悠里の通学

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秋元 悠里(あきもと ゆうり)

10歳 教育大付属小学校4年
身長:130cm 体重:25kg

比較的おとなしめな少女。
小学1年生の時から胃腸が弱くなり、頻繁にお腹を下すようになる。
その体質から劣等感を感じて心を開ける友人がなかなかいない。
勉強は結構できる方で、エリート小学校の中でも中の上クラスの成績。
…しかし、長いテスト時間となると下痢で集中できない事も多く、成績にばらつきがある。

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<1>
ガタン…ガタン…。

とある通学電車に一人、苦しそうな表情を浮かべて立っている少女がいた。
額には脂汗が滲み、少し前かがみになってお腹を押さえている・・・
誰が見ても、その姿から「便意を我慢している」というのが容易に考えられた。

その少女は「秋元 悠里(あきもと ゆうり)」という小学4年生。
外見はどこにでもいるような普通の女の子。
真っ黒の髪の毛を二つおさげにした、明るそうな少女である。

…しかし、悠里は小学1年生の頃から胃腸の調子が悪く、しょっちゅうお腹を下す体質になっていた。

原因はよくわからない。
幼稚園の時はなんともなかったのに、小学校に入学して給食になったからであろうか。
たびたびトイレに駆け込むようになった。
食べるものもアイスクリームや牛乳など、お腹に刺激を及ぼすものを食べてしまうと確実に下す。
悠里自身、アイス・牛乳が大好きなだけに、とても辛い状況だと言える。

好きなのに食べることができない…。

悠里は食べたい欲求を封じ込めるしかないのである。
…けど、まだ我慢できない小学生な年頃。その葛藤に負けて食べてしまう時もある。
その時は、確実に下痢となって自分に跳ね返ってきてしまう。

その悠里という少女が、この日も通学電車にて、その体質から下痢の症状に悩まされていた。
悠里は通学に電車を使っている。
お腹が弱い悠里にとって、トイレがいつでも側に無い「電車」という環境はとても辛いものであった。

(どうしよう…駅まで我慢できるかな…)

小柄な悠里はつり革まで手が届かないため、手すりにしがみついている。
強烈な便意からか、時々細い真っ白な足をくねくねとすり合わせながら我慢していた。
その度に小刻みに黒いランドセルが揺れる。
小さなセーラー服のプリーツスカートも、同時にひらひらと左右に揺れる。
ちょっぴり色っぽい仕草は、小学生の外観とのギャップを大きく感じさせる。

今のところ、電車は座席は全て埋まっているものの、それほど混雑はしていない。
問題は次の駅である。
次の駅から乗客が大量に乗ってくるため、かなりの混雑となってしまうのである。

毎日味わう苦痛の通勤ラッシュは、いつになっても慣れることはない。

小柄で力の弱い悠里は人ごみに逆らうことなどできず、いつも流されてしまうだけであった。
そして悠里を乗せた電車は、その難関である「駅」に近づいてきた。

『まもなく〜西街南…』

悠里はぎゅっと手すりを握る。
なんとかこの位置を確保しないと、学校の最寄り駅で降りることができないかもしれない。
悠里は身構えた。

『西街南〜西街南です。扉が開きます。ご注意ください』

プシュー…

扉が開き、ホームで待っていた大量の乗客がなだれ込む。
ドドドド…

(きゃあ!!)

悠里が小さな悲鳴をあげた。
そんな小さな悠里の悲鳴などお構いなしに他の乗客は自分の位置の確保に必死だ。
悠里はなんとか手すりにしがみつき、流されないように耐えた。

(むぎゅぅ…)

他の乗客にもみくちゃにされ、悠里は情けない悲鳴をあげる。
でも、なんとか流されずに入り口付近を確保することに成功した。
後は…最寄駅まで耐えるだけだ。

(ふぅ…よかった…)

もし、この乗客の流れで奥まで押しやられてしまっていたら、最寄駅に着いたところで気の弱い悠里は乗客を押しのけて降りるといった積極的な行動ができない。
そうなれば、そのまま乗り過ごしてしまうだけでなく、便意の我慢を継続しなければならず大変な事になる。
それだけに、今回のこの位置の確保は嬉しいものであった。
悠里は安堵のため息をもう一度ついた。

(後は次の駅まで我慢するだけ…)

悠里はキッと決意の目を向け、窓の外に映る景色を見た。
手すりを握る手に力が入る。

電車のドアが閉まり、走り出す。

各乗客は自分の位置を確保し、いつものように人ごみに揺られながら身を任す。
悠里もこの通勤ラッシュを毎日味わっているため、そんな人ごみに身を任す術を学んでいた。
しかし、他の乗客と違う問題を抱えている悠里は、先程の「大便我慢」を継続しなければならない。
混み合いながらも落ち着いた車内で、再び我慢の体勢を作る悠里。
足を少し曲げて、お腹を押さえながらお尻に力を入れる。

(我慢しなきゃ…きっと大丈夫だよ…)

悠里は悲しくも、何度も味わっている便意から、今の状態からどれくらい我慢できるか予測できるようになっていた。
今回は「これなら大丈夫だ」と予想できる便意であった。
…しかし苦しいことには違いない。

ガタン…ガタン…

電車は悠里の目的とする最寄駅に向けて走り出す。

「くふぅ…」

悠里の声にならない可愛らしい吐息が漏れた。
顔を真っ赤に染めて、くねくねと相変わらず腰をよじりながら我慢していた。
そこに…

ガタン!!

電車がカーブを通過し、大きく揺れた。

ドン!!

悠里の隣に立っていた高校生の大きなかばんが、悠里のお腹に当たる。

(うぐぅ!!)

悠里の予想を大いに裏切る出来事。
涙目になってうめく悠里。
悠里のお腹にかばんを当てた高校生は、そんな悠里には気にも留めず、ウォークマンを聴いている。

(だ…だめ…)

崩壊の予定時刻が早まったと予想される悠里。
体を震わせながら、お尻の力が抜ける・・・。

ブゥッ…。

鈍く、小さなおならの音。
電車の走行音のため、他の乗客にはなかなか聞き取れないくらいの小さな音だったが、発生源である悠里には、大地を揺るがすくらいのとても大きな音に感じた。
生暖かい嫌な感触が、悠里のショーツ内に広がる。
「お漏らししてしまったか?」と一瞬焦った悠里だったが、幸い、おならだけで済んだようで、ほっとした。
しかし直腸近くまで下がってきている下痢のため、悪臭がすごかった。

たちまち周囲の乗客の表情が歪む。
その乗客たちの異様な変化は、当然ながら悠里も感じ取る。
悪臭の発生源である悠里は、悟られるのが怖かったため、自分も悪臭に表情を歪めて他人の振りをしてしまった。
申し訳なさを感じながらも、悠里は必死で身を守った。
さすがに周りの乗客も、こんな小さな少女がこの悪臭の発生源であるなんて、予想できなかっただろう。
そんな事実を唯一知る悠里。
顔を真っ赤にして、この状況をやりすごすのに必死だった。

すぐにその高校生に背中を向け、かばんから身を逃す。

(もうすぐ…もうすぐだから…!!)

あと少しで最寄駅にたどり着く。
そして悠里は降りてからの行動をシミュレートしていた。
駅のトイレに駆け込み安心に包まれる自分の姿を。

(この分なら、間に合うと思う…)

少なからず心の余裕を持つ悠里。
やがて電車は、悠里の降りる最寄駅に到着した。

<2>
ドドド…

人波に押されながら、悠里は電車から吐き出される。
お尻に力を入れながら、駅のトイレへと向かう悠里。
走って無理な刺激を与えてしまうと、確実に漏らしてしまう。
ここはゆっくり、確実に我慢しながら目的地に辿り着くようにしようと試みる。
周囲に悟られないように、ランドセルの下からそっとお尻を押さえながら平然を装う。
変にキョロキョロしない。
他人に悟られないようにする、そんな行動にも、もう慣れてしまっていた。

(大丈夫…だよね…)

お尻に手を当てて、先程のおならで漏れていないか、そっと確認する悠里。
これまでに何度も感じた、あの生暖かいグジョっとした感覚は無かった。
ほっとした悠里は、ちょこちょこ歩き出す。
ただでさえ小柄な悠里がちょこちょこと小股で歩くので、目的地までの到達時間は、通常の倍近くかかってしまう。
しかし走って無理な刺激を与えて崩壊してしまうよりは、今の悠里にとって堅実な選択と言える。

(早く…行かなきゃ…)

堅実な大便我慢で、着実に歩数を刻む悠里。
このまま行けば、予想では確実に我慢できそうな予感がしていた。
悠里の心に、ほんの少しの余裕ができていた。

(駅のトイレ…あと少し!)

悠里の安心できる目的地である「女子トイレ」は、あと少しのところに来ていた。
しかし、悠里が目にしたのは、悠里の期待を裏切る、想像を絶した光景だった。

(…うそ!?)

…並んでいた。
女子トイレに行列ができていた。
悠里の知る限り、あのトイレには便器が3つある。
その3つの便器に対してあの10人くらいの列は、悠里を絶望に追い込むには十分すぎる光景であった。

悠里が近づこうとすると、さらに3人、悠里の前に並んだ。

この時点で必死に考える悠里。
この女性たちが、全て小便の用足しであったとしても、とても我慢できる時間ではないと容易に結論づけされた。
ここのトイレで確実に用を足せると踏んでいた悠里は、この思わぬ展開に焦りを隠せない。
あまりのパニックが悠里の脳裏を支配し、脳は悠里にありえない行動を促す。

(男子トイレは…)

焦った悠里は、男性トイレに目をやる。
すると…

「清掃中」の看板が虚しくかざされていた。

悠里にとってプライドを崩すことになった「最後の砦」すらも、あっさりと崩壊。
もう後がない悠里に残された道は…

(…え、駅前のコンビニ!!)

駅から出て、学校とは逆方向にあるコンビニだが、この際は仕方が無い。
悠里は時間にはやや余裕を持って通学しているため、多少の寄り道では遅刻しないだろう。

…それも、こういう緊急事態を予測してのことである。

普段は思慮深い性格をしているため、こういった前準備はしっかりしている。
しかし、普段思慮深いさすがの悠里も、ここまで精神的、肉体的に追い詰められてしまうと、冷静な判断はできない。
予想を大いに裏切った女子トイレの行列を尻目に、悠里はゆっくりと改札口へと向かう。

もう後がない。

(これで、あのコンビニトイレが塞がっていたら、もう…)

悠里の顔が一気に青ざめる。
そんな最悪な結末だけは避けたい。
とにかくコンビニトイレが塞がっていないことを祈るしかない。

正直、悠里は我慢の限界だった。
先程の駅のトイレで楽になれると予想していたために、お尻の力も大きく緩んでいた。
しかしそれが見事に覆されたため、我慢できる時間が縮んでしまったのである。
最初から駅前コンビニトイレを使うと決めていたのなら、ここまで酷い状態まで追い込まれなかったかも知れない。

悠里はどうしようもない誤算を必死で責めていた。

あれこれ自分を責めている暇はない。
悠里は先を急ぐ。

悠里は改札を通った。
そこで悠里らしからぬ出来事が発生してしまう。
あまりの便意からくるプレッシャーで、いつもの堅実な悠里が崩れてしまっていた。

悠里は定期を改札機のID読み取り機にかざし忘れたのだ。

改札口を抜けようとする悠里に、容赦なく改札の「フタ」が襲い掛かった。

ブーブー!!!

はっと気づいたときには遅かった。
改札の「フタ」は、悠里のお腹に直撃。
普通に出ようとしていた悠里のお腹のベクトルに反した力が大きくかかる。

ドガンッ!!

せきどめられた悠里は、お腹の部分を通せんぼする堅い皮の塊にぶつけて、前につんのめった。

(う…うゎ!!)

強力なお腹への衝撃により、悠里の肛門は敢え無く緩んでしまう。




挿絵:なるび様より寄贈


ビュルッ!!
ビチビチビチビチッ!!

悠里のすぐ後ろから出ようとしていたサラリーマンが、あまりの悪臭に思わず鼻を手で覆った。
改札が閉まったことにより、様子を窺おうと出てきた駅員も、思わず足を止める。

ビュルビュルビュル…
ビビビビビィ…

悠里の下痢便は、小さな体から留まることなくあふれ出す。
慌ててスカート越しからお尻をおさえたが、時は既に遅すぎた。
悠里の指の隙間から、液状の便が噴出してしまう。

ニュルニュルニュル…
ビチビチビチビチ…

改札周辺の道行く人々が、その異様な光景に足を止める。
セーラー服を着た小さな少女が、大量の下痢便を放ってうつむいている。
光景…だけでなく強烈な悪臭も…周囲の注目を浴びる原因となって。

「う…うぇぇええん!!」

悠里はその場に体育座りの形で、自分が生み出した下痢便の上にベシャリとへたりこんで泣きだした。
ひどく動揺してしまっており、自分の下痢便の上に座ることの抵抗なんて、まったく感じていなかったようである。
ただ…どうすることもできなかった自分、トイレまで我慢することができなかった自分、悪臭と、そして後始末に関して、色んな人に迷惑をかけてしまった自分に対し、悔しさのあまり泣き出した。

このときの悠里には、もはや恥ずかしさなんて全く無かった。
悔しさだけが、悠里の精神を全て覆い尽くしていた。
いつでもどこでも、憎むべき下痢に追い詰められるこの体質、我慢しきれない自分。
そのことで引け目を感じながら、力強く生きられない自分…。

周囲の蔑む視線の中、慌てて駆けて来る駅員が、悠里の瞳に映った。

(やっぱり、私は汚くて臭い女の子だ…)

悠里の座る地面に広がる下痢便による大惨事の中、がっくりとうなだれる悠里であった。

(完)

――――――
一応あとがき。

どうもはじめまして。なるびぃです。
下痢っ子悠里ちゃんの活躍(?)いかがでしょうか?
とにかく「お手軽」・「気楽」に考えていますので、お手軽に楽しんでいただけ
れば嬉しいです。
また近いうちに「お手軽ろりすか」を考えてきますので、どうぞよろしくお願い
します。

――――――
講評

 「悠里の通学」というタイトルが秀逸な短編です。タイトルが飾り気のない一般名詞であるため、悠里ちゃんの通学はいつもこのように下痢と我慢とおもらしに満ちたものであるという印象を与えてくれます。コンビニトイレを使い慣れているのは当たり前でしょうし、男子トイレでの排泄やトイレに駆け込みながらのおもらしも度々発生しているに違いありません。おなかの弱い悠里ちゃんのキャラクターを確立する作品といえるでしょう。

 排泄シーンは公衆の面前で全開下痢便おもらしということで、こうなってしまうと小学生の女の子にはもう泣くしかできないでしょう。絶望的なおもらしを正面から描き切ったのはお見事です。この後どうなったかが気になりますね。

 なるびさんのサイトが現在トラブルで見えなくなっていますが、近々リニューアルオープンの予定だそうですので、楽しみに待ちたいと思います。悠里ちゃんも、今後ともいろいろと恥ずかしいシチュエーションで活躍してくれると期待しています。


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