は玄関の前で、ひたすら便意を解放しつづけた。さっきトイレでしたのよりはるかに大量のうんちは、当然水着の生地だけでは収まらず、その横から地面にこぼれ落ちた。
「うぅ……ぐすっ……」
  ビチビチビチッ!! ブボボボボッ!!
  ビュビビビッ!! ブジュルッ!!
  ブリュリュリュッ!! ビチャビチャッ!!


 やがて、初音の便意は収まってきた。まだ完全に出し切ったかといわれればそうではないが、さっきよりはずいぶんおなかの感覚は楽になっている。
 もちろん、お尻の感覚と恥ずかしさの感情は最悪なのだが……。
「………大丈夫? じゃあ、お手洗いに行きましょう」
 千鶴に促され、初音は涙を流しながら立ち上がる。
 そのまま家の中に入る。
 水着一杯に満たされたうんちは、歩く振動で少しずつ漏れ出し、初音の脚に茶色のラインを描き、床に水滴となって垂れていった。
「っ……ど、どうしよう、床に……」
「後で掃除するから大丈夫。それより、早くお手洗いに行って、綺麗にしましょう」
「う……うん……ごめんなさい……」

  ガチャ。
 トイレの扉を閉める。柏木家のトイレは決して小さくはないが、二人入るとさすがに苦しさを感じる。
「じゃあ、とりあえずパンツだけ脱いじゃいましょう」
「え……あ、あの……」
 パンツを脱ごうにも、そのパンツはついさっき漏らしてしまって鞄のビニール袋の中だった。今着ているのは、上下一体になったスクール水着。脱ごうにも、制服を脱がないとどうしようもないのだ。
「お姉ちゃん、あの……その……」
 だが、そんなことは上手く説明できない。いや、恥ずかしすぎて説明などできやしない。
「脱げないの? 仕方ないわね……」
 そう言って、千鶴がパンツを脱がせようとしゃがみこんだ瞬間。
「え……っ?」
 千鶴は、初音のスカートの中に、茶色く縁取られた紺色の生地を目の当たりにした。

「……そうだったの。……お腹こわしちゃったのね……気にしないで、初音のせいじゃないんだもの」
「ぐすっ……」
 涙ながらに、学校でのおもらしのこと、そして家に帰るまで必死に我慢したことを説明した初音。千鶴は精一杯の優しい言葉をかけた。
「じゃあ、とにかく全部脱いじゃいましょう」
「うん……」
 初音は、便器をまたいで立ったまま、服に手をかける。まずはスカート。腰の部分を広げ、汚れた水着につかないように慎重に下ろす。
 膝まで下ろしたあたりで、初音のふとももが露わになる。幾筋もの液状便の水流が伝い、いくつかは靴下にまで達していた。
 片足ずつスカートを通し、完全に脱ぎ去る。受け取った千鶴は、その内側に茶色い染みを見つけてしまった。必死に押さえてる間に漏れてしまい、水着の生地を透過して染み込んでしまったのだろう。
 続いて上衣を脱ぐ。その下から、紺色の水着に覆われた、初音の幼げなボディーラインが現れる。ほとんど真っ平らな胸に、細身ではあるがくびれとは表現できない腰つき。そんな中、お尻の真下の部分だけが、あまりにも不自然に膨らんでいた。
「ひとりで脱げる?」
「……うん」
 そう言って、初音は肩の部分から水着を脱ぎ去っていく。両腕を水着から抜き取ると、乳房と呼ぶにはあまりにも貧弱な胸のふくらみが目に入ってくる。そのまま腰まで下ろす。
「………」
 一瞬躊躇を見せた初音だが、決心して少しずつ水着を下ろし始めた。
 腰にかなり近い部分から、肌と、そして水着に付着した下痢便がその姿を見せ始める。
 お尻の真下の布をはがすと、その中はあまりにもひどい有様だった。水着の中は、かなりの便がこぼれたにもかかわらず、どろどろの汚物が一杯に広がっていた。
 そして肌のほうも、これまた真っ茶色に染まっている。お尻の後ろはもちろん、わずかな茂りすらない肌色そのままの縦筋にも、ぐっちょりと排泄物がまとわりついていた。
 もちろん……これだけの量の下痢便が露わになっているのだから、その臭いはものすごいものである。出した初音本人ですら鼻をふさぎたくなるほどであった。
 だが、千鶴は顔をしかめることもせず、トイレットペーパーを手にとって初音の肌を拭きはじめた。

「え……お姉ちゃん、いいよ、わたし……自分で……」
「いいから。じっとしてなさい」
 まずは脚の下のほうから、徐々に汚れがひどい股間の部分を。千鶴が汚れを拭っていく間、初音は靴下の他には一糸まとわぬすがたで、手を胸の前で握ったまま立ち尽くしていた。
(お姉ちゃん……ごめんなさい……でも……ありがとう……)


 汚れたペーパーを便器に流し、千鶴は初音に声をかけた。
「……はい、綺麗になったわ。後はシャワー浴びて来た方がいいわね」
「う……うん……」
 そう言った初音だが、なぜかその場から動こうとしない。
「……どうしたの? そのままじゃ風邪引いちゃうわよ」
「うん……えっと……あの……」
 もじもじする初音。よく見ると、声だけでなく体も小刻みに震えている。
「……初音?」
「……また……したくなっちゃった……」
  ギュルルルルルルル〜ッ……
 初音のお腹から、また奇妙な音が流れ出した。
「お、お姉ちゃん、外に出ててっ!! わたし、もう……」
 そう言って、裸のまま便器にしゃがみこむ。千鶴は慌ててトイレから出て、ドアを閉めた。

  ブリリリリリリリリリリーッ!!

 次の瞬間、ドア越しにものすごい勢いの排泄音が聞こえてきた……。

 結局その日床につくまで、初音は半分以上の時間をトイレの中で過ごすことになったという……。


あとがき

 楓ちゃんを書いてから間もないのに初音ちゃんです。
 まあ、ロリキャラといえばこの二人は外せませんからね。
 こちらは「後始末」に注目してみました。
 おもらしも二段構えということで、堪能していただければ。


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