ローライト王国戦記 -幻の聖女-
第1話 「神聖王国の少女」
神聖王国ローライト。
法の神ルールーの教えを国教とし、平和と秩序を尊しとする王国である。
その領土は中央大陸の半分以上に及び、北端の海岸に位置する聖都ローラは美しい宮殿や神殿が立ち並ぶ繁栄を極めた都市であった。
魔物や魔神が群れ成す魔境を大陸南部に抱え、絶えずその侵略にさらされながらも、一糸乱れぬ統制の取れた強大な神聖騎士団が国土を日々護り続けている。
建国以来遵法と秩序の理念は数百年にわたり乱れたことがなく、中央大陸のみならず箱庭世界における屈指の大国として、不動の地位を築いていた。
無限に広がる大海原に浮かぶ5つの大陸。「箱庭世界」と呼ばれるそこは、数多の神々が司る剣と魔法の世界。
当代箱庭世界の管理者を務める女神クルミール以外にも、様々な神が信仰され、人々に奇跡を授けている。
法の神ルールーは皆が法と秩序を守ることが平和をもたらすと教える神であり、神聖王国ローライトは建国以来その教えを真摯に守り続ける国であった。
自然、そこで生まれ育った人々は規範意識が高く、真面目な人物が多くなる。他の国の出身者から見たら真面目過ぎて堅苦しく思うほどに。
「戻ってきたんですね……ここに……」
遠くに見える白亜の城を前に、少女――ミューリア・アーテリーゼは感慨に浸っていた。
故郷を離れて3年。当時と変わらない聖都の姿を見、当時から成長した自分の姿――もとい内面を思い、流れた時の長さを実感する。
「あの頃と何も変わっていないみたい……噂が杞憂ならいいんですけど。でも、もし本当だったなら、きっとわたしにもできることがあるはず……」
水色の短い髪を風に揺らし、ミューリアは小さな胸に手を当てた。
彼女は魔術師の父と司祭の母の間に生まれ、法の神ルールーの敬虔な信徒として育った。父の手ほどきで古代魔術も使いこなし、恵まれた能力を活かして聖ローリー士官学校に入学して、ローライト王国が誇る少女だけの騎士団「聖女騎士団」の候補生としても活躍していた。
理由あって故郷を離れた彼女は、冒険者の国トアルや港湾都市ジェドを舞台に信頼する仲間たちと様々な冒険を繰り広げ、一人前の冒険者としての実力を身につけていた。
その仲間たちと別れ故郷に戻ってきた理由は、故国ローライトの不穏な噂を耳にしたからであった。治安が悪化している、と。法と秩序を司る神ルールーの教えを国教とするローライトにはあってはならないことであった。
「……まずは家に帰って、お父様とお母様に謝らないと……何も言わずに出ていってしまったことを……それに…………」
青色の線に縁取られた神官服が風になびき、彼女のか細い体を守る白い塗装の革鎧が見える。背負ったランドセル型の鞄には長旅に備えた持ち物が収められている。長い旅の果てに故郷に戻ってきた彼女の姿は、身長や体重や胸囲こそ旅立った時とほとんど変わっていないものの、心と体の強さを感じさせるものになっていた。
ミューリアはローライトで生まれ育ち、ルールー神官としてその教えを説く身であった。その性格は予想に違わず真面目で何事にも一生懸命。故郷の不穏な噂を耳にした彼女は、いてもたってもいられなくなり再び故郷の門を叩いたのであった。
彼女は聖都ローラの門をくぐろうと、一歩踏み出した。
東大陸の港湾都市ジェドからは、中央大陸の中心都市である聖都ローラ行きの船が何便も出ている。あえてそれに乗らず小さな港を経由して陸路で聖都を目指した理由は、街道の治安を確かめるためであった。各地を旅する中で、街道の治安は周囲の街の治安に依存し、ひいては都市や国の統治能力を表している事を感じていたからだ。聖都の中で偉くなっていく官僚や神官とは異なる視点が必要なのではないかと彼女は思っていた。
その予測は、正しい形で報われた。ある意味期待していた、招かれざる客たちが目の前に現れたのだ。
「おっと、お嬢ちゃんちょっと待ちな!」
多数の足音がミューリアの行く手を遮る。粗野な、しかし屈強な男たちが6人。その中で頭一つ大きい体躯の一目でそれとわかる親分が、舌なめずりをしながら彼女の体をじろりと見た。
「へっへっへっ、お嬢ちゃん、女の子の一人旅は危ないぜぇ」
「……だ、誰ですか!?」
「俺たちゃ泣く子も黙る『曙の傭兵団』っス。お嬢ちゃん、無事に街まで送ってほしかったら護衛料を払ってもらうっスよ。お嬢ちゃんなら体で払ってもらってもいいっスけど、それが嫌ならおとなしく……」
「……やはり、追い剥ぎですか」
腰巾着らしき男の説明を途中まで聞いたところでミューリアはため息をついて、男たちの姿を見た。姿形、立ち居振る舞いのすべてが、自分たちはならず者だと主張している。
「聖都ローラのお膝元でこんなことがまかり通るなんて……やはり、不穏な噂は本当だったんですね」
「噂? なんだか知らねえが追い剥ぎってわかってんなら話は早ぇ! さあ、今すぐ身ぐるみ剥がしてやるぜお嬢ちゃん!」
「愚かな真似はやめてください。言うまでもありませんが強盗は重罪です。ですが、今ならばまだ引き返せます。今すぐに悔い改めるなら、ルールー様の名において赦しを与えましょう」
ミューリアは盗賊たちの脅迫に屈せず、歩みを進めながら法の神ルールーの教えを説いた。
「へっ、寝言はおねんねしてから言いな! おっと、小便臭い小娘はおねしょでもしちまうんじゃねえか?」
「お、おねしょはしないですっ!!…………もうっ、品のない言い方はやめてください!!」
顔を赤くしたミューリアが身構えると同時に、盗賊たちも戦闘態勢を取った。
「へっ、怯んだな! お前らやっちまえ!!」
「神官といえど所詮は小娘一人っス! 先手を取って、神力弾 の射程外から一気に距離を詰めて押さえ込めば楽勝っスよ! げへへへ」
(……親玉を含めて5人は脳筋みたいだけど、この人は戦術をきちんと考えていますね……。確かに、普通の神官なら荒事には慣れていなくて、先手も楽に取れます。神聖魔法は回復魔法は豊富だけど攻撃魔法は射程の短い神力弾だけで、今の距離なら届きません。その見極めは正しいです。でも…………)
ミューリアが3年間で培ってきた冒険者としての本能が敵の考えを先読みする。
「ようし、かかれ……」
「あなたたちの動きは読めています!!」
「何ぃ!?」
盗賊たちが動くより先にミューリアの体が動いた。背中のランドセルに結わえた戦棍 を抜き取り、前方の虚空に掲げて小刻みに動かす。ヘビーメイスと呼ばれるそれは決して軽くはないが、ミューリアはその重い得物を片手で自在に振るっていた。
「赤第四位、稲妻疾走……」
左足を引き、右手を胸の前で倒して左肩の後ろに構えた戦棍の先端。フランジと呼ばれる金属板の付いた鉄塊の周囲に、パチパチと白い煌きが舞う。青い空には雷雲はないがゴロゴロと空気が轟く音が響いてくる。その音とともに煌きの数が急激に増大し――。
「……ラァァァイトニングっ!!」
右足で大地を踏みしめ、斜め上から振り下ろしたメイスの先端が盗賊たちに向けられた瞬間、その先端からまばゆいばかりの電撃が一筋の光となって放たれた。
バリバリバリ……ドゴォォォォォンッ!!
「うぎゃあああ!!」
「ぐええええっ!!」
「ふごおおおっ!!」
「のわああああ!!」
かろうじて射線から逃れた一人を除いて、盗賊の手下たちは一瞬で黒焦げになって白煙を上げながら倒れた。親分はさすがに耐久力があり、同様に煙を吐きながらも膝を屈せず立ち続けている。
「ゲホッ、ゲホッ……な、何だ今のは? どう見ても神官の格好なのに魔術なんて詐欺だろ詐欺!」
「失礼ですね、法の神ルールー様の信徒に向かって詐欺だなんて。勝手にただの神官と思い込んだのはあなたたちじゃないですか」
「それが詐欺っていうんだろうが……それに何かさっきの詠唱だけキャラ変わってたんじゃねえか? 二重人格?」
「違います、単に神官であり魔術師でもあるだけです。それと、わたしたちの世代ではお仕置きとして放つライトニングはこう叫ぶのが定番なんです」
「親分、ま、まさかあの子、3年前噂になってたミューリアちゃんじゃ……」
神官の格好で魔術師ということで何かを思い出したのか、腰巾着が彼女の名前を言い当てた。
「なんだって? あの聖ローリー士官学校で大人気だったのに聖女騎士団に入らずに3年前に姿を消したという、聖女の再来と呼ばれていたミューリアちゃん!?」
「説明セリフありがとっス。確か、聖女騎士見習いにして神官並みの奇跡を起こし、おまけに魔術まで使いこなす天才少女だったと……あの子ならこれくらいやってもおかしくないっス。しかし変っスね。今頃15歳くらいになってるはずなのに、その頃と変わらないくらいちっちゃくてぺたんこに見えるっス。これはこれでいいっスけど」
「うぅ、ぺたんこ……ま、まだこれから成長するはずなんですっ!! とにかく、追い剥ぎのような無法な行為はルールー様が許しません。今すぐにこの場を立ち去りなさいっ」
能力はともかく身体的に成長していないという気にしていることを指摘されたミューリアは、顔をさらに赤くして怒ったような口調で言い放った。
「親分、どうするっスか?」
「へっ、上等だ! あのミューリアちゃんを捕まえたとあればそれこそ高く売れるぜぇ! てめえは下がってろ、こいつは俺がやる! 覚悟しやがれ!」
ドドドドド…………ブンッ!
機先を制された親分は体力に物を言わせて突進し、両手持ちの斧で彼女の腰の高さを薙いだ。直撃すれば、折れそうに細い彼女の腰は粉々に砕け散るだろう。だがミューリアは右に飛び退いて、切っ先の風圧に上衣を揺らされながらもその一撃を回避する。
「悪くない腕ですね…………でも!!」
着地したミューリアがそのままの勢いで体を回転させた。溜めを作るかのように彼女の腕と、その手に握られた戦棍が一瞬遅れて同じ向きに旋回する。彼女自身の筋力に、最大限の遠心力を重ね合わせて打ち付けたメイスが親分の脚を強烈に叩く。
バキィッ!!
「ぐぅっ!」
筋肉の鎧の上から骨にまで届くような衝撃。小娘と侮っていた親分は目を見開いた。
「っ痛ぇ……!! だが間合いは詰めたぜ、次は俺の番だ。すばしっこくても防御は紙だろ。一発当てさえすれば…………」
「法の神ルールーよ、我に加護を! 無法を戒める鉄槌を!」
ミューリアの祈りの言葉を受けて、首から下げた天秤の意匠、法の神ルールーの聖印が輝き出す。
「何ぃ!? 複数行動 だとぉ!?」
「……<ホーリースマイト>っ!!」
ドウッ!!
「ぎえーーーーーーーっ!!」
ミューリアが突き出した左手から、白く輝く光の弾丸が放たれ、至近距離で親分のみぞおちを直撃する。衝撃波が地面の草とミューリアの髪を揺らす中、彼女の数倍重い親分の体が軽々と吹っ飛ばされる。数メートル先の木の幹に叩きつけられた親分はそのまま動かなくなった。
「……首領は倒しました。剣を引いてくれますね」
「ひ、ひぃっ!!」
一人立っている腰巾着が怯えた表情でミューリアを見る。
「安心してください、命まで取りはしません。己の欲望のままに奪うのではなく、皆が決まりを守り、分かち合うのがルールー様の教えです。これに懲りたら、改心して人の役に立つ仕事についてください。そうすればあなた達にもルールー様の祝福が与えられるでしょう」
ミューリアはメイスを背中に収め、手を差し伸べて説教を始めた。喋りながらも一歩ずつ近づく。武器を収めながらも隙のない所作。変な動きが見られたら即座に古代魔術か神聖魔法が飛んでくるだろう。
「わ、わかったっス! これからは真面目に生きるっス!!」
気圧された腰巾着は頭を下げて一目散に逃げ出した。
「……わかっていただけたのですね。そ、それではわたしはこれで失礼しますっ」
ミューリアは彼が視界から消えるのを待たず、逆の方向へ駆け出した。
「うぅ…………お腹が…………」
ゴロロロゴロピィーーーッ!! ピーーグルギュルルゴロッ!
ギュルルルルルギュルギュルピィーーーーーーーーッ!! グギュゥゴロッ!
ミューリアの脚が止まり、お腹をおさえて立ちすくむ。彼女のお腹から水っぽく重苦しい音が鳴り響いていた。猛烈な下痢が彼女の腸の中身を出口へ向けて駆け下らせている。すでに直腸には大量の下痢便が流れ込んでおり、お尻の穴に絶え間なく圧力をかけ続けていた。
「やっぱり、一気に魔法を使ったせいで……手っ取り早く戦意を砕くためとはいえ、やりすぎたかもしれません……うぅっ……」
ゴロゴロピィーーーグピィーーーーーーッ!! ギュリッ!
グギュゥゥゥゥピィィィィィィィィィィィギュルーーーーーーーーーッ!! ゴロッゴロロッゴロロロロローーッ!!
知力が高いミューリアは並の魔術師より一段高い威力で魔法を操ることができる。しかし、そのために必要となる魔力に、彼女の小さな体は耐えられなかった。強力な魔法を使うと激しい下痢になってしまう。ミューリアは、重度の魔力過敏症と呼ばれる体質を抱えていた。もっとも、それがなくても彼女はひどい下痢体質で毎日30回近くも水状の便を出してしまうほどなのだが。
「なんとか街まで……だめ、がまんできない……せめてどこか、身を隠すところは…………」
グピィィィギュリグルルルルピィーーーグウーーーッ!! グピィーッゴロロゴロロロロロッ!!
ピィィィィィィィギュルギュリリリリリゴロロロロロッ!! ゴログギュルルルッ!
ミューリアはお腹を押さえて弱々しい足取りで歩くが、トイレのある町中、城の門までははるかに遠い。排泄はトイレですべきという当たり前の決まりを破ることに罪悪感を感じつつも、彼女はよろめく足取りで、吸い寄せられるように一番近い草むらへと向かっていく。
しかし、その少女の姿を背後から見つめる影があった。
「うへへへ……知ってるっすよ。ミューリアちゃんの弱点は、お腹が弱くてすぐ下痢しちゃうところだって。何でも逐電した理由は聖女騎士学校の卒業式で漏らしちゃったからとか……。その時の映像記録円盤が当時出回ってたから見たことがあるっス。卒業生代表挨拶の時に舞台上で大量に水下痢漏らしちゃって、あれはもう人前に出られないと思っても当然っスね。……てなわけで、後をつけて、下痢で動けないところを襲えば楽勝っス!」
「はぁ……はぁ…………あっ!!」
「!? しまった、独り言の声が大きくて気づかれたっスか?」
「だ、だめっ…………!!」
プジュブジュブジュビピピピピピピップゥーーーーーブプーッ!!
慌ててお尻を押さえた彼女の両手の下で水気たっぷりの気体が炸裂する。早くも我慢できなくなりおならが漏れ始めたのだった。
「も、もうだめ、ここで……!!」
グギュゥギュルルルピィーーーーッ! ゴロロゴロロゴロロゴロッ!!
グピィィィィィィィィィギュリリリリリリリグピィーーーッ!! ギュリリギュルゴロロロロッ!
ミューリアは左手で肛門を押さえつけたまま、神官服の中の革鎧の下に右手を差し込む。短いスカート状になっている革鎧は股間を直接覆っておらず、中に穿いている下着をすぐに下ろすことができた。彼女の小さなお尻がむき出しになる。駆け込もうとしていた草むらはまだ数メートル先であり、草原のただ中で彼女の身を隠すものは何もない。下ろした下着に小さな茶色い染みが浮かんでいるのも丸見えであった。
「危ない危ない、気づかれたかと思ったっス。もう我慢の限界で周りを見る余裕もないみたいっスね……」
「う、うぅぅぅっ!!」
ビュビチィィィビュルビシャアアアアッ!!
ブパッビィィィィビュルルルジャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! ブシャジャーーッブシャァァァァァッ!
ブビビビビビィィィィィビチィーーーーーーッ!! ジャァァァァブシャーーーーーーーーーーーーーーーッビィーーーーーーーッ!!
ビシャーーーーーーーーーーーーッビュルルルルルルルルルルルルルビチィーーーッ!! ブシャビチビチジャーーーーーーッ!!
丸見えのミューリアの肛門が大きく開き、洪水のような茶色い水状便が吐き出されてくる。健康さのかけらもない完全な水下痢。お腹が極度に弱い彼女が、さらに自らの魔力に刺激された結果、激烈な下痢が彼女の腸を蹂躙して駆け抜けていく。
「うわあ……これは噂に聞くよりひどい下痢ッスね……。いきなりものすごい勢いで茶色い水が出てるっス……」
「くぅぅ…………」
ギュルルルルギュルルルルルピーーーーーピィーッ!! ギュルーッ!!
ブピッビィィィィィィィィィィィィィッ!! ブシャッビィビシャーーッジャァァァァァァッ!
ビュビュビュビシャジャーーーーーーーーーーーッ!! ビュッビチビチビチビシャアアアアアアアアアアアッ!!
ビュルッビチィーーーーーーーーッブシャーーーッブビビビビビッ!! ブジャッビシャーーーーーーーーーーーーーーッビィィィィィッ!!
右手に握った戦鎚を杖のように地面に立てて体重を支えながら、左手はまくり上げた服がずり落ちないように押さえながらお腹をさすっている。激しい腹痛と下痢に苦しんでいる無力な少女の姿であった。
「うへぇ……後ろから見てるとすごい勢いで茶色い水たまりが広がっていくっス。もう靴の内側まで達してて、飛沫もものすごく飛び散ってて靴やお尻が汚れまくってるっスよ……ていうか元から靴が結構汚れまくってたっスね。そりゃ旅の間中こんな下痢してたら汚れないほうがおかしいっス」
「うぅぅっ!!」
ビュッブビィィィィィィィィィィィジャーーーーーーーーッ!! ビュビシャジャーーッビチビチビチビチ!!
ビシャビュルーッブビュッ! ビシャビシャビシャビュルルルルッ!! ブシャァァァビュルビュルーーーーーッブビッブビビビビビッブジュブジュブジュッ!!
ブビビブビッブジュルルルルルブジュブジュブビィィィィィィブジュグジュビジュッ!!
「うわっ、やっと下痢が途切れたと思ったらすごい音のおならが炸裂したっスよ。茶色い飛沫が雨みたいに降り注いでるっス……」
「はぁ、はぁ…………うぅぅ、早く終わって……あっ、くぅっ…………」
ブシャッビュルルルルブビューーーーーーーッ!! ブピッビュルルビィーーッブビューッ!!
ブピッビシャァビュルビチィーーーーーーーーーーッジャァァァァァァァァァァァァッ!!
ビチィーーーーーーーッビシャビシャビィィィィィィィィィィッ!! ブシャビィィィィィィィィビシャーーーーーーーッジャアアアアアッ!!
「うわ、まだ出るんスか……と、危うく実況に夢中でチャンスを逃すところだったっスよ。読者サービスは程々にして、まだまだ止まらなそうなうちにやっちまうっス。悪く思わないでくれっスよ、こんなところで下痢しちゃうミューリアちゃんが悪いんスから」
腰巾着が腰のカトラスを抜き放ち、真後ろから忍び寄る。ミューリアはお腹を押さえて目をつぶり、激しい腹痛に耐えながら水便を噴射し続けている。
「へっへっへ、命が惜しかったらおとなしく……」
「…………赤第二位、光刃斬撃! <エネルギースラッシュ>!!」
「えっ……」
ズバシュッ!!
音も立てず忍び寄っていた男は、突然光の刃が目の前に現れ大きく迫ってくる光景を見た。
「うぎゃああああああああ!!」
眉間から左頬にかけて、熱く鋭い光の刃が肌を切り裂き鮮血が噴き出す。直接目には当たらなかったが、流れる血が目に入って視界は一瞬で赤く染まった。
「はぁ、はぁ…………まったく、油断も隙もないんですから……」
強力な魔法で襲撃者を怯ませたミューリアは後ろを一瞥だにせず、息を整えてまだ苦しげに震えるお尻の穴を閉じた。
「な、なななんでそんな体勢から魔法が!? それに絶対見えてなかったはずなのに!!」
「……一世代前の魔術は全身の動作が必要だったけど、現代の古代魔法は両手さえ自由ならしゃがんでても大丈夫なんです。世の中便利になったものですね」
「何スか現代の古代魔法って! そんなことより見えてないのにどうやって魔法の標的にしたんスか!?」
「視界ですか、それは…………ご苦労でした、ノア」
「ピィッ」
空から舞い降りてきた一羽の白鳩がミューリアの肩に止まる。その2つの目が、膝をついた男を見下ろしていた。
「まさか…………使い魔!? 隠し芸だと思ってたのに正魔術師クラスだったなんて……完全に騙されたっス……」
「悔い改めると言ったのに、舌の根も乾かないうちから悪行を重ねるなんて……んっ……ルールー様は一度の過ちはお許しになっても……くぅっ…………二度目の過ちにはお怒りを、その次には天罰をくだされますよ……っ…………あっ、だめっ……!!」
ビチィーッブビィィッ……ビシャーッ! …………ビィッ!!
ビチブビューッ!! ビィィッ! ……ビュルッビィーッブビビビィーーッ!
ミューリアは懲りない男に説教を始めた。しかし、必死に下痢の便意に抗いつつも我慢しきれず水便をまた出し始めてしまう。
「ひぃっ…………でも下痢しながら説教されても全然怖くないッスね。そろそろ出しすぎて心配になってきたっス。大丈夫っスか?」
「……赤第五位、魔光閃槍! 〈マナジャベリン〉!!」
ズバシュゥゥゥゥゥッ!!
「ぎええええええええええっ!!痛い痛い痛いっス!! 許してぇぇ!!」
肩の向こうにのぞくメイスの先端から輝く光の槍が飛翔し、革鎧に包まれた胴を貫く。純魔力のダメージゆえに出血こそなかったがその熱量が白煙となって立ち上っている。
「…………次はもう、命の保証はしませんからね」
「いやさっきの時点で全然命の保証なかったっス! もうHPマイナスで生死判定も結構きつかったっスよ!!」
命だけは助かりたいという不屈の意思で立ち上がりながら、腰巾着は震える声でツッコミを入れる。
「わ、わかっているなら……ぐっ…………い、今すぐ向こうに行ってくださいっ!! 早くっ!!」
ゴロッグルルルルルルルルルグギュルルルルルルルルルッ!!
ギュルルギュルルルルルルルゴロロロロロロロロッ!!
お腹をギュルギュルと鳴らし涙を浮かべながら、ミューリアは叫ぶように命じた。メイスの先端が先ほどと同じ白色に輝き出す。
「ひ、ひぃぃぃっ!! わ、悪かったッス! もうしません! 助けてぇぇ!!」
怯んだ男は武器を取り落としたまま転びかけながら逃げ出した。
「…………早く……もう……だめ…………うぅぅぅっ!!」
ビュルッビュルルルルルビシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーッビチィーーーーーーーーーーーーーーッ!!
ブシャッビュルッビィィィィィィィィッ!! ビュルッブシャァァァァァァァビュルーーーッ!! ブビビビビビビッ!!
ブシャッブシャビチィーーーーーッビシャビュルーーーーーーーッ!! ブパッビシャビュビチィーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
ビュルビィーーーーッビシャーーーーーーーーーーーーーーーッブビビビビィィィィィィィィィッ!! ブジャッブシャァァビシャーーーーーーービュルルルルルルルッ!!
男の足音がまだ消えないうちにミューリアは限界を迎え、凄まじい勢いで水状便を吐き出し始める。足元に広がっていた水たまりが一層広がり、靴の外側までも達してしまっている。
「…………はぁっ、はぁっ…………強力な攻撃魔法は魔力消費が大きいから、お腹が…………あぁっ!!」
ゴロピーーーーーーーーーーーーーギュルゴロロロロロロロロッ!! グギュルピィグルルピィーーーーッ!
ビュルッビュルーーッジャァァァァビシャーーッビシャビシャブシャーーーッ!! ビュルッブビュルルルルルルルッ!
ビシャーーーッビシャビチビチビチィーーーーーーーーーッ!! ブピッビュルジャーーーブシャァァァジャーーッ!
ビシャビシャーーーーーーーーッビィーーーーーーーーーーーーッ!! ブジャッビュルジャーーーーーーーーーッ!!
ビュルーーーーーーーーーーーーーーッビチィィィィィィィィィィィビュルルルルルルッ!! ブジュビィーーーーーーーーーーッビュルーーーーーーーーーーーーッビシャビシャジャーーーーーーーーーッ!!
さらに大量の水下痢が彼女のお尻から吐き出されていく。茶色い水の放出、ガスの炸裂、お腹の音が何度も何度も不規則に繰り返され、10分以上過ぎてやっとミューリアのお腹は落ち着き始めた。
「はぁ、はぁ、はぁっ…………やっと、一難去りましたね……それにしても、思っていた以上に治安が悪いみたいですね。魔域の勢力が盛り返しているとも聞きましたし、人と人とが争っている場合ではないはずなのに……」
ミューリアはそうつぶやいて、何度も教科書で読んだローライト王国建国の歴史を思い出していた。
ローライトが位置する中央大陸は古代魔法王国時代に繁栄を極めたが、その魔法王国が崩壊した後は魔物や魔神、邪神の眷属が跋扈する魔界と呼ばれるほどの暗黒時代に覆われていた。わずかに残された人間たちは邪悪の脅威に怯えながら身を寄せ合うように暮らしていたが、大陸南部に今や名前すら伝わらない魔王国が生まれると、魔物たちの脅威にさらに邪悪な人間たちの謀略が加わり、善良な人々の住む土地は残さず奪われていった。ついには大陸の北端の小さな港町を残すのみとなり、他の大陸に逃げ出すための船すら破壊されて滅亡の日を待つのみとなっていた。しかしその時、一人の少女が法の神ルールーの神託を受けて立ち上がった。ローライトの歴史の中で幾人か称えられる聖女伝説の始祖とされる、聖女ローリーである。
法の神ルールーの敬虔な信者であった彼女は人々の精神的支柱となったのみならず、自ら戦場に出て神の力を振るい、魔族に抵抗する人々を支え助けていった。彼女一人で魔族を駆逐するには至らなかったが、その姿に打たれた人々は次々と武器を取り立ち上がった。その中にいたのが後に「聖王」と称えられる智将ローランであった。臆病で魔族から逃げ隠れていた彼は聖女ローリーを守るために立ち上がり、自らの武勇には優れなかったものの指揮官として類稀な能力を発揮した。当初は圧倒的な戦力差ゆえに敗退を繰り返し「逃げ足のローラン」と揶揄されたが、地の利を活かしての抵抗で戦術レベルで時間を稼ぎながら戦略レベルで補給や装備を整え、現場指揮官を育成し、徐々に劣勢を覆していった。彼と聖女ローリー、そしてその仲間達はついには「魔王」ともよばれた魔王国の王とその眷属をも打ち破り、中央大陸を暗黒時代から解放したのであった。その最後の戦いにおいて、聖女ローリーは自らの身に法の神ルールーを降臨させる奇跡を起こしたとも伝えられている。苦難の時代を乗り越えた人々に秩序の光あれと、新しい国の名は神聖王国ローライトと定められた。
初代国王には戦功大なる智将ローランが推された。後に聖王と讃えられる初代国王の治世は平和と秩序を旨とし、魔物の脅威から国土を守るための騎士団が長年恐怖に苦しめられた民衆に安心を与えた。一代の英雄としていくらでも強権を振るうことができたはずだが、ローランは王権を最小限に抑え、立法、行政、司法の権限を分割し、それぞれを法に基づいて選ばれた優秀な官吏に委ねた。これにより、暴君が国政を恣にすることなく、安定した発展を重ねる礎が築かれた。世代が変わっても秩序を保ち続けるこの仕組みは機能し続け、ローライトはまだ残る闇の領域を徐々に併合しながら発展を重ねていった。
王妃となった聖女ローリーも国民の絶大な支持を集め、彼女はその求めに応えて戦禍に荒れ果てた国中を巡り人々を励ました。その足跡は今でも聖蹟として各地に伝えられている。彼女の功績と勇気を称え、少女のみからなる騎士団「聖女騎士団」とその候補生を育成する「聖ローリー士官学校」が設立され、国内の少女たちの憧れとなっていた。
以来ローライト王国は数百年の時を閲し、悲願の大陸統一はまだ成らずとも、着実に魔域を駆逐して領土を広げ、確固たる統治体制が内政の発展をもたらし、大国としての発展を続けてきた。ミューリアが故郷を離れた時も、その安定と秩序は揺らぐことはないと誰もが思っていた。それがわずか数年の間に、聖都の間近で非道をはたらく盗賊をも取り締まれない有様になっているとは。なぜ、と何度も心のなかで問いながら、ミューリアは3年ぶりとなる聖都の門をくぐった。
「聖女、ローリー様……」
ローライトの各都市には、それぞれの街の守護聖女の像が飾られている。聖都ローラを守護するのはもちろん、建国の聖女ローリーである。はにかむような笑顔を浮かべ、長い金色の髪をたたえた少女の像。肌や服の色まで再現され等身大に作られた像の高さは140cm。身長が141cmに達したミューリアは生まれて初めて、その像の目をわずかに見下ろすことになった。聖都においてはこの像より背が高くなることは少女が大人になった証としてお祝いされることになっている。建国から数百年を経ても聖女ローリーは国民から敬愛されていた。
(わたしも、ローリー様より背が高くなってしまったんですね……)
ミューリアは感慨にふけりながら聖都の門をくぐった。聖女ローリーとほとんど変わらない身長や、下手をすると起伏のないローリーの像よりさらにぺたんこな胸はともかく、15歳の年齢はこの世界では立派な大人であった。
陸路海路を問わず、聖都ローラに入るには入城審査を受けることになる。いくつもの書類を書かされ、審査官の尋問に答えねばならない。敬虔なルールー信徒である国民は嫌な顔一つせず指示に従っていくが、他国民には耐え難い面倒さであり、これが他国民の入国を妨げる無言の圧力となっている。それはローライトの安定を維持する助けとなっているが、同時に停滞を助長する一因ともなっていた。
「うぅっ……」
ゴロゴロロロピィーッ…………ピィィィィギュルルグギュルーーッ!
ギュルグピィーーッ! ゴロギュルギュルゴロギュロロロロッ!!
(さっきしたばかりなのに、またお腹が……)
審査待ちの行列の先頭に並ぶミューリアは、お腹に手を当てて両脚を密着させて震えながら順番を待っていた。
「うぅぅぅぅ…………!!」
グギュルルルギュルーーーーッ!! グギュゥゥゥゥゥギュルルルルルルグウーッ!!
ゴロピィィィィィゴロロロログギュルーーーッ!! グギュルルルルゴロゴロゴロロロロッ!!
お腹の痛みが急激に強くなり、お尻に水っぽい感覚が押し寄せてくる。極度にお腹が弱い彼女にとっては1日30回近く便意をもよおすのは日常であり、さっき野外で水下痢を大量に出してから30分も経たずにまた激しい便意に襲われていた。
(……審査が終わるまで我慢できないかも……。一度列を離れて、トイレに行っておいた方がいいでしょうか……)
「次の方どうぞ」
「え……あっ、はいっ」
彼女が後ろを振り返り、トイレのある方向を見ようとした時、前方から呼ぶ声が聞こえた。ミューリアは慌てて顔を上げた。
(ちょうど順番が…………だ、大丈夫、今ならまだ我慢できそうだから、きっと……)
ミューリアはお腹を擦りながら、震える両足を前に踏み出した。
「ミューリア・アーテリーゼさんですね」
「……はい」
審査官の女性に名前を呼ばれたミューリアは、やや青ざめた顔で答えた。顔に汗が浮かぶ。便意を我慢している時にどうしても浮かんでしまう脂汗だった。
「年齢15歳。出国日は約3年前。法の神ルールーの教えの布教および神官としての自己研鑽のため国外を旅し帰国した、ということで間違いありませんか?」
「は、はい」
ミューリアは入城審査官の言葉にうなずいた。書類を書いたのが遠い過去のように感じられる。時間が加速するかのように増していく腹痛と便意が彼女の意識を包みこんでいた。
「職業はルールー神官とありますが、国内教団での階位はお持ちですか?」
「あっ……正式に任官される前に出国してしまったので、まだ階位はありません。その、入国後に教団に出向き、然るべき手続きをさせていただこうと思っています」
「わかりました。では、信仰の確認と誓約書の確認のため、法の神ルールーに<ディテクト・フェイス>と<センス・バイオレーション>の奇跡を授けていただきます。あなたはこれを受け入れますか?」
「は、はい。お願いいたします」
ミューリアは前かがみになりかけていた体を強張らせて背筋を伸ばした。<ディテクト・フェイス>は、信仰する神の名と、神官としての徳の高さを調べる奇跡――神聖魔法であり、<センス・バイオレーション>は、ルールーの神官のみが使える奇跡で、法や決まりに違反しようとしている者を検知する神聖魔法である。ルールーの奇跡をその身に賜るにあたっては姿勢を正さねばならない。ミューリアはお腹の痛みとお尻の圧力をこらえながら前を向いた。
「では……法の神ルールーよ、我に加護を。彼の者の信ずる神の名を教え給え。<ディテクト・フェイス>!」
「………………」
ミューリアは目を閉じ、自らの体を包む鋭い感覚に身を委ねる。
「なんと、その若さで司祭級の……失礼しました。ルールー様への信仰に偽りなきこと、確かに示されました。では、形式的ですがこちらも……法の神ルールーよ、我に加護を。法を破らんとする者を光の下に照らし給え。<センス・バイオレーション>!」
「……………………」
ギュルルルルルルピィーゴロギュルーーッ!
グピーーーーーーーグルルルルルルルルルルルルルルピィーーーーーーーーッ!! グピィギュルルギュリリリグルルッ!
(は、早く、早く終わって……!!)
ひどい音を立て続けるお腹の痛みに耐え、ミューリアは必死に姿勢を保つ。ぴったりと閉じた肉付きのないお尻が震え続けている。
「……?」
「……な、何か不審な点でも……?」
「……いえ、失礼しました。あなたには何の疑いもありません。法と秩序に背く意思なきこと、確かに示されました。入城を許可します。ようこそ、聖都ローラへ」
「あ、ありがとうございます……っ!?」
ゴロロゴロゴログウーッ! ギュルルルルルゴログギュルーーーーーーッ!! ゴロギュルッ!
ギュルグルルルルルルルグギューーーーッ!! グピーーーギュルギュルギュルーーーーーッ!!
ゴロッゴロロロロロピィーーーーーーーーグギュルーーーーッ!! ゴログルルルルグピィーーーーーーッ!!
(ど、どうして……こんな急に、お腹が…………もしかして、ルールー様の奇跡を受けたから……? だめ、我慢できない…………!!)
猛烈な勢いで高まっていく便意。あまりの圧力にお尻の穴が勝手に開きそうになる。
「あ……っ……うぅっ…………!!」
「どうしましたか?」
「あ、あのっ…………トイレにっ…………あ、あっ…………」
グギュゥゥゥゥゴロロギュルピィィィギュルーーッ!! グピィィィゴロロロロロロロゴロギュルルルルッ!!
ピィィィィィィィゴロギュルルルルルッ!! グギュゥゥゥゥゥゴロゴログルルルルルルルルルルルッ!!
坂道を転がり落ちるかのように加速度をつけて高まっていく腹痛と便意。声を出すこともできないほど切迫した感覚が肛門の内側に押し寄せる。
(我慢しなきゃ……こんなたくさんの人の前で……お漏らしなんてだめ……!)
「大丈夫ですか? トイレならあちらに……」
ミューリアは指さされた方向を見た。50mほど先、建物の隅にトイレの入口が見える。全力で移動すれば10秒でたどり着ける距離。しかし、ミューリアのお腹の中に渦巻く水下痢がそれを許してくれない。全神経をお尻に集中させていなければ次の瞬間には漏らしてしまう。いや、全神経を集中していてももう我慢できなくなってきている。
ブチュビピッブジューーーーッ! ブジュブジュブビッ!
「あ……あぁっ!!」
肛門から破裂音が響き、下着の中に液体が広がる。
ブビューーッ! ジャーッ! ビュルッビシャビュルルルッ!
「だめ……だめっ…………こんなの……!!」
急激な便意とはいえ、もよおし始めて数分も経っていない。まだ我慢できるはずだった。だが、運悪く猛烈な便意が押し寄せ、お尻の穴が開き始めてしまう。36回に1回ほどの低い頻度であるが、必死に抵抗しても耐えられず漏らしてしまうことがある――人はそれを、女神の悪戯と呼ぶ。この箱庭世界を治める、少女の恥ずかしい姿が大好きな女神クルミールがもたらす、運命の悪戯。だが、仮にそれがミューリアの信仰しない女神の仕業だったとしても、少女の身に起こった現実が変わるわけではない。
人前でのお漏らしということが。
「あ…………あぁぁぁ…………」
ゴポッゴポビィッブジューーーーーッ!! ビシャァァァァァァァァァァァブビューーーーッ!! ブシャブジュルルルルッ!!
ビシャブシャァァビィッ!! ゴボボブジューーーーッ!!ブパッブシャーーーーーーーーーーーーーッビィーーーッ!!
ブシャァァゴボボボボブシャーーーーーーーーッビチビチビチビュルルルルルッ!!
ジャァァァァァァァァァビチャビチャビチャ!! ビュルッビィィィィィィィィィィィィゴボッビチビチッブジューーーーーッ!!ビュルビィーーーーーーーーッ!!
必死に我慢を続けていたミューリアの肛門が決壊する。白い――正確には、何度もちびったり漏らしたりして洗っても落ちなかった染みが黄色く残っている――下着が半球形に膨れ上がり、次の瞬間には表面が茶色に染まる。凄まじい勢いでパンツの中に水下痢を噴射してしまったのだ。
「だめっ…………止まってっ…………やだっ!!」
ブジャッジャァブシャァァァァビュルルルルルブシャーーーーーーーーーッ!! ゴボボボボビュルルルルルビィッ!
ビチィィビシャビシャビシャーーーーッ!! ブジュブジュゴボッビチビチビチビシャビュジャーーーーーーッ!
ブシャーーーーーーーーーーッビチビチビチゴポッ!! ゴボボボボッゴボビュルルルルルルッ!! ブパッビィィィィブビィーーーーッビシャーーーッ!!
ブシャビシャビュルッビチィーーーーーーーッ!! ビシャーービチチチチチブビューッ! ブジャッビシャァァゴボッビシャァァァビュルルルルブビビビビビィィィィッ!
凄まじい量の水便がパンツの中で渦巻きおぞましい音を立て、あっという間にパンツの脇からあふれ出す。流れ落ちるのは粘性のない完全な水。茶色い水が脚を伝うより早くパンツの脇から地面に向かって降り注ぎ、飛沫を撒き散らしながら水たまりを作り広げていく。
「うあぁぁぁっ…………だめ……だめっ…………!!」
ブパッビチャビィーーッビュルルルルルッ! ブジャッビチィーーッビュルルルルルーーーッ!!
ジャァァァァァァビチィーーーーーーーーッゴボボボボボ!! ビュルルビシャァァァァァァビチビチビチゴボジャーーーッ!!
ブジュビュジャーーーーーーーーーーーービチャビィーーーーーーーーッ!! ゴボゴボゴボブパッビシャァァァァァァァァァァァァァァァビィーーーーッ!!
ブジューーーーーーッビュルルルルルルルルルッ!! ビチビチッブジュルルルルルルゴボボボボボボボブピッブシャーーーーーーッビュルーーーーーーーッ!!
パンツの中一杯に溜まった水下痢の中にさらに茶色い液体を注ぎ込む。膨らみも吸水も限界に達したパンツはもはや吐き出される水便を留めておくことができず、出した分だけほぼそのまま脇から流れ落ちて、床の上に茶色い海を広げていく。流れ出さなかった分は、前と後ろの本来汚れるはずがない縦筋の上や腰の後ろまで汚れを広げていった。
「おい、あの子……」
「うそ…………こんなところで…………!?」
「ひどい下痢…………可哀想に……」
「うぇぇ……ひどいにおい……気持ち悪い……」
「あぁぁ…………やだ…………見ないで……ください…………」
並んでいた人々や管理官の視線がミューリアに集まる。同情と好奇と嫌悪と、多くの人の視線と感情にさらされながら、ミューリアはその場に立ち尽くし、悲惨な水状便のお漏らしを続けていた。
「うぅぅっ…………うぁぁ…………あぁぁぁぁぁっ!!」
ビュッビュルビィーーッゴポポポポポポポブビィーーーーーーッ!! ビチビチビチブジュルルルルルブシャーーッ!
ブシャビュルブシャーーーーッビシャビシャアアアアアッ!! ゴボゴボゴボビュルッ! ビシャブシャーッビュルビチィーーーーーーーーーーーッ!!
ブシャッビュルブジュゴボッビュルルルルルジャーーーーーーーーーッ!! ブシャッビチャブシャァビチビチビチッジャァァァァビシャァァァァブジャアアアアアアアッ!!
ビシャビュルビシャーーーーーーーブシャーーッ!! ブパッビュルルルルルルルルルルルルジャアアアアアアッ!! ビチゴボゴボッビュルッビシャーーーーーーーーーーーッ!!
ミューリアの目から涙がこぼれ落ちる。ルールー神官として、年頃の少女として、必死に耐えていた心と体はついに限界を迎えていた。羞恥に染まった顔を歪め、まだ止まらない水便をパンツの中の汚水の海に放ち続ける。
両足の内側は完全に茶色に染まり、靴下や靴まで汚水が浸し尽くしていた。彼女を中心に広がる水たまりが、周囲の人を遠ざけるかのように広がっていく。
「ぐすっ…………ひぐっ…………」
数メートルもの直径に広がった茶色い海の中心で、ミューリアは腸内の汚水を出し切って立ち尽くしていた。立っていることすら苦しかったが、座り込んでしまったら神官服まで汚れきってしまう。既にお尻の周りはかなり汚れているが、今ならまだ洗えばなんとかなる。何度もお漏らしを繰り返しているがゆえに、守らなければならないものが彼女にはよくわかっていた。
「……ミューリアさん」
「あ……はい…………うぅっ、ごめんなさい、すぐ綺麗にしますから…………」
名前を呼ばれた彼女は顔を上げた。自分の失態は自分の責任で片付けなければならない。だが、彼女の耳に飛び込んできたのは、予想もしていなかった言葉だった。
「それには及びません。証拠隠滅させるわけにはいきませんから」
「…………え?」
「ミューリア・アーテリーゼ。失禁禁止法違反の現行犯で逮捕します」
「…………な……えっ…………ど、どういうことですかっ?」
ミューリアは当惑し、恥ずかしいお漏らし姿のまま審査官に問い返した。
「どうもこうもありません。失禁禁止法第6条の1、公共の場所で大便を失禁した者は6月以上3年以内の矯正修養に処す。法律に従い、あなたを逮捕します」
「な、何ですかそれ……!? ローライトに、そのようなおかしな法律は……」
「おかしな法律とは何事ですか。法理卿の審判をいただいて1年前に国王陛下が公布された法律、知らなかったで済まされないのはルールー神官であるあなたならご存知でしょう!」
「そ…………そんな…………」
ミューリアが国を出る前にはこのような法律はなかった。1年前に公布されたという法律を知らなかったことに非がないとは言えない。しかしそれにしても、誰が考えてもおかしな法律であり、すぐに受け入れることは法と秩序を尊ぶルールー神官である彼女にもできなかった。
「警備兵! 失禁禁止法の現行犯です。この者を連行しなさい」
「えっ…………あ、ま、待ってください、せめて、着替えと、あとそのっ、まだ出ちゃいそうで、一度トイレに…………!!」
「逃亡防止のためトイレに行くのは認められません。拘置の後、矯正修養女学校にて指導を受けてもらいます」
「…………そんな……お願いです、少しでいいから、トイレに…………あぁぁぁぁっ」
ブピッビチィーーッブジュブジュゴボボボボボビュルッ!!
ビシャーーーーーーーーージャーーーッ!! ビュルブビューーーッゴボゴボバシャバシャッ!!
少女は下半身を茶色い液体で自ら塗りつぶし、床にも茶色い汚水の帯を伸ばし所々で立ち止まって水たまりを作りながら、拘置室へと連行されていった。
ミューリアが必死の懇願にも関わらず連行された後には、彼女が作り上げた茶色い水状便の海が残された。
審査官がため息をつき、複数の職員が汚物の清掃を始める。人々のざわめきはすぐに収まり、彼女が残した痕跡から目を逸らした。
その光景を窓の外で見下ろしていた一羽の白鳩が、かすかに音を立てて大空へと羽ばたいていった。
聖都のお膝元に我が物顔でのさばる悪党。正気とは思えない法律に従う官吏。声を上げず理不尽から目を背ける人々。
それに立ち向かうべき少女は、自由を奪われて囚われの身となった。
「独房……じゃなかった、個別指導室が足りない?」
「はい。予想以上に指導対象となる生徒が多く……」
「地下に大きな部屋があるでしょう。あそこを開けて特別集中指導室としましょう」
「確かに、使われていない部屋はあります。しかし……水道もトイレもないところに閉じ込めるというのはあまりに……」
「構いません、これも指導の一環です。そうね、可哀想だからこれを使わせてあげましょうか」
「…………こ、これを……?」
神聖王国に帰ってきたミューリアを待ち受ける苦難と試練。
彼女の行く手に立ちふさがるのは強大な敵か、それとも底知れぬ陰謀か。
「法理卿猊下、例の法律の改正案をお持ちいたしました。何卒よしなにご裁可の程を…………」
「………………」
彼女は試練に打ち勝つことができるのか。それとも再びお腹を壊し、恥ずかしいお漏らし姿を人前にさらすことになるのか。
人々が信じる法の神ルールーの神託は、未だ何も語ってはいない。
「…………」
「やはり神聖騎士団とともに最前線に出たいですか? 慰問や式典の見世物ばかりでなく、人々のために剣を振るいたいと……」
「……いいえ、聖女騎士団が実戦に出ずに済むのは、まだ秩序が保たれている証よ。それに、聖女ローリーはかつてこうおっしゃったわ。事あらば躊躇わず剣を取れと。神聖王国存亡の危機は、明日にも来るかもしれないのだから」
「そうですね。私たちはその日のために剣を磨き続けると……。では、今は与えられた任務を果たしに参りましょうか……総代、ご命令を」
「ええ。聖女ローリーよ、私達をお導きください。聖女騎士団、出陣します!」
数百年の間動いていなかった歴史の歯車。
導かれるように集った少女たちがその歯車を噛み合わせ、運命の輪は人知れず回り始めた。
「へぇ…………みゅーから聞いた話じゃ退屈な国って思ってたけど、なかなか面白そうなことになってるじゃない。これなら、あたしの出番もありそうね」
少女たちが交えるのは言葉か、信念か、それとも刃か。
法の神ルールーの加護と、伝説の聖女ローリーの祝福は、誰の頭上に与えられるのか。
「間違いない…………やっぱり、この国は……おかしいです……」
中央大陸に巣食う絶えない闇と戦い続ける神聖王国ローライトは、秩序がもたらす国力とたゆまぬ鍛錬で鍛え上げられた騎士団の力で平和を保ち続けていた。人知を超えた怪物が現れることも幾度もあったが、それに対抗するかのように現れる神の力を秘めた聖女がこの国と人々を守り続けていた。
しかし、外患を余さず打ち破ってきたその歴史は、果たして悪意ある内憂に対しても勝利の文字を刻めるであろうか。
時に、箱庭新暦2027年。
神聖王国ローライト開闢以来の動乱が、今ここに始まろうとしていた。
ローライト王国戦記 -幻の聖女-
第1話 神聖王国の少女 終
キャラクター紹介
ミューリア・アーテリーゼ
「法の神ルールーよ、我に加護を!」
年齢:15歳
体型:142.2cm 36.7kg 66-48-68
種族:人間
役割:神官戦士・魔術師
装備:ヘビーメイス(発動体)、ソフトレザーアーマー、聖印
ぴーぴー属性:水状便、超頻繁排泄、魔力過敏症(重度)、神経性下痢(軽度)、おもらし体質(軽度)、便意突発、不運(トイレ行列中)
◆ 概要 ◆
法の神ルールーに仕える神官。幼い頃から法の神の声を聞き、さらには恵まれた身体能力を活かして、聖女騎士団の候補生として聖ローリー士官学校を首席で卒業した。しかし卒業式の最中に舞台上で水下痢を漏らしてしまい、恥ずかしさと厳粛な式典を汚してしまった罪の意識から王国を出奔し冒険者として各国を旅していた。
ルールーの神官にふさわしく真面目でやや堅苦しい性格。困っている人を見つけると見捨てておけないので冒険者としては様々な依頼を積極的に受けており、今回も不穏な噂を耳にしていてもたってもいられず故郷に舞い戻ってきた。
◆ 容姿 ◆
水色の髪をおかっぱに切りそろえた真面目そうな印象の少女。体型は年齢に比べて小柄であり、特に胸は全く発育していない。
衣服は白の神官服とランドセル型の鞄を身につけることが多い。冒険でもソフトレザーアーマーの上から白の神官衣を着ている。冒険でもズボンでなくスカートを好んで身につけているが、おもらし時の被害を軽減するためというのがもっぱらの噂である。
◆ 能力 ◆
すべての能力が平均以上という恵まれた才能の持ち主。特に器用度・敏捷度・知力が高い。実は父から手ほどきを受けた古代魔法も実戦レベルで使いこなせるため、動作を阻害しない軽革鎧を身に着けて様々な魔法を使いこなす。後衛の仲間がいる場合には古代魔法を使わずチェインメイルを身に着けて前衛でタンク役をこなすことも可能である。
技能は多彩ではあるがどれかを極めているものではなく、絶対的な強敵と正面からぶつかり合うほどの力はない。しかし、その時でも生き延びるために知恵と精神力を尽くすことができるのが彼女の真の強さである。
鞄の中に羊皮紙を大量に持っていて、冒険の間の様々な情報をメモしており「みゅーメモ」と呼ばれ頼りにされている。この羊皮紙は別の目的で使われることもある。
◆ ぴーぴー属性 ◆
壊滅的にお腹が弱く、毎日30回近く水状便を吐き出している。さらに、魔法を使うと急激に下痢が悪化し、戦闘の後には必ず草むらに駆け込まねばならないほどである。また、細かいことも気にしてしまう性格から問題を抱え込んでストレスを感じることが多く、神経性の下痢と腹痛にも悩まされている。ルール違反を見つけてお説教を始めたものの下痢が我慢できなくなって中断してしまうのがよくある光景である。
トイレのある街中では安心と思いきや、なぜか駆け込んだトイレに行列ができていることが多く、長時間の我慢を強いられておもらしに至ってしまうことが多い。腹痛に苦しむ可哀想な様子から下痢しているのは一目瞭然であり、先に入っていいと声をかけられることも多いが、法の神の神官として秩序を乱すわけにはいかないと固辞してしまい、ついには力尽きてしまうことも少なくない。
当日排泄回数
1回目 04:30:22-04:41:21 10m59s 起床前 宿場町宿屋トイレ(和式) 水状便 452g
2回目 05:03:43-05:10:15 6m32s 起床前 宿場町宿屋トイレ(和式) 水状便 282g
3回目 06:01:25-06:16:22 14m57s 起床時 宿場町宿屋トイレ(和式) 水状便 ちびり38+126g
4回目 06:44:26-06:48:22 3m56s 朝食前 宿場町宿屋トイレ(和式) 水状便 312g
5回目 07:18:22-07:36:21 17m59s 朝食後 宿場町宿屋トイレ前(立ちおもらし) 水状便 おもらし285+185g
6回目 08:12:25-08:17:31 5m6s 朝食後 宿場町宿屋トイレ(和式) 水状便 265g
7回目 09:05:22-09:08:33 3m11s 徒歩移動中 街道脇木陰(野外) 水状便野外排泄 252g
8回目 09:51:32-09:55:25 3m53s 徒歩移動中 街道脇木陰(野外) 水状便野外排泄 286g
9回目 11:01:22-11:12:22 11m0s 徒歩移動中 街道上(野外立ちおもらし) 水状便野外排泄 おもらし451+47g
10回目 11:48:44-11:53:15 4m31s 昼食前 街道脇の林(野外) 水状便野外排泄 301g
11回目 12:33:25-12:38:45 5m20s 昼食後 街道脇の林(野外) 水状便野外排泄 402g
12回目 13:14:22-13:17:26 3m4s 徒歩移動中 街道脇の草原(野外) 水状便野外排泄 ちびり20+367g
13回目 14:20:22-14:23:31 3m9s 徒歩移動中 街道脇の草原(野外) 水状便野外排泄 ちびり28+285g
14回目 15:05:33-15:15:43 10m10s 野盗撃退後 街道脇の草原(野外) 水状便 522g
15回目 16:04:12-16:10:22 6m10s 入城審査後 検問所(立ちおもらし) 水状便 おもらし582+0g
16回目 16:14:23-16:16:21 1m58s 逮捕後 検問所(しゃがみおもらし) 水状便 おもらし165+0g
17回目 16:38:22-16:43:12 4m50s 勾留中 拘置室(座りおもらし) 水状便 おもらし231+0g
18回目 17:05:33-17:09:22 3m49s 勾留中 拘置室(立ちおもらし) 水状便 おもらし252+0g
19回目 17:23:32-17:26:12 2m40s 勾留中 拘置室(立ちおもらし) 水状便 おもらし182+0g
20回目 17:53:22-18:05:12 11m50s 勾留中 拘置室(桶) 水状便 621g
21回目 18:40:22-18:43:42 3m20s 勾留中 拘置室(桶) 水状便 332g
22回目 19:33:22-19:39:12 5m50s 勾留中 拘置室(桶) 水状便 412g
23回目 20:12:12-20:19:18 7m6s 勾留中 拘置室(桶) 水状便 容器外30+484g
24回目 20:41:41-20:45:11 3m30s 勾留中 拘置室(桶) 水状便 391g
25回目 21:25:12-21:33:14 8m2s 勾留中 拘置室(桶) 水状便 容器外41+488g
26回目 22:05:12-22:06:25 1m13s 勾留中 拘置室(桶) 水状便 284g
27回目 22:41:51-22:50:33 8m42s 勾留中 拘置室(床) 水状便 513g
28回目 23:10:22-23:15:31 5m9s 勾留中 拘置室(床) 水状便 312g
29回目 23:50:12-23:57:51 7m39s 勾留中 拘置室(床) 水状便 485g

あとがき
初めて……ではありませんが久しぶりのファンタジー系ぴーぴー小説をお送りします。ファンタジーぴーぴー小説の第一人者、ななじゅさんの作品に登場する「箱庭世界」を舞台に、冗談みたいに高い能力値と信じられないほどに弱いお腹を誇る神官戦士ミューリア、通称みゅーとその仲間達が活躍する冒険ぴーぴー活劇です。
もともとは2006年頃にななじゅさんがぴーぴー好きなメンバーでTRPGをやりたいとのことで、当時最も普及していた和製TRPGのソード・ワールド(1.0)の冒険ルールに我慢判定を加えて排泄・おもらしを取り扱えるようにしたルールで遊んでいました。みゅーは「正義と秩序の神ファリスの神官で真面目でトイレを我慢しがち」という設定で作り始めたところ、なぜか初期能力値が圧倒的に高い、さらに生まれ表で経験点が一番必要な魔術師を引くという驚愕のキャラメイク結果になり、楽しそうなので「ソーサラー魔法も使える魔法神官戦士」というアホみたいなキャラ設定になり、システム的には強くはなかったもののパーティー構成や状況によって前衛から回復役から便利魔法使いまでこなす使いやすいキャラになり、第一期PCパーティ「PPガールズ」の一員として活躍しました
第1部キャンペーン終了をもってぴーぴーRPGもソード・ワールド2.0をベースにしたシステムに移行したのですが、これにファリスに相当する真面目委員長タイプの神が登場しなくなってしまったので、法の神の神官がアイデンティティであったみゅーはシステムと世界設定の狭間に落ち込んでしまいなかなか再登場できなくなってしまいました。しかし新訳冒険者でいこう!やクズは死んでも治らないシリーズで「箱庭世界」の設定が再構成され、ちょうどぴったりの法の神ルールーが設定されたことでついに再登場できる運びとなりました。
RPGではあまり一人のPCとして目立たせすぎるわけにもいかなかったのですが、小説化ということでみゅーに主役として思う存分活躍してもらおうと、故郷の神聖王国ローライトに起きた異変を解決するシナリオにしてみました。ローライトは名前だけ決まっていたのを勝手にいろいろ設定を付けていて、それを今回箱庭世界版の設定に合わせて落とし込んだ設定です。法の神を信仰する大国で厳しい法律としっかりした制度が整っていますが、それ故に停滞や腐敗の影も忍び寄っている……という状況です。シティ・アドベンチャー的な展開ですが、ファンタジーらしい戦闘シーンもビシバシ用意していきますのでご期待ください。
題名は見てわかるようにロードス島戦記の雰囲気でつけさせていただきました。本格ファンタジーと魅力的なキャラクターをシビアな物語で描ききった水野良と、直感的にわかりやすく数学的にも美しいルール体系を作り上げ、そのルールを活かしたシナリオを完遂させた清松みゆきの両名は私にとってファンタジーRPGの原点ですので、その作品に連なる雰囲気を出せるよう頑張っていきたいです。
今回の見所は本編クリア後の世界としてビシッと強さをアピールする戦闘シーンと、ビシッとお腹の弱さをアピールするみゅーのぴーぴー平常運転です。神官の格好をしておいて古代魔術で意表を突くというのはみゅーが最初期から使っている戦術で、策略好きなプレーヤーの性格が現れているように思います。使い魔による視野拡張からの起点指定魔法は冒険中にぴーぴーしまくるみゅーの生命線と言っても過言ではなく、便意を解消しながら逆に不意打ちに使うこともできて一石二鳥の戦術です。そして今回のぴーぴーイベントは自分が使った魔法による魔力過敏症と、神聖魔法を抵抗無しで受け入れてしまったがゆえの魔力過敏症でひどい下痢になりあっさり漏らしてしまった、という流れでした。そこからいきなり逮捕されてしまうのは本人にとってもわけがわからないと思いますが……この後どうなるかは次回のお楽しみです。
最後は今後の展開のチラ見せとして、2話以降の登場キャラに一言ずつ喋らせてみました。「矯正修養女学校」「聖女騎士団」などのファンタジーらしい設定もしっかり作り込んでいますので、ぜひご期待ください。
他のシリーズも完結していないのにまた大風呂敷を広げて、と言われそうですが、やはり現代学園ものばかりでなく他の要素も描くことで文章のレベルも上がると思いますので、気が向いた時に気が向いた作品を書くという形で進めていこうと思います。
それでは、次回予告です。
故国ローライトの地を踏んだのもつかの間、人前で下痢を漏らしてしまったことを理由に「失禁禁止法」違反で逮捕されてしまったミューリア。
こんな法律はおかしい、ルールー様の御心に反する、との訴えも空しく、ミューリアは1年間の「矯正修養」を受けることとなる。
連れて行かれたその地では、同じように自由を奪われた少女たちが、お腹を下して必死に我慢をしながらも力尽きて尊厳を失っていく光景が繰り返されていた。
耐え難い環境から脱走しようという企ては何度も繰り返されたが、その度に捕まえられてしまい、少女たちは個別指導室に閉じ込められていた。
罪なき少女たちの悲痛な姿を目にしたミューリアは、自分だけでなく彼女たちを助け出す事を決意する――。
ローライト王国戦記 第2話「矯正修養女学校」
「法の神の加護と守護聖女の祝福が、必ずあなたたちを守ります――」
どうぞお楽しみに!
小ネタ紹介
あまりにわかるひとにしかわからないメタいネタを仕込んでしまったのでここに解説を書いておきます。
・「わたし達の世代ではこう叫ぶのがお約束」→ソード・ワールド(SW)ノベルに登場する魔法盗賊ナイトウィンドが恋人にお仕置きをする時に「ラァァァァァイトニングゥゥゥッ!!」と叫んでいた故事から。
・複数行動(マルチアクション):SW2.0で5レベルから取得できる戦闘特技で、同一ラウンドに物理攻撃と魔法の行使を両方行うことができる。タイマンでは無類の強さを発揮するが魔法の数拡大などと両立しにくいため、互角以上の敵と戦う集団戦ではひたすら数拡大回復に追われて使い所がないことも。
・映像記録円盤:SW2.0ではバーサタイルと呼ばれる映像記録装置があったのでそれに近いもの。実は盗撮組織グロリアス・ピーピングのローライト支部が撮っていたのかもしれない。
・「……一世代前の魔術は全身の動作が必要だったけど、現代の古代魔法は両手さえ自由ならしゃがんでても大丈夫なんです。」→SW1.0では古代語魔法の詠唱には踊るような動作が必要なため両手両足が自由である必要があったが、SW2.5では両手が自由であればOKとなっていた。すなわちしゃがんで排泄中でも問題なく古代魔法は行使できる。間違いない。
・「もうHPマイナスで生死判定も結構きつかったっスよ」:SWではHP0になっても即死するわけではなく、生死判定(マイナス分をペナルティとした生命抵抗力判定)に成功すれば気絶、失敗すれば死亡する。2.0以降ではレンジャー技能が高ければ生死判定に成功すれば気絶でなくそのまま行動できる「不屈」の特性がつく。この男は戦闘技能レベルは低いがレンジャー技能は高かったのかもしれない。
・全力で移動すれば10秒でたどり着ける距離:全力移動で動ける距離は敏捷度の3倍。みゅーは敏捷度20なので60m動ける。でも回避判定-4になり、当然我慢判定も-4されるので今やったら確実に漏らす。
・36回に1回ほどの低い頻度であるが、必死に抵抗しても耐えられず漏らしてしまうことがある→SWの伝統として2d6で1ゾロは自動的失敗なので、うちで作ったぴーぴーRPGルールでも我慢判定で1ゾロを振る(=1/36)とどれだけ余裕があっても漏らしてしまう。普段は、我慢判定に失敗した後乙女の意地でもう一回判定する最終我慢判定ができるが、1ゾロの場合は問答無用でおもらしとなる。もっともらしい意味を付けて判定失敗時にもう一度振り直しができるようにするという概念は後に2.0で採用される運命変転の萌芽とも呼ぶことができ……(嘘)
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