ろりすかS Story.2

「途中下車の記憶」



古河 紗緒梨(こが さおり)

10歳 けやきの市立夕凪小学校5年1組
身長:126.5cm 体重:27.2kg スリーサイズ:63-45-62
髪:黒髪おかっぱ
性格:人見知り 一人称:わたし
便質:-93(水状便)
排泄回数:24.7回/日
PP属性: 頻繁排泄 食あたり(重度) 便意再発(軽度) 腹圧強化

 夕凪小学校月山分校から5年生になり本校に編入した小学生。分校の紗緒梨の学年は1人だけで、本校では仲の良い友達がいない。非常に高い記憶力を持ち勉強も全般的に得意だが、非常にお腹が弱く毎日下痢に苦しんでいる。トイレに行く回数は毎日20回以上に及び、水鉄砲のような強烈な勢いで固形物のない水状の便を噴射してしまう。また、傷んだ食べ物で食あたりを起こすことが多く、未消化物を大量に含む黄土色の水便を吐き出してしまう。



 木枯らしが紅葉の枝を揺らしている。
 晩秋の気候はもはや冬模様。関東平野は、北からの乾いた冷たい風に包まれる。

 夕方、というにはまだ早い時刻。傾きかけた穏やかな太陽が青空に浮かんでいる。放課のチャイムが鳴った小学校の校舎からは、ランドセルを背負った子供たちが次々と飛び出してくる。子供は風の子、肌を刺す寒さの中でもいまだ半袖半ズボンの男の子の姿も見えた。

「………………」
 元気一杯の姿に混じり、校門からゆっくりと歩いて間もなく足を止めた少女がいる。
 おかっぱに切り揃えられた黒髪が風に小さく揺れ、目を細めた。暖かそうな薄紫色のパーカーを羽織り、膝丈の長めのスカートを履いた小さな姿は、やはり北風の寒さを身に感じていた。
 そっと見上げた視線の先は、バス停留所の看板。時刻表の数字を確認して、彼女は視線を落とした。他に、この場所に立ち止まる子供はいない。けやきの市立夕凪小学校。学区制の公立小学校には本来、電車やバスで遠方から通学する生徒はいないはずだった。
 ただし、夕凪小学校には市内西北の山林地域の児童が通う月山分校がある。分校に在籍するのは4年生までで、5年生からは本校に通うことになる。

 彼女――古河紗緒梨は、その分校出身の5年生だった。山中の畑で農業を営む紗緒梨の家は、この本校からゆうに10kmも離れた山の中腹にある。小学生の足では2時間以上かかってしまう距離だ。唯一の交通手段は市営の路線バスだが、近年では自家用車が普及して利用客が減り、減便の結果さらに客が減る負の循環で、わずか1日4往復になってしまった。彼女はそのバスの定期を持って、毎日この校舎まで通学している。

 学校は楽しい。もともと勉強が得意な紗緒梨は、計算量が増えた算数や覚える事柄が増えた社会もすぐ本校の児童に追いついていた。それに、蔵書の多い図書室は紗緒梨にとって宝の山で、休み時間の半分位は図書室に住み着いている。仲の良い友達はいないが、もともと児童の少ない分校の出身、さほど気にはならなかった。

 学校は楽しい、だが、今の彼女は憂鬱な表情をしている。
 その原因は、彼女の体の中にあった。

  グギュルーッ……グルッ……
「うぅ……っ……」
 紗緒梨のおなかから重苦しい音が響く。彼女は祈るように目を閉じ、小さな手でお腹をさすり始めた。
 紗緒梨は、生まれつきおなかが弱い体質だった。それも生半可なものではなく、ほとんど固形物のない水状の便を毎日10回、20回と排泄する。1年生の頃は授業中に便意を訴えられずおもらししたり、1kmに満たない通学路の間で限界を迎えておもらししたりして、毎日数回のおもらしが日常だったほどである。4年生になる頃には授業中にも手を挙げてトイレにいけるようになり、帰り道も家まで我慢できるようになったが、5年生で本校に移ってから毎日苦しんでいるのが、このバス通学中の便意である。
 バスの乗車時間は約20分。激しい下痢を我慢し続けるには絶望的な長さだ。我慢できなくなったら、途中の停留所で下車してしまうしかない。その際、市街部のように停留所近くにトイレなどなく、コンビニや公園も全くない。残された手段は、林に駆け込んでの野外排泄だけである。
 決して慣れたくはないのだが、紗緒梨は野外排泄の経験は少なくない。つい2日前にも猛烈な便意に襲われ、おもらししながら途中下車して林の中に駆け込んだばかりだ。

  グウーッ……グルルッ……
(どうしよう……学校に戻っておトイレ行った方がいいかな……?)
 腹痛はひどいが、便意はそれほど高まっていない。トイレで出そうとすれば出るが、おもらしの心配はない程度だ。
 ただ、バスに乗って20分我慢しないといけない。しかし、今からトイレに行っていたら今度のバスには間に合わず、次に来るのは2時間後、17時30分の最終バスである。この季節では日が暮れてしまうし、もしそのバスで途中下車することになったら夜道を家まで歩かないといけない。それよりは、ちょっと我慢してでも早く家に帰りたい。家に帰れば、もよおしてもすぐにトイレに駆け込むことができる。トイレが近くにあるというのは、紗緒梨にとって何事にも代えがたい安心なのだった。

  ゴロッ……グピィーッ……
(うん…………なんとか、だいじょうぶ)
 紗緒梨はおなかをさすりながら、そっと顔を上げた。バスに乗って家まで我慢する決意を固めたのだ。
 だが、バスは現れない。目の前の時刻表の数字は「15:30」。振り返って見上げた学校の時計は、長針が7の文字にかかっていた。

(バス……遅れてるのかな……?)
 けやきの市の中心部にある駅からやってくるバスは、途中の乗り降りで時間がかかり遅れることがある。1、2分の遅れはいつものことだが、5分はさすがに長い。寒空の下で待つ紗緒梨の体に、容赦なく風が吹きつけている。

  グルピィーーグウーッ……ギュルルッ……!
「うぅっ……!」
 おなかの痛みが一回り強くなり、はっきりとわかる音が響いた。間をおかず、おしりに内側から圧力がかかる。直腸に下痢が押し寄せてきたのだ。紗緒梨は神経を集中して、おしりをきゅっと締める。
(ど、どうしよう、おトイレに行かないと……!)
 思わずトイレのある校舎を見る。バスを待つべきか、トイレに駆け込むべきか……。

「あ……!」
 バスが大きなエンジン音を伴ってやってきた。バス停にぽつんと立つ少女を見てか、停車のウィンカーを出す。
 プシュ、と音を立てて紗緒梨の目の前でドアが開いた。

  ギュリギュルグルルルッ……!
(ど、どうしよう……!)
 紗緒梨は開いたドアを前に立ちすくんでいた。乗らないのは不自然だけど、今のおなかの具合で乗ったら家まで我慢するのはほとんど不可能だ。
「お嬢ちゃん、乗らないの? 乗るなら早くして」
「……あ……は、はい…………の、乗りますっ」
 後部の乗車口の横のスピーカーから響いたノイズ混じりの声。中年の運転手に急かされ、その言葉に背中を突き飛ばされたように、紗緒梨はバスに飛び乗った。整理券を取り、やや前方の一人がけの席に座る。バスはガラガラではないが、席は半分ほど埋まっていた。

  ギュリリッ! グギュルルッ!
「んっ……」
(こ、こうなったら……なんとかがまんしなきゃ……)
 左手でおなかをさすりながら、右手でおしりの穴を押さえる。幸い、椅子に座ったことで少し腹痛と便意が和らいでいる。運が良ければ家まで我慢できるかもしれない。

『次は夕凪団地入口、夕凪団地入口です。お降りの方はボタンを押してお知らせ下さい』
 アナウンスが終わる前にピンポンと音が鳴り、ボタンに紫色のランプが付いた。
『次、止まります』
 どこか感情のない録音のアナウンスが車内に響く。

「夕凪団地入口ー、夕凪団地入口ー」
 バスが動きを止めると、大半の乗客が腰を上げた。市内から乗ってきた、この団地の住民がほとんどだ。慌てた様子もなく、「整理券なし」の料金を料金箱に入れて降りていく。

(うぅ、早くしてくれないかなぁ)
 紗緒梨の降りるバス停ははるか先である。両替をする客もおり、10人ほどの列がなくなるまで2分近くかかってしまった。

『お待たせしました、次は宵川一丁目、宵川一丁目……』
 バスはゆっくりと動き出す。アナウンスが流れると、再びボタンのランプが灯った。


  グギュルグピィーッ……グピィゴロギュルギュリッ……!
「あぐっ……うぅ……!」
 バスの振動より大きな振幅で、紗緒梨は断続的に体を震わせていた。肛門に押し寄せる猛烈な便意の波。何も考えられなくなるほどの激しい腹痛。あれから5分も経たないうちに、紗緒梨の我慢は限界を迎えつつあった。
(ど、どうしよう、このままじゃ家までがまんできない……途中でおトイレ……)

『次は半月橋、半月橋です』
「うぅ……」
 今にも開きそうになるおしりを押さえて耐える紗緒梨。すぐにでも降りてトイレに駆け込みたいところだが、次の半月橋バス停は見通しの良い川辺で、身を隠す場所が全くない。野外での排泄に慣れている紗緒梨でも、さすがにこの場所ではできそうにない。

  ゴロッグルギュルギュロロロロッ! グギュルーッ!
「あっ、あっ……だめっ……!!」
  プッ、プジュッ!!
 激しい腹痛におしりを押さえつける指先の力が弱まり、極めて水っぽいガスが漏れ出した。さらに押し寄せる圧力。普通の便意なら、おならを出してガス抜きによって和らげることができるが、紗緒梨にはそれはできなかった。ほとんど水そのものである彼女の腸の内容物は、確実にガスと一緒に漏れ出してしまう。今の小さな噴出でも、パンツに黄土色の染みができているだろう。

「うっ、うぅ……」
(だ、だめ、もうここで降りなきゃ……!)
 このままではおもらししてしまう。紗緒梨はすぐにでもバスを降りようと、おなかをさする手を降車ボタンに伸ばした。

『次は半月……次は月山中町、月山……次、止まります』
(ああっ……通り過ぎちゃった……!)
 紗緒梨がボタンを押したのは、丁度バス停を通過した瞬間だった。

  グルルルギュルルルルルゴロゴロゴロゴロッ……!!
(つ、次まで我慢しなきゃ……あと1分くらい……なんとか……!)
 紗緒梨はボタンを押したばかりの左手をおしりに当て、両手で便意を押さえこむ体勢をとった。さっき水気たっぷりのおならを出してしまってから、おしりの穴は勝手に開こうとしており、指で押さえていなければすぐにでもおもらししてしまう。

  ギュルルルルピィグピィーーッ! ゴロゴロロロギュルルルルルルッ!
「ぐっ……うぅぅ…………っ!!」
 おなかをさするのをやめた途端、腹痛が激しさを増した。腸の奥が締め付けられ、おしりにさらなる圧力がかかる。

(おねがい、もうちょっとだけ、もうちょっとだけだから……!!)
 泣き出したくなるような腹痛に耐え、紗緒梨は必死におしりの穴を押さえ続けた。バスが揺れる度に指先が離れそうになり、熱を帯びたおしりの穴が中身を吐き出しそうになる。だが肛門が開くより早く、腹圧より強く、紗緒梨は小さな指で決壊を食い止める。

「月山中町ー、月山中町です」
 バスが停車する。目的地に着いたのだ。とはいえ、本当の目的――トイレはそこにはない。避難所、とでも呼ぶのが正しいかもしれない。紗緒梨はおなかをかばいながらゆっくり立ち上がった、降車をスムーズにするには停車する前に降車口まで進んでおくべきだが、今にもあふれそうな水状便をおなか一杯に抱えて走行中の揺れる車内を歩くのは不可能だった。慎重に慎重に、おなかに力を加えないように歩く。

「………………」
 おしりを押さえていた手をスカートのポケットに伸ばし、定期券を取り出す。磁気やICのカードなど導入されていないから、運転手に肉眼で確認してもらわないといけない。
「……はいありがとう。大丈夫かい? だいぶ顔色が悪いけど……」
「あ…………だ、だいじょぶ、で……っ!!」
  ゴロギュルルルルルギュルッ!!
  ビュルッ!!
 再び襲ってきた激しい便意の前に、押さえる手は左手のみ。ついにおしりの穴は小さく開き、中身の水分をわずかに吐き出してしまった。おもらし、というには量が少ないが、無視できない量をちびってしまったのは確かだった。

「し、しつれいしますっ!!」
 紗緒梨は叫ぶように言い残してバスを駆け降りた。
(だめ、だめ、だめ、でちゃだめっ!!)
  ビジュ!!
  ビィィッ!!
  ビュッ!!
 願いもむなしく、一歩進むたびに紗緒梨のおしりから水便が漏れ出していく。地面に降り立つと同時に右手を添え、両手でおしりの穴を押さえる。指先にはっきりと濡れた感触が伝わった。

  ギュルグウーーーーーーッ! グピィィゴロピィギュリッ!
  グギュルルルルギュルピィーーッ! グピーーグルルピーーッ!
「ぐ、う、うぅーーっ……」
 バスはエンジンを震わせて走り去っていく。だが紗緒梨は動けなかった。押し寄せる便意の波。全神経をおしりに集中していなければ漏らしてしまう。

(だめ、もれる、でちゃう、だめっ!!)
 あまりの痛みににじむ涙が視界をぼやけさせる。目の前にはかろうじて身を隠せる林があるが、そこまでの距離があまりに遠い。
(がまん、がまんしなきゃ!!)
 2日前に途中下車したのもこの場所だった。あまりの腹痛にバスを降りてすぐしゃがみ込んでしまい、そのまま便意に屈しておもらし。パンツから水状の便をあふれさせながら林に駆け込んだのだった。

  ギュルルルピィーギュリリゴロロロッ! ギュルーーッ!
  グギュルルルルルルルピーーーゴロロロゴロロロロロロッ!
(がまんしなきゃ! しゃがんだらもう動けなくなっちゃう!)
 膨らんだ肛門を両手で押さえる。腰を引いた不恰好な体勢だが、おなかに負担をかけないためにはこれしかない。最善の努力を尽くして、なお強力なおなかの圧力と力比べだ。

  ギュロロッ!
「はぐっ……んっ……!!」
 5秒。

  グピーーーーーーーギュルピィーッ!
「あああっ……」
 10秒。

  ゴロッグルゴロギュロロロロロッ!
「うううううっ……!!」
 15秒。

  ピィーッ……ギュルギュルギュリリリッ……
「あ……っ……」
 気が遠くなるほど長い20秒が過ぎた時、ふっとおなかの圧力が弱まった。
 下痢便が腸内を逆流していく気持ちの悪い感触。だがそれ以上に、おなかの痛みと肛門の苦しみから解放された喜びが大きかった。

(やった……がまんできた……!!)
 寄せては返す便意の波。その大波を、紗緒梨の小さな体は耐え切ったのだ。もっとも、これは一時的な勝利にすぎない。まもなく、さらに強烈な波が彼女の体内から押し寄せてくる。

  グギュルルルルルグルルルルッ……ギュロロロロッ……
(はやく……はやくしなきゃ!!)
 あまりに強く押し付けすぎて痺れた手で、鈍い痛みが続くおなかをさする。紗緒梨は髪をわずかに揺らして前を向いた。今からしようとしていることは、女の子としてはあまりに恥ずかしい野糞に違いない。しかし、間もなく訪れるおもらしから逃れるにはこれしかない。

「はぁっ、はぁっ……!!」
 白色の運動靴で落ち葉を踏み分け、紗緒梨は道路の脇にある林に駆け込んだ。山林の一部である林の木々は背高いが、道路近くには地面近くに枝を伸ばす低木が多い。低木といっても、背の低い紗緒梨の身長と同じ程度まで葉が茂っており、身を隠すには十分だ。

  ギュルルルッ! ゴロギュルルルルグウーーーーッ!
(も、もうだめっ! でちゃうっ!!)
 椿の低木の陰に駆け込んだ瞬間、再び激しい便意が襲ってきた。さっきの波から1分も経っていない。次の便意の頂点にはもう耐え切れないだろう。できればもっと道路から離れたかったが、紗緒梨にはもう一秒の猶予もなかった。スカートをめくり上げ、白い木綿のパンツを腿の半ばまで引き下ろす。厚手の生地の表面にくっきりと、手のひらほどの黄土色の染みが浮かんでいた。
「もう、ちょっと……うぅっ!!」
  ビィッ! ビュルルッ!
 水状の便で湿った肛門は、パンツの中から現れると同時に液体を零し始めた。一瞬後ろを振り返った紗緒梨は、最後の力を振り絞って排泄の体勢を整える。しかし、それは和式のトイレのようにしゃがむのではなく――中腰で、小さな丸いおしりを後ろに突き出すような体勢だった。


挿絵:なるび様(トリック・オア・トリート)より寄贈
この挿絵はクリエイティブ・コモンズの適用対象外です。

「んっ、く……うあぁぁっ!!」
  ブシャビシャアアアアアアアアアアッ!
  ビシャビシャァブビューーーッ! ビシャブシャーーッ!
 紗緒梨のおしりの穴から、物凄い勢いで水状便が噴射される。水流の太さは1cm程だが、おしりが地面でなくほぼ真横を向いた状態での排泄である。地面に水平に飛び出していく黄土色の水状便は、出始めは直線を描きながら徐々に重力に引かれ、1m以上離れた地面に叩きつけられ、細かい飛沫となって飛び散る。身長130cm弱の紗緒梨の膝下の高さが30cm、肛門の高さはおよそ40cmだが、それで彼女の身長に近い距離を飛ばすのである。これは、紗緒梨の便がほとんど粘性のない水状であることに加え、彼女のおなかの圧力が非常に強く、噴射の勢いが凄まじいことを意味している。

「うぅっ……くぅ……!!」
  ビュビュビシャァァァァァブビューーーーーーーーーーーーーッ!
  ビシャビチィーッビシャビュルーーーッ! ビュルッビュルーッブビューーーッ!
(うう、やっぱりすごい勢い……後ろ、だいじょうぶかな……?)
 紗緒梨がこんな奇妙な体勢で排泄するのは、彼女の腹圧の強さが原因なのだ。トイレでするようにしゃがみ込んで肛門を全開にしたら、至近距離で地面に叩きつけられた水便が激しく飛び散り、靴が、靴下が、おしりが、スカートが、取り返しの付かないほどに汚れてしまう。だから、地面で飛び散っても自らに汚れが及ばない距離まで「飛ばす」しかないのである。
 すでに彼女の後方には着弾点を中心に直径30cmほどの黄土色の水たまりができ、さらに倍近い距離までおびただしい数の飛沫が飛び散っていた。汚れからは離れているが、漂ってくる刺激性のにおいからは逃れられない。

  ゴロッ! グギュルゴログギュルーッ!
「はぁっ……はぁっ…………くぅっ!!」
  ブシャッ! ビュビィィィィィビチャビュルルッ!
  ブパッ! ビィーッ! ビィーッビュルーーッ!
  ビュビチィーーーーーーーーーッ! ビシャビチィビチャジャァァァァァジャアアッ!
 おしりの穴を全開にしての排泄を続ける紗緒梨。さほどおなかに力を入れなくても、強すぎる腹圧が水状の便を遠くまで吹き飛ばす。全開にした水道につけたホースの口を潰したような、高圧水流の噴射である。噴射の終わりはやや勢いが落ち、紗緒梨の足元に黄土色の水滴がこぼれる。

  ギュルルルピィィィグルルッ! ギュルッ!
(うぅっ……まだでそう……だ、誰もいないよね?)
 前屈した状態から顔を上げて正面を見る。
 紗緒梨が小さな体を隠した椿の木は、枝葉が生い茂っているとはいえ隙間はある。その向こうはすぐ道路なのだ。車が通るくらいなら気付かれないだろうが、歩行者がいたらこの音とにおいで異変に気づき、こちらを向けば紗緒梨が隠れて排泄しているのに気づくのは容易だろう。まして、ただの野糞ではなくこんな恥ずかしい体勢での排泄である。誰かに見つかったら大変なことになる。
「んうっ!!」
  ブピッビュブシャァァァビシャブビューーーーッ!
  ブピブシャーッブシャァビュルーーーーッ! ブシャッジャァビチャジャーーーーーーッ!
  ブパッブシャァァァビチィーーーーーーーッジャァァァァァァァァァァァビィィィィッ!
 今までよりも激しい噴出。水便の飛距離は今までの記録を更新し、さらに遠くまで飛沫が飛ぶ。
 
「はぁ、はぁ……まだ…………んっ!!」
  ブジャッビシャジャアアアッ! ビュッブシャーーッジャアアアアアッ!
  ブシャジャーーービューーーブビューッ! ビュルルッ!
  ブピッジャーービチィーーーーッ!
 自発的な噴出に任せていた紗緒梨だったが、やや排泄の勢いが落ちてきた。かなりの量の水便を吐き出したため、圧力が弱くなったのだ。
「うぅ……」
  ゴロロログルルッ……グピィィピーーーグルルッ……
 しかし、まだまだ排泄は終息の気配を見せない。消化吸収の役目を放棄した腸が活発に動き、新たな便が直腸に送り込まれる。

「んっ……うんっ……!!」
  ビュブシャーーッビシャアアアアアアアアッ!
  ビュビシャーーーーーービィィッ! ブジャッビュルーーッブシャッブビューーッ!
 再び始まる激しい排泄。紗緒梨がおなかに力を入れ、残っている便を押し出そうとし始めたのである。
「はぁ、はぁ、はぁっ……!!」
  グギュゥゥゥピィィギュルーーーーーッ! グギュルルッ!
「うぅっ……痛いっ……」
 中腰の体勢ではおなかに力を入れにくく、弱まらない腹痛が紗緒梨を苦しめる。無理な体勢を続けたため、脚もしびれてきていた。せっかく我慢して我慢して勝ち取った排泄の時間ではあるが、それすらも苦しみに満ちたものになってしまっていた。

「んっ……んぅぅっ!!」
  ビュルッビュルビシャーーーーーーーーーッ!
  ブピッビュジャァァビュルーーーッ! ブビューーッ!
 苦しみに耐えながら排泄を続ける紗緒梨。彼女のおしりが向けられた先では、すでに黄土色の水たまりが地面を隙間なく覆い尽くしている。噴射の度に勢いが異なるため水たまりは楕円形になっており、短径でも40cm、長径は70cm近くに及んでいた。もちろん、その付近には数えきれぬほどの飛沫が撒き散らされている。
「くぅ、はぁ、はぁぁっ……!!」
  ビチィィィィィジャァァァァァァブビューーーーーーーッ!
  ブピッビィビューブシャーーーッ! ビシャビシャアアアアアッ!
  ビシャビシャジャーーーーッ! ビュルルルッ! ブジャッビシャーーーーーーッ!
 とても小柄な女子小学生が作り出したとは思えない惨状に、さらに水便が注ぎ込まれる。噴出の勢いはかなり弱まっており、楕円の手前側を少しずつ広げていた。脚が疲れてきて、少しずつ腰の高さも下がってきている。
「うぅ、早く……終わって……!!」
  ビシャビュルビシャァァァァァビュルーーッ!
  ビチィーッビュルルビィィッ! ブパッビュジャァァァァァァァビュルーーーーッ!
  ビシャビィィィブシャァァァブシャーーーーーーッ! ジャアッ!
  ビシャビシャビュルルビシャーーーーーーッ! ブシャッビュルッビチィーーーーッブシャーーーーッ!
 おなかが楽になるほど、今まで感じなかった羞恥がこみあげてくる。紗緒梨は青ざめていた顔を赤らめ、必死に水便を吐き出し続けた。


「…………う……ふぅ……」
  ブシャッ……プジュ……。
 申し訳程度に気体が漏れ、肛門に残っていた水分を膨らませて泡ができ、すぐに弾けた。
「はぁっ……はぁっ……」
 おなかとおしりの感覚はほとんど麻痺しているが、とにかく目一杯力を入れても水状便が飛び出すことはない。
 排泄は終わったのだ。

「………………う…………」
 ゆっくりと後ろを振り向いた紗緒梨は、自らが生み出した光景に絶句した。
 視界の半分近くを埋め尽くした黄土色の水状便。量も多いが、広がり方、飛び散り方が尋常ではない。うっすらと漂う湯気が、この汚水がほんの数分前まで紗緒梨の体内にあったことを物語っていた。
 あまりに恥ずかしい痕跡ではあるが、これを片付けるのは不可能だ。水分がほぼ100%を占める紗緒梨の便は、すでに一部が地面に吸収され、色だけを表面に残している。この光景はそのままに残すしかないのだ。紗緒梨にできるのは、おしりを綺麗にしてここから去ることだけだった。

「……………………」
 ランドセルの中からポケットティッシュを取り出し、おしりを拭いていく。少し漏らしてしまったため最初の一拭きの汚れ具合はひどかったが、もともと粘度のない水状便なので、ティッシュを当てるだけで吸い取ることができる。ちょうど一袋使いきった所で、おしりに当てたティッシュが真っ白なままになった。

(…………パンツ……どうしよう?)
 もう一つの問題は少し漏らしてしまったパンツである。紗緒梨のおもらしにしては汚れ具合が少ないが、肛門の直下が黄土色に染まっている。直径5cmほどの円形で、もう少しでパンツのふちに届くほどの大きさである。生地の外側まで完全に色を吸っており、洗濯しても跡が残ってしまうのは確実だ。

(……やっぱりもう使えないかな……)
 一瞬の逡巡の後、紗緒梨はやはり洗って使うことをあきらめ、パンツを片足ずつ脱いだ。誰かに見られたら恥ずかしいし、何より、自分で見た時に苦痛に満ちた我慢とおもらしの感触を思いだしてしまうのが嫌だった。
 もっとも、その辺に投げ捨てるわけではない。情けない話だが、おもらしで汚したパンツを持ち帰るための「おみやげ袋」を、紗緒梨は持ち歩いている。黒い布袋の内側にビニール袋を収めたその中から替えのパンツを取り出して履き、脱ぎたてのおもらしパンツを袋に入れた。

(そうだ……おとといのパンツも持って帰らなくちゃ……確かあの辺の木の陰に……)
 思い出したように紗緒梨は視線を移した。2日前におもらしした時は、汚れがひどすぎて持ち帰れなかったのである。さすがに時間が経てば乾いているだろう。
 見たいような見たくないような気持ちを抱えながら、紗緒梨はその場所に近づいていった。

「あ……」
 隠したものはすぐに見つかった。
 捨てられたパンツと、その付近に散乱したティッシュ。
 黄土色に染まったそれらの物体が、その日持ち主の身に起こったことを余さず物語っていた。

 後ろ側の汚れは、腰のゴムにまで及んでいた。おしりを押さえながら全開で噴射してしまったため、行き場を失った水便があっという間におしりの後ろ側を駆け上ったのだ。
 前はさすがにゴムには届いていないが、半円形に淡黄色の色素が広がっている。しゃがんだ状態で漏らしたため、前にもかなりの量の汚水が押し寄せたのだ。
 さらに眼を引くのは未消化物の多さである。鮮やかな赤色と黄色は、給食に食べたクリームシチューに入っていたニンジンやカボチャだろう。1つだけ入っていた大きな鶏肉の塊が生煮えで、食あたりを起こしてしまったのだ。
 普段以上におなかを下した紗緒梨は学校で何度もトイレに行ったにもかかわらず、バスに乗ってすぐ強烈な便意をもよおし、降りた瞬間にしゃがみ込んで漏らしてしまった。パンツから未消化物と水便の混合液をこぼしながらここまで歩き、汚水を地面に流してパンツを捨て、泣きながら山のようにティッシュを使いおしりと脚を拭き続けた……。


「…………」
 小学4年生の少女が受け止めるには、あまりにつらい記憶がそこにあった。紗緒梨は涙が浮かびそうになる目を一度だけこすり、汚れきったパンツを手に取った。48時間が経っても完全に乾ききってはいなかったが汚水が滴る様子はなく、さっきまで履いていたパンツと同じ袋に収まった。

「……うん。早く、帰ろ」
 紗緒梨は立ち上がり、椿の木の脇から道路に出た。太陽はすでに山にかかり、夕方の厚い大気によって散乱された赤い色が空に広がっていた。
 バス停の時刻表はまだ1時間以上先を示している。ここから家までは2kmほど。一昨日の経験からすれば、30分はかからないはずだ。紗緒梨はゆるやかな上り坂を、小さな歩幅で歩き始めた。



「あら、お帰りなさい紗緒梨。バスじゃなかったの? 大丈夫?」
 家の前の落ち葉を掃いていた母が駆けてくる紗緒梨を見つけ、声をかける。バス停は目と鼻の先なので、徒歩で帰ってきたことがわかるのだ。母にはそれが何を意味するかはよくわかっていた。
「お母さんただいま! ……ごめんなさい、先におトイレっ!!」
 紗緒梨は母の姿を見て嬉しそうな顔をするが、おなかをさすりながらその脇を駆け抜けた。寒空の下を30分も歩くうちに、彼女は再び便意をもよおしてしまったのだ。玄関には入らず、ランドセルを背負ったまま母屋の脇の木造小屋に向かう。

  グルルギュルギュリッ!
「ま、間に合った……」
 おなかから苦しげな音を立てながら小屋の扉を開けると、そこは和式トイレ――というより、便所。地面より一段高い板敷きの床、その一部が長方形にくり抜かれ、漆黒の穴となっている。陶器製の便器ではなく木製の縁取り、正面に板を立てた古めかしい便所だ。だが、この便所は、学校の綺麗な水洗トイレよりもずっと心地よい、紗緒梨の安息の地なのだ。

  ゴロッピィギュルーーーーッ! ギュルーッ!
「あっ、ん、くぅっ……」
 さっき履き替えたばかりのパンツを下ろし、便器をまたぐ。焦りながらも穴を見下ろし、便槽の溜まり具合を確認した。昨日汲み取ったばかりなので、ほとんど底が見えている。
 紗緒梨はまっすぐに腰を下ろし、おしりを真下に向けた。そして――。

「はぁっ……あぁぁぁぁっ!!」
  ビシャビュルルルルルルルルルルビィーーッ!
  ビュルーーーーーッビィーーッ! ブシャッジャーーーービチィーーーーッ!
  ビュルッビシャァァァァビシャービィィィィィビチィィィィィビィーーーッ! ビチィィビュルーーッ!
  ブシャッビシャァァビュルルビシャーーーーーーーッ! ブパッビィィィィッ!
  ビシャビィーーーーッブシャーーーーーーーーッ! ブパッビチィーーーッビュルーッジャアアーーーーーーーーッ!

 紗緒梨はおなかが弱く便質がほとんど水状で、しかも腹圧が非常に強い。そのため、野外ではつい先程のように恥ずかしい格好で便を飛ばさないといけない。それに、トイレに間に合ったとしても、水洗のトイレでは飛び散らないようにおしりをすぼめながら少しずつ排泄する必要がある。だが、この汲み取り便所ならそんな苦しみは必要ない。排泄欲求に身を任せ、おしりの穴を全開にして、噴射する水状便を便槽に注ぎ込めるのだ。

「はぁっ……んっ………………ふぅっ……」

 度重なる激しい排泄に苦しむ少女の、ここは安息の地――。




あとがき

 お久しぶりの更新になります。今まで使っていたBBQフリーメールがサービス停止のため、メールアドレス変更のお知らせをする必要があったのですが、あまりに更新が無いと情けないので新作を書き上げました。
 この間何をしていたかというと、主にななじゅさんの「乱れる妄想亭」でぴーぴーTRPG(PRPG)の設定を作って遊んでおりました。ただし遊んでいただけではなく、ぴーぴー設定を持ったキャラクターを量産するためのNPC自動生成器を作ったり、既存のAjax Chatを改良してダイスロールや効果音の自動生成を行うWebサービスを作ったりと技術部(部員1名)で働いていました。PRPGは参加者募集中ですので、ご希望の方はひとまず私までご連絡ください。
 今回の小説はキャラクターの設定をこのNPC生成器で作り、さらに効果音自動生成システムで作った効果音をほぼそのまま使用しています。好評だったら効果音システムもチャットから独立して公開する予定です。

 今回はキャラクター設定や排泄内容について自重しないことにしました。1日25回も下痢してたらまともに学校に通えないとかいう現実的な指摘は無視して、とにかくおなかが弱い子のとにかく激しい排泄ということで書いています。路線バスや汲み取り便所などの描写でそこはかとなくノスタルジーを演出していますが、基本はひたすらぴーぴーです。
 他に例を見ない「中腰高圧水便排泄」の紗緒梨ちゃんですが、実は盗撮風ビデオにこんな姿での下痢排泄シーンがあったので、それを参考にしています。Jadeのシャリラレーベルの「実録隠撮 野グソ野ション 十章」のチャプター12ですので、実写が嫌いでない下痢好きの方は見てみてください。
 本編中で設定を出せませんでしたが、紗緒梨ちゃんの家では汲み取った屎尿を肥料にして作物を作っています。養分を吸収する間もなく腸内を駆け抜けてしまう紗緒梨ちゃんの水状便は栄養たっぷりの肥料になりそうですね。

 この作品も引き続き「クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利-継承 2.1」のライセンスで公開しています。表現の参考にしようという方、二次創作などを作ろうという方はぜひご自由に利用してください。



Creative Commons License
この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。


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