ろりすかコレクション vol.7
「加速、止まらないで……」
森野苺(「おねがい☆ティーチャー」より)
21歳(外見年齢10歳) 高校1年生
体型 身長:130cm 3サイズ(推定):62-48-63
外見は小学生以外のなにものでもない。大きな瞳に、ウェーブのかかった栗色のロングヘア。
あまり感情を表に出さず、神秘的な雰囲気をかもし出している。
精神が落ち込むと身体活動が停止してしまう「停滞」という病により6年間、成長が止まったまま眠りつづけていた。
「せ、先生…………」
授業中の教室に、女の子の震えた声が響く。
「森野……さん?」
その女の子――森野苺は、身体をびくびくさせつつ、椅子から腰をかすかに浮かせていた。
周りの生徒たちとは違う服装。ふとももの半分まで覆うニーソックスに、その高さより丈が短いミニスカート。クリーム色のベストの下で、ブラウスの襟をリボンで蝶結びにしたその格好は、セーラー服の女子生徒の中でもひときわ目立っていた。
もちろん、彼女が目立つのは服装のせいではない。ここが高等学校の教室であるにもかかわらず、彼女の背格好と顔立ちは、小学生に混じった方が違和感がないものなのである。まあ、彼女の身体にはいろいろと秘密があるのだが、今はそんなことを長々と語る場合ではない。
普段は感情の起伏に乏しく、ボソッとしか言葉を発しない苺だが……今この時は……顔を真っ赤にして、悩ましげな荒い息づかいをしていた。
彼女がそんな様子になっている理由、それは……。
「先生……あの………トイレに……」
「……え?」
「トイレに…………行かせてくださいっ……」
苺は……左手でおなかを抱え込むようにして、右手はスカートの後ろ……ちょうど、おしりの穴のあたりに回されていた。そして、玉のような汗と、何かに耐えるような真っ赤な表情。
見る者が見れば、限界近い激しい便意を、必死にこらえているのだとすぐにわかる体勢だった。
「え、その…………我慢できないの?」
先生……このクラスの担任である風見みづほは、意外な苺の言葉に思わず問い返した。
それも無理はない。授業が終わるまであと10分……いや、5分を切っている。この学校に着任してから数ヶ月、こんな時間帯にトイレに立とうとする生徒などいなかった。ましてや苺は、外見こそ幼いがその言動は同級生たちより大人びていて、このくらいの我慢ができない子だとは思えなかった。
しかし……。
「はい……もう…………お願いです……トイレにっ……」
そう訴える表情には、一分の余裕もない。
ギュルルルルルッ……
彼女のおなかから異様な音が漏れ、その音がまた彼女の言葉を裏付ける。
「……わ、わかったわ。いってらっしゃい」
みづほ先生も、そう許可を出すしかなかった。
それを聞くと、苺は何も言わず……言う余裕すらなかったのだろう、教室の外へ向かって歩き出した。一歩一歩、おなかへの負担をやわらげるように慎重に歩き出す。弾けるように駆け出さないのは恥ずかしさのためではなく、そんなことをしたら一瞬でもらしてしまうほど切羽詰っているからなのだ。
「くっ……」
教室を出る。みんなの目が届かなくなったところで、両手をお尻に回し、立ち止まって中腰になる。
ギュルルルルルルルッ!! グルルルルッ!!
(うぅっ…………もれそう…………)
わずかに歩いただけで、この強烈な便意……これでは、トイレまでたどり着けるかもわからない。苺は、不安定な体勢でおしりの穴を押さえつけ、必死に耐えた。
………ギュルクゥゥゥゥッ……。
嫌な音を残して、便意が遠ざかっていく。肛門に達し、排泄寸前になっていた便が、腸内に逆戻りしていったのだ。おなかの中がうごめき、言い知れぬ悪寒を感じる。しかし、便意の波を耐え切ったのは確かだった。
(い、今のうち……)
もらさないためには、波が引いたこのわずかな間隙を利用するしかない。苺は内股ながらも、素早く足を出して小走りにトイレを目指した。
……3時間目の授業が始まるまでは、全然なんともなかった。おなかも痛くなかったし、便意だって少しも感じなかった。それが、始業の礼をして席についた瞬間、ちくっとした痛みがおなかに走って……お尻に圧迫感を感じ始めた。
たちまちおなかはギュルギュルと音を立て始め、痛みの度合いを増していく。それと競い合うように、便意の高まりも加速していった。下痢、という単語を意識する間もなく、身体の苦しみが彼女の思考を飲み込んでいく。
50分授業の半分が終わるころには、苺はもうトイレのことしか考えられなくなっていた。身体中に冷や汗が浮かび、時おり襲いくる便意の波に全身を震わせた。
あふれそうになる便を、お尻の穴を手で押さえてせき止めたのはいつからだったろうか。もう、身体の限界はとうに越えていた。……そんな状態で20分近くも、苺の小さな身体は涙ぐましい我慢を続けていたのだった。
……あと5分での授業終了が待てず、トイレの許しを請うたといって、誰がそんな彼女を責めることができるだろうか。
加速度をつけて増していく痛みと圧力に、次の波が来たらもう押さえきれないと思い知り、絶え絶えな精神力を振り絞って言葉を発したのだ。そして、またも襲ってきた激しい便意をも決死の覚悟で食い止めた。
そして……苺が続けてきた孤独なつらい戦いは、今やっと報われようとしていた。
「と、トイレ………」
うわごとのようなつぶやき。だが、目の前の光景は幻ではない。ピンク色のタイルに、白く塗られた木製の仕切り。半開きの扉の向こうには、教室にいる間、絶望の中で何度も思い浮かべた白い陶器……。苺は、ついにトイレの入口までたどり着いたのだ。
グギュルルルルルルッ!! ゴロロロロッ!!
「……っ!!」
……しかし、荒れ狂う彼女のおなかは、ここに至ってもなお苺を苦しみから解放してくれない。ものすごい腹痛とともに、熱い液体がおなかの中を駆け下ってくる……。
ギュルルルルルルルルルルッ!!
(も、もうだめっ……!!)
もう、外から押さえても押さえきれない。そう判断した苺は、最後の賭けに出るしかなかった。
……下着を下ろして便器にしゃがむのが早いか、肛門の締めつけを振り切って下痢便がぶちまけられるのが早いか……その勝負である。
(早く、早く……)
視界がかすみ始める中、手前に半開きになっていた一番手前の個室に駆け込む。その間にも、手をスカートの中に差し込み、下着を下ろす準備をしておく。お尻の部分が広く覆われた、白地の女児用ショーツが露わになる。
駆け下ってきた便は直腸にたまり、肛門にものすごい圧力をかけてくる。まだ、個室の敷居をまたいだに過ぎない。まだ……まだ出すわけには行かなかった。
(お願い、あと一秒だけ……出ないでっ!!)
そう念じながら……まだ便器にまたがってないにもかかわらず、下着を下ろし始める。もう……肛門には水っぽい感覚を感じ始めている。限界だった。
下ろされた下着の中から、充血したお尻の穴が現れるのと、最後の一歩を踏みしめ、彼女の身体にとってはやや幅広い和式便器を中腰でまたぐのと……そして、斜め後方に向けられた肛門から、薄茶色の軟便が顔を出したのは……ほぼ同時だった。
ブリリリリリリリッ!!
「んんぅ……っ!!」
おしりの穴を駆け抜ける熱い感覚に顔をゆがめながら、崩れるように腰を下ろす。しかし……中腰で勢いよく出始めてしまったペースト状の軟便は、便器の中には収まってくれなかった。斜め後ろに放出された水気の多い崩れかけの軟便は、放物線を描いて便器の後方のタイルを叩く。かなり濃縮されていたのか、親指以上の太さをなして、途切れずにタイルに降り注いでいく。
ブポッ!ブビブビブビチッ!!
「く…………ふぅ……っ!!」
その連続的排出が、一瞬途切れた。……次の瞬間には、空気を大量に含んだ便が肛門からはじけ出る。その瞬間には、おならとも排泄音ともつかない音を立て、ゲル状の高粘度の飛沫を便器の内外に飛び散らせていく。
そして今度は汚らしい音を立て、空気が混ざりながらも水流としての形を保ち……流動物に形も何もあったものではないが、少なくともさっきほど激しい飛び散り方はせず、便器に……いや、まだ彼女の肛門は便器の真上に達してはいなかった。便器の淵をたっぷりとどろどろの茶色いペーストで汚した後、真下に向けられた噴出口から、やっと便器の中へ向けて軟便が吐き出されるようになる。
「んっ…………んんんっ!!」
ブリュルルルルルッ!! ブジュブジュッ!!
ビブブブブリュブビュッ!! ブビュビリュブシャブシャッ!!
やっと排泄体勢を整えた苺のおしりから、ドバドバと軟便が溢れ出す。おなかの差し込みは消えないどころかますます強まり、力を入れるのもままならない。
しかし、それでも全開になったおしりの穴からは、最初の噴出よりも一回り太い勢いで、水気たっぷりの軟便が飛び出していく。時おり空気が混じって途切れるが、一秒もしないうちに腸内から茶色の物体が新たに現れ、便器に降り注いでいく。
ブビビビビビビビッ!! ブジュルッ!!
ブリリリビシャァァッ!! ブバブバッ!!
ジュルブチュルルルルルッ!! ブビリュルビチッ!!
「……はぁ……はぁ…………」
ひとしきり排泄を終えて、荒い息をつく苺。やっと……痛みに耐えて閉じていた目を開く余裕ができた。
「あっ……!?」
汚してしまったであろう便器の後方を確認しようとして、苺は個室のドアを閉めていなかったことに気付いた。確かにそんな余裕はなかったが、もう授業が終わってもおかしくない時間だ。人が入ってくる可能性は少なくなかった。
「んっ……っ……」
一生懸命手を伸ばして扉に手をかけ、身体ごと個室内に引き寄せる。バタンと音がしたのを確認して、鍵を閉める。
……苺が入っている個室の扉のノブに、使用中の赤い印が浮かぶ。それと同時に、トイレの中に生徒たちが入ってくる。一歩遅かったら、個室の中の惨状が丸見えになるところだった。
個室の中の苺は、その惨状をまじまじと目にしていた。便器の後方にドバドバと垂れ流された軟便のペースト、四方に飛び散ったゲル状の茶色い水滴、そして便器の中には、金隠し以外の部分を埋め尽くす大量の軟便が、未消化物のでこぼこを見せながら山をなしている。
それほどの量の排泄物である。もちろん、臭いも尋常なものではなかった。身体の真下から立ち上る凄まじい臭いは、苺の嗅覚を直撃していた。鼻が曲がってねじ切れるかのような、吐き気すらもよおす腐った悪臭……。個室内はすでにその臭いで一杯だった。そして……。
「……ねえ、この臭いって……」
「うん……あ、そっか……」
「……なに?」
「ううん、うちのクラスで、さっきね……」
(い、言わないでっ……!!)
個室の外で、自分が出したものの臭いの話をされていた。しかも、授業中にトイレに出て、戻ってないのはクラス中が知っている。苺がおなかをこわして、とんでもなく臭い大便をしていたという噂が広まるのは、時間の問題だった。
(と、とにかく一度流して……)
もう遅いかもしれないが、便器の中にたまったものだけでも流そうと、水洗レバーを押し下げる。
………………。
(…………あ、あれっ!?)
押し方が足りなかったのだろうか、もう一度グイっと体重をかける。
………………。
「え、えっ!?」
思わず可愛い悲鳴が上がる。何度も何度も、レバーを押す。しかしその金属レバーがキュッキュッと乾いた音を立てるだけで、肝心の水は流れない。もちろん、便器の中に鎮座した大量の汚物はそのままだ。
(水が流れない……どうして……!?)
ありえない事態に、心拍がどんどん加速していく。このままでは臭いが消えないどころか、個室から出ることもままならない。
(ど、どうしよう……)
十数回レバーを上げ下げして、やっと目の前の現実を認識する。
(誰かに言って、水が流れるようにしてもらわなきゃ……でも、それだと出したものをそのままにして、個室を出なきゃいけないし……こんな恥ずかしいものを、人に見られるなんて……)
当然、考えなどまとまるはずはなかった。それどころか、彼女の混乱にさらに拍車をかける事態が発生する。
ギュルルルルルルッ!!
「ひっ……!?」
ひととき忘れていた、おなかが駆け下る感覚。まだまだおなかの重い感じは消えていなかった。新たな便意に、苺は再び身体を震わせる。
(ど、どうしよう、今したらみんなに……でも……)
ゴロロロロロローッ!!
(あぁぁぁ……我慢できない……)
流れ出る下痢便で滑らかになったおしりの穴は、もう排泄を抑える役目を果たしてはくれなかった。あっという間に肛門が開き、便器の中……軟便の山の上に、新たな排泄物が降り注ぐ。
「ん……んぁっ………」
ブリリリリリリリッ!! ブビブビッ!!
さっきと同じような軟便を、たっぷりと便器の中に流し込む。
ブブブブブプッ!! ブボボッ!!
今度は大量の空気を含んだ排泄。便器の中一面はおろか、便器の淵、そして苺のニーソックスにも、おしりではじけた液状便が飛び散って、茶色いしみを作っていく。
「んっ!!」
ブリュッ! ブチュルッ!
ブシュビシャァァァァァァァァッ!!
一瞬の間の後、今度は完全に液状の汚物がほとばしる。色も薄く、粘性もほとんど感じられない完璧な水様便だ。それが、一回、二回と肛門から発射され、ついには切れ目ない下痢便の水流となっていく。
「うぅぅ……」
ビュルルルルルルッ!! ビジュルルルルッ!!
ジュルブシュゥゥゥゥゥーーーーッ!!
止まらない。苦しげに息づく肛門は、まるで全開にした水道の蛇口だ。開かれたその中心から、まとまった太さの水流が、凄まじい勢いで流れ出ていく。
その流れ落ちる先は、出したばかりの軟便の山。それを覆い尽くすように、黄土色の液体が山の頂に降り注いでいく。
「んくっ……」
ブリュルルルルルルルルルゥゥゥ……ブボボボッ!!
ブビッ! ブビビッ! ……ブビチッ!!
出しても出しても勢いが落ちない。それどころか、水流の太さも勢いも加速しつづけている。そんな液状便が突然、激しい空気の音とともに、また細かい飛沫に変わる。かなりの量を撒き散らしたあと、再び姿を現したまとまった便は、最初と同じような……それよりやや粘度の高いゲル状の軟便だった。それが小さいかたまりとなって一つ二つ、そして、ある程度の量がお尻のすぐ下でまとまって……下痢便の海に落ちる。
「はぁ……はぁ……」
苦しげな息をつく。便器の中はもう、真っ茶色だ。便器の壁にも同じ色の飛沫が飛び散り、金隠しの中の水たまりさえも汚物の色に染まっている。こんなものをおなかの中に溜めていた苺の苦しみたるや、想像を絶するものだったろう。
コン、コン……。
「え……」
個室の扉がノックされた。いくらトイレが混んでいても、この中で苺が下痢と格闘しているのはわかっているだろうに……。どんな返事を返せばいいのか。
コン、コン……。
「……苺、苺でしょ?」
「え……?」
よどんだ頭で、耳に入った声を認識する。
「……大丈夫? まだ、おなか痛い?」
クラスメート……その中でも最も中のよい、縁川小石の声だった。気遣って声をかけてくれたのだろうか。
「うん……まだ…………」
苺は、自分の状態を素直に告白する。痛みだけではなく、あれだけ出したにもかかわらずまだ重苦しい感覚が残っている。
「そう……次の授業、出られそう?」
「……まだ……だめかも」
今出て行って……汚物を流さずに出られるわけもないが、次の授業でまたもよしてしまったら、二重……いや、それ以上の恥である。
「じゃあ、具合が悪いから休むって先生に言っとくね」
「うん。お願い……」
嫌な顔一つせず、小石はそう気遣ってくれる。これだけの臭い、外にいる小石にも伝わっているだろうに……そのことを口に出しすらしない。苺は心の底から、親友に感謝した。
「あとは……大丈夫? 服……汚れてたりとかしない?」
「それは……」
靴下に、いくつもの液状便の水滴。そして、ショーツの中心に、指先ほどの茶色い染み……漏らしたつもりはなかったが、開きかけの肛門から、このくらいの汚れが出るのは避けられなかった。
「あ、そ、それよりその……水が…………水が流れなくて……」
「えっ!? ほ、本当!?」
「うん……だから、こんな……」
ひどい臭いを撒き散らして……。
「ど、どうしよう……先生に言おうか?」
「で、でも……」
足元に目をやる。……この光景を、人に見せるわけにはいかない。
ギュルルルルルルッ……。
「あ……っ!?」
さらに追い討ちをかけるように、下ってくるおなか。いつになったら、この苦しみから解放されるのか。
「……苺、どうしたの?」
「あ……と、とにかく大丈夫。何とかしてみるから」
おなかが鳴る恥ずかしさを隠すように、強がり……半分は本心だが、とにかく自力で何とかすると言ってみる。
「本当に大丈夫? その……次の授業始まっちゃったら、来られないし……」
「だ、だいじょうぶ……くっ……」
ギュルゴロロロロロロロッ……。
あっという間に、便意が臨界点まで加速していく。苺は言う事を聞かない自分のおなかを恨んだが、だからと言って排泄が終わるわけではない。そうする間にも、少しずつ便が直腸に集結し、肛門をこじ開けようとする。
「苺!? 苦しいの?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶだから………もう……」
早く出て行って……。心の中ではそう思っていたが、ちゃんとした理由を告げずに、親友の好意を無にはできない。そしてちゃんとした理由……またうんちがしたくなったから、とはとても言えなかった。
結局……。
「うん…………んぁっ!!」
ブリブリブリ! ブビュルッ!!
ブボボビィィィッ!!
「あ……」
個室の外から小石のため息。……もちろん個室の中では、小石が想像したとおりの光景が繰り広げられていた。
「うぅ……くっ………」
ビチビチビチッ!! ブブッ!!
ブジュルブリュッ!! ビリュリュリュッ!!
また粘度を増した半固体の便が、飛沫を散らす液状便にコーティングされる形で次々と出てくる。おしりの真下に落ち、すでに形成されていた山の上を滑り落ちていく……。
「ご、ごめん……もう行くね」
「う……ん…………くぅぅぅぅっ!」
ブチュブチュブチュッ!!
ブビリュルルルルッ!!
返事の途中で、急激な差し込みに言葉が途切れる。代わりにおしりからほとばしる音が、個室だけでなくトイレ中に響き渡った。
「はぁ……、くぅっ……」
おしりからの排泄が止まっても、まだおなかの激しい痛みに苦しむ苺。前かがみの体勢のまま、とりつかれたようにおなかをさすっている。
(まだ……流れないの……?)
一縷の望みを託して、水洗レバーを下げる。
………。
結果は同じだった。
しかし、そのキコキコという乾いた音がはっきり聞こえたということは……トイレ内から他の女の子がいなくなっていたのである。
(休み時間……終わったんだ……)
安堵を覚えると同時に、こんな形で授業を休んでしまう自分にみじめさを感じる。
(どうしよう……とにかく、ここから出て……保健室に行って、先生に事情を話せば……)
賢明な選択だった。冷静な苺の頭脳は、最善の選択を導き出していた。保険の先生に言うだけなら、あるていど秘密も守られる。
……だが、いくら頭の中で冷静に考えても、それを実行するのは、極度の不調に陥ったその身体なのである。
グリュリュリュリュッ!!
「ひぁぁっ……!?」
ものすごい音を立てて、おなかの中で何かがうごめく。
そして…………。
ブビチュッ!!
「あぁ……あっ……」
便意など感じる余裕はなかった。それより先に、肛門から液状のものがあふれ出していた。
(と……止められない…………)
ブピュルッ!!
……大量の噴出こそ息をひそめたが、今度は数秒おきに液便がもれ出してくる。
もう便器は下痢便で一杯になりつつある。しかも、隣の個室に移ろうにも……。
ブリュリュリュブチュッ!!
「うくっ……うぁっ……」
……あふれつづける液状便と果てしない腹痛が、苺に一歩たりとも動くことを許してくれない。
ブリュブリュッ!!
ブチュビチッ!! ブブブッ!!
……止まらない。
ジュルブブッ!!
ビジュジュジュッ!! ビブリュリュリュッ!!
……これだけの量を出したのに。
ブプピュルルッ!! ビジュブビッ!!
ブジャジャジャッ!!
……まだ……便意は加速しつづけていく。
それから……数十分。
「うっ……くぅぅっ!!」
ブボボボッ!! ゴボッ!!
苺の排泄は、まだ終わっていなかった。断続的とはいえ、一時間近くに渡って出しつづけた彼女……喉もカラカラで、脱水症状を起こしかけている。
すでに、便器の中は下痢便であふれ返っていた。はみだした液状便がタイルの溝を伝って流れ出るようになり、ここでこれ以上出せないと決意した。しかし、絶え間なく便がもれ続ける状態では、隣の個室にすら移れない。
苺は、下痢便を垂れ流しつづける肛門を、何重にも重ねたトイレットペーパーで押さえつけ、個室の扉を開けたのである。
(誰も……いない……)
ブボボボッ……ブチュルッ!!
その間にも、あふれ出る液状便がその紙を汚していく。肛門に当たる部分は、外からでも汚物の色が確認できる。そんな状態で、苺は這うように隣の個室に向かっていた。
「……苺、大丈夫かなぁ……さすがに、もういないと思うけど」
「……そんなにひどかったの?」
「うん……言いにくいんだけど、すごくつらそうで……」
「え……!?」
「なに……ええっ!?」
……苺の親友である小石と楓が、様子を見にトイレに入ってきたのはちょうどその時。
彼女たちが見たものは、半開きの扉の向こう、白い便器を埋め尽くす下痢便の山。そして……丸見えのおしり、その中心を茶色く染まりつつある紙で押さえて、這うように隣の個室に向かう苺の姿。
「え……」
……その苺が、二人に気付く。
「い……いや……」
振り返る苺。その視界がぼやけ始める。
「み……みない…………で……」
その言葉とともに、苺は意識を失った。
「え……苺!」
「苺ちゃん!!」
駆け寄った二人によって、苺は保健室に運び込まれる。
……停滞。心が沈んだ時、精神に大きい衝撃を受けた時、身体がその活動を一時的に停止する病である。あまりにみじめな姿を見られた苺のショックは、その病気を再発させるに十分なものだった。
幸いにも、同じ病気を過去に克服した草薙桂の助けによって、苺はその日のうちに停滞から回復する。
……いや、幸いだったかどうかはわからない。なぜなら、苺は桂の目の前で意識を取り戻したからだ。
停滞から回復した瞬間、一時停止のビデオを再生するように、身体は停滞前と同じ状態を取り戻す。
そして、停滞前の苺は……
「草薙……くん……え…あぁぁっ!?」
ブジュルルルルルルッ!!
……寝ている間に履かせられていた替えの下着。その中に、苺は液状便をほとばしらせてしまったのである……。
あとがき
原作をご存知の方ならお分かりでしょうが、「加速」「止まる」はおねてぃの最大のキーワードです。今回、意識してその単語を多く文中に使ってみました。
今回のテーマは、しぶとい下痢です。一気に出てしまうのもいいけど、こういう風に渋るおなかと格闘する姿もいいものです。しかし、読む側にとってはやはり、どこかの場面で興奮度が頂点に達する方が望ましいわけで、つい一気呵成に大量に出る描写を多くしてしまいます。本当はこういう断続的な下痢の方が現実的なんでしょうけどね。
最後は結構むりやりです。とにかく長いですね、相変わらず。次はもっとお手軽に書くよう心がけます。