ぴーぴーMate Episode 2「閉ざされた扉の先に」
Part.1 扉の閉まる時
「………………」
宮城はるかは、停車中の電車の扉近くに立ち、開いたドアの先の駅のホームを眺めていた。乗車してくる客に車内奥に押し込まれないよう扉付近の位置を確保する。
細身の長身を真新しい緑色のブレザーに包み、茶色に染めたばかりの長い髪を背中に下ろし佇む少女。耳にフィットしたワイヤレスイヤホンからは彼女のお気に入りの曲が彼女にだけ聞こえる音で流れている。穏やかな優しい顔立ちの彼女だが、その表情はやや険しい。何かを警戒するかのように視線をあちこちに巡らせている。そのためか、周りの乗客との間には僅かな隙間ができていた。
発車メロディが鳴り響き、電子音とともに車両のドアが動き始める。
イヤホンのノイズキャンセリングは継続する雑音を消してくれるが、瞬間的に発せられる音は消してくれない。
プシューーーーーー……。ガタンッ。
圧縮空気がドアを駆動し、はるかの目の前でドアが閉ざされる。その音が、イヤホンのイヤーピースを透過して、彼女の耳に届いた。
「あ…………」
ドクン。
その瞬間、はるかの心臓が大きく拍動した。
(…………!!)
ガクッと大きな加速度をつけて電車が動き出す。ドアの向こうのホームの光景が後方に流れ始める。
(……っ………だめ……!!)
心拍数が急激に上昇する。
閉ざされた扉。動き出した電車。
次の駅で停車するまで、外に出ることはできない。
(……き、気にしたらだめっ、そうしたら余計に……)
胸部の不安な感覚が少しずつ下方に移動してくる。
たとえトイレに行きたくなっても、自由にトイレに行くことはできない。
トイレを我慢できなくなっても、勝手に降りてトイレに行くことはできない。
(…………トイレに行けないって考えたら…………また……お腹が…………)
漠然とした不安が内蔵をくすぐるような違和感となって腹部を満たしていく。
下痢をしてお腹が痛くなっても、次の停車駅まで耐え続けなければならない。
下痢がひどくて漏らしそうになっても、次の駅に着くまで我慢しなければならない。
(だめ、こんな時に、お腹が、痛くなったら…………)
ギュルルルルルルルルルッ!!
ゴロッギュルルギュルギュルルルルルルルルルルルルルルッ!!
「うぅっ!!」
電車のドアが閉まった時から彼女の心を満たしていた不安が、その瞬間激しい腹痛となって牙を剥いた。はるかはぎゅっと目を閉じ、お腹に手を当てた。
(お腹痛い…………トイレ、トイレ行きたい……!! 行きたいのに…………!!)
発車した電車は加速を終え、一定の速度で惰行している。
もう降りることはできない。電車が停まるまでトイレに行くことはできない。
トイレに行けないという不安が、我慢できなくなったらという恐怖が、彼女の繊細な胃腸をさらに刺激していく。
ゴロゴロゴログギューーーーーッ!!ギュルッ!! ギュルギュルギュルッ!!
ゴロッギュルーーーーーーーッ!! ゴロロロロロロロロロロピィィィィィィィピーーーーーーーグルルルルルルルッ!! グギュルルルルルルーーーッ!
(だめ、このままじゃ、トイレ……我慢できなく……!!)
はるかは冷や汗を浮かべながら通学鞄を開き、内ポケットのわかりやすい場所に入れた錠剤を取り出した。水なしで飲める下痢止め薬だった。誰にも見られないよう手で口元を隠しながら、祈るような気持ちで飲み下す。
(…………お願い…………効いてっ…………!!)
電車に乗るとお腹が痛くなる、と気づいたのは、小学生の頃だった。
ドアが閉まって電車が動き出すと、言いようのない不安に襲われる。この扉が開くまで外に出られない。トイレに行きたくなっても自由にトイレに行けない。不安がさらなる不安を呼び、すぐにお腹が痛くなり、間もなく激しい便意が襲ってくる。次の停車駅まで必死に我慢してトイレに駆け込む。もともと胃腸が弱く下痢をすることが多い彼女だったが、電車の中でトイレに行けない状態で腹痛に襲われるのは恐怖以外の何物でもなかった。
小学生の頃はたまに家族で出かけるときくらいしか電車に乗る機会がなかったが、私立の中学校を見学に行く時も電車に乗った瞬間に激しい下痢になり、途中の駅でドアが開くなり飛び降りてトイレに駆け込んだ。知らない駅でトイレを探す数分の時間が永遠のように感じられ、便意の波に立ち止まるたびに、もう我慢できない、本当に漏れそう、と思いながら必死に耐え続けた。
比較的乗車時間が短くて済む学校を選んだものの、中学校に入学し電車通学が始まると、文字通り毎日のように激しい下痢に苦しめられた。電車の中で限界近い我慢を毎日強いられ、学校の最寄駅に着くまでの15分間すら我慢できず、途中下車を繰り返す日々。1度途中下車してトイレに駆け込んでもまた電車に乗ると腹痛が再発して、途中の3駅すべてで途中下車してしまい学校に遅刻したこともある。あまりに下痢が続くため受診した病院で、はるかはその病名を初めて耳にした。
過敏性腸症候群――。
電車や車など自由にトイレに行けない状況になると下痢をしてしまう病気であった。神経性のことが多く、トイレに行けない不安が自律神経を刺激し、過剰な腸の運動を起こし激しい下痢を引き起こす、と説明を受けた。長時間トイレに行けないのが怖く各駅停車の電車にしか乗れない「各駅停車症候群」とも呼ばれるとのことであり、はるかの症状はまさにその通りだった。
腸の動きを抑える薬を出してもらい毎日飲み続けたものの、症状は和らぐどころか逆に悪化していった。すぐ降りられるよう各駅停車の電車を選び、便意をもよおしてすぐ途中下車して最短距離でトイレに駆け込んでも、間に合うかどうかぎりぎりであった。便器にしゃがむまで我慢できずトイレの床を汚してしまったことも何度もある。薬を飲むことで逆に病気を意識してしまい症状が悪化しているのかもと思い、いつからか飲むのをやめてしまった。
結局、病名がわかった後も下痢に苦しみ続ける毎日は変わらなかった。途中駅のトイレの位置をすべて覚えてしまい、お腹の痛みとお尻の感覚からあと何分我慢できるか予想できるようになり、周囲に気づかれずに限界近い便意を耐える姿勢を身に付けてしまうほど、彼女は毎日電車の中で下痢と戦い続けていた。
高校の入学式であるこの日の朝も。
ギュルギュルギュルギュルッ…………!!
グギュルーーーッ……ゴロピィーーーッ! グギュルルルーーッ!
(やばい…………全然効かない…………!!)
下痢止め薬で腹痛が治まるか、せめて悪化しなくなることを祈っていたはるかの期待は完全に裏切られ、腹痛は一刻の猶予もないほどの猛烈な勢いで強くなり、便意も急速に膨れ上がっていく。あまりの痛みに、周りの目を気にする余裕もなくはるかはお腹を苦しげにさすり始めた。
(……どうしよう、このままじゃ…………あと…………)
はるかはお腹をさすりながら、あとどれくらい我慢できるか考え始める。お腹が痛くなってから6分、便意を感じ始めてから5分が経っている。すでにお腹の痛みは耐えられないほどに強い。腸の内容物を急速に送り出そうとしている。肛門に感じる圧力も強い。ただ、まだ耐えられないほどではない。体を緊張させてはいるが本当に全力で我慢するところまでは至っていない。この様子ならあと12分……はもたないかもしれないが、10分、いや11分は我慢できそうであった。しかし、学校の最寄駅まではまだ17分かかる。そこまで我慢することは不可能だと、はるかはすぐに結論付けた。
(次で降りて、トイレに行かなきゃ…………)
途中下車する決意を固めたはるかは、混んでいるものの満員電車ではない車内を歩き始めた。こんなこともあろうかと、3回くらい途中下車しても大丈夫なように朝は早く家を出ている。
(西調布東は……3両目の前寄りで降りれば……)
目指す先は隣の車両の一番先頭のドア。停車駅に向けての減速が始まり、少しずつ感じる前向きの加速度に背中を押されながら、人影を縫って早足で車内を歩く。時折立ち止まってお腹をさすりながら貫通部を1回通り抜け、3か所あるドアの一番先頭まで歩みを進める。
目指す位置まであと数歩となった瞬間だった。
「っ!!」
グピーーーーギュルグウーーーーーーーーーーーッ!! ゴロッギュルルルルルルルルッ!!
ゴロゴロロロロロロッ!! ギュルルルルルルルピーーーーギュリリリリリリグルルルルルルルルルルルルッ!!
(だめっ……漏れそう……!!)
はるかのお腹を激しい痛みが貫く。間髪入れずに直腸から肛門へ駆け下る圧力。肛門が膨れ上がりそうな感覚。直腸の中をいっぱいに満たしている下痢便が今にもあふれ出しそうな切迫感。
(我慢……我慢しなきゃ……!!)
踏み出していた左足をかかとから降ろし、右足は半歩引いてつま先立ちにした状態で立ち止まり、太ももが震えるほど力を入れる。お尻の筋肉を収縮させ、程よい肉付きのお尻を寄せるように中央に寄せる。背筋を伸ばしさらに後ろに反るように10度ほど上体を傾ける。膨らみの小さい胸がわずかに制服を押し上げる。背を反らしたことにより、お尻の肉が左右方向だけでなく上下方向にも圧縮され、隙間なくお尻の谷間を埋める。
その谷間の奥にある肛門が膨らまないように。
お尻の穴が側方に広がって中身が漏れ出さないように肛門括約筋を収縮させるのが通常の便意我慢である。我慢すべき内容物が固形であればこれだけで十分だった。しかし、はるかが腸内に抱えているのは、固形からは程遠い下痢便だった。お腹が弱いはるかは固形の便をすることが全くと言っていいほどなく、直腸の中は流動性の高い下痢便――あるいはもっと水っぽい液状便や水状便かもしれない――で満たされている。お尻の穴が広がらなくても外側に膨らむだけでわずかな隙間ができ、その隙間から下痢便や液状便はいとも簡単に漏れだしてしまう。
その下痢便を、わずかたりとも漏らさないために。
肛門が膨らむためのスペースをお尻の肉で埋め尽くすことによって肛門が膨らむことを防ぎ、漏らすのを阻止する。内側から膨らんで空間をこじ開けようとする肛門の動きを、臀部の筋肉でお尻を寄せることによって押さえつけ、強張らせ続けている太ももと背筋によって維持する。
ギュルゴロピィーーーグルルルギュロロッ! ゴロッ!!
ギュルルルルルゴロギュルゴロロロロロロギュルーーーーッ!! ゴロッグウーーーッギュルルルル!
(お腹、痛い………けど、まだ大丈夫……波が引けば……!!)
わずかに体を震わせながら、片足を引いて後ろに反った姿勢で硬直するはるか。顔色ははっきりと青ざめており、唇を噛み締めて、目を細めた辛そうな表情で必死に便意をこらえている。激しく痛むお腹をさすって、少しでも便意の高まりを抑えようとする。電車の中、人前でお腹をさすることはお腹を壊していることを知られてしまう可能性が高く、できるならやりたくなかったが、そうしないとさらに便意が高まって我慢できなくなってしまいそうだった。かすかに頬を赤らめながら、はるかはゴロゴロと唸るお腹を必死に慰め続ける。
背中を後ろに反らし、お尻を寄せることによって肛門が膨らむのを阻止するこの姿勢は、電車に乗るたびに下痢に襲われ、限界近い便意を我慢することを何百回と繰り返すうちに、彼女が自然に身に付けたものであった。
ギュルル…………キュルルルルゴロッ…………グギュゥゥゥゥゥッ…………!!
「っ……ふぅ…………っ…………」
肛門に押し寄せていた圧力が少しずつ薄らいでいく。便意の波を乗り越えたことを、酷使された肛門が教えてくれる。はるかは慎重に全身の緊張を解いていった。
『ご乗車ありがとうございました。西調布東に到着です』
プシューーーーーー…………!!
電子音とともにはるかの目の前、数歩先の扉が開く。
外界と隔絶されていた電車から、ホームへ降りることができる。そうしたら。
(トイレ…………トイレ行けるっ…………!!)
はるかは扉が開ききるのも待てず電車を飛び出した。
(この階段を上がればすぐトイレ…………!!)
ホームに降りると目の前が階段。通学時間としては早めの時間帯、降りる客はそれほど多くなかった。それでも出遅れないように階段を駆け上り、その先にあるトイレを目指す。階段の先に、赤と青のピクトグラムが見えてくる。階段を上りきれば、10歩ほどでトイレの入口に着ける。
今日から初めて通う学校、その通学電車の途中駅。その駅のトイレの位置、そしてそこに最短距離でたどり着くための車両とドアの位置を、はるかは知っていた。
数日前、入学に先立って、25分の通学時間で通過する10個の駅すべてで途中下車し、各駅のトイレの位置をすべて確認してあったのだった。特にこの西調布東駅は、降りて確認しただけでなく実際に「利用した」こともあって、トイレに入るまでの光景は彼女の脳裏にしっかり刻まれていた。トイレの位置がわからないことほど不安になることはない。いつ電車の中で下痢に襲われてどの駅で降りても大丈夫なように。彼女は十分な備えをしていた。そうしないと怖くて電車に乗れなかった。
ギュルルルルルルピィーーーーーーーーーーーーグギュルルルルルルルルッ!!
ピィーーギュルルルルルルッ! ギュルギュルッ!! ゴログピィーーーーッ! ギュロロッゴロッグギュルルルルーーッ!!
「っ!!」
(また来た……でも、まだこれくらいなら……!!)
強烈な便意が肛門に押し寄せる。階段を駆け上ったはるかは足を止め、再び体を強張らせた。階段を登り終えて数歩で立ち止まり、また右足を少し引いて太ももと背中と臀部の筋肉を一斉に収縮させる。はるかの上体が10度後ろに反らされた。盛り上がりかけた肛門が寄せられたお尻に挟まれ、行き場をなくして数瞬の均衡の後に内側へと引っ込んでいく。
グギュゥゥゥゥゥギュリグピィーーーッ!! グピィィグルゴロゴロッ!
グギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥグギュルーーーーーーーーーーーーーーッ!! グギュルーッ!
(さっきよりきつい…………でも、これならまだ、あと9分くらい大丈夫…………慌てないで、治まるまで、待って…………!!)
はるかはいつも朝起きると同時に強い便意をもよおす体質で、今日も目が覚めきらないうちにトイレに飛び込んでどろどろの下痢便を排泄した。さらに、念のため電車に乗る前に入った最寄り駅のトイレでは、さらに水っぽくなった液状の便を和式便器の中に注ぎ込んでいた。今もそれと同じかさらにゆるい便が肛門のすぐ内側まで来ているだろう。一瞬でも肛門を外から押さえつける力が緩めばその瞬間に漏らしてしまう。
「う……っ…………んぅぅっ…………!!」
肛門に注意力を集中させて下半身を引き締め、便意をこらえる。その間に空いている右手はお腹をさすり、激しい腹痛を少しでも和らげようとする。はるかは歯を食いしばり、目を閉じそうなほど細めて必死の表情で耐え続けていた。
ギュルルルルゥゥゥゥ…………キュゥゥゥゥゥッ…………!!
(うん、治まった……………これなら……!!)
体の緊張を解いて、後ろに反っていた体を少し前かがみにする。まだ痛むお腹をさすりながら、トイレに駆け込むべく一歩を踏み出す。
「…………あれ、はるか? はるかでしょ? どうしたの、こんなところで?」
「え…………あ、愛里……」
顔を上げたはるかの視界に、見覚えのある服が見えた。紺色のブレザーに、水色のネクタイ。それを着ているのは、中学時代の友人であった館山愛里。
(うちの……じゃなかった、晶英の、高等部の制服…………)
つい先月まではるかも着ていた晶英学園の制服。中等部では胸元の飾りはリボンだったが、高等部では大人っぽいネクタイになっている。はるかも着るはずだった、高等部の制服。あんなことがなければ、きっと――。
「びっくりしちゃった、髪染めたんだね……その制服、明翠学園でしょ? 全然別人みたいで一瞬わかんなかったよ」
「あ、う、うん……」
過去に戻りかけた思考が友人の言葉で引き戻される。
「でも、似合ってるよ。いいな、明翠の制服ってスマートな感じ」
「あ、ありがと…………」
「あれ……はるか、大丈夫? ちょっと顔色悪くない?」
「え、う…………その、今日入学式だから、ちょっと緊張しちゃって」
お腹の中の恥ずかしい不調を隠し、はるかは慌ててお腹から手を離して事情を繕った。
「そっか。はるかって結構繊細だもんね…………新しい学校、がんばってね」
「う、うん、ありがと…………じゃ、じゃあ…………」
「あっそうだ、今度またカラオケ行こうよ。ほら、格好いい先輩連れてくるからさ」
はるかも何度か愛里に誘われてカラオケに行ったことがある。工業高校に通っている彼女の兄の伝手で知り合った男の人と一緒のことがあり、はるかもいきなり付き合ってほしいと言われたこともあった。でもその時は、そんな事全然考えられなかったし、考える必要もなかった。
「う、うん……でも、まだ学校にも慣れてないし……しばらくは……」
「あーそっか。でも、落ち着いたら絶対行こうね。じゃあ、また!」
愛里は残念そうに言うと、はるかが上ってきた階段を駆け下りていった。
見送る視界に、制服の後ろ姿が映る。はるかがもう二度と着ることのない制服が。
学校に不満があったわけではない。通学時間は地獄の苦しみだったものの、学校生活はとても楽しかった。授業のレベルは高かったがはるかにはちょうど良かったし、吹奏楽部での練習や演奏会にも一生懸命だった。愛里をはじめとして友達もたくさんいたし、何より、ずっと好きだった大好きな人と同じ学校で、同じ時間をずっと過ごせることが幸せだった。
でも、はるかはそんな幸せを失ってしまった。自分のせいで。あんな失敗をしてしまったせいで。
はるかは、お腹の痛み以上にせり上がってきた胸の奥の痛みをこらえて目を閉じ、愛里に背を向けた。
「…………うぅ……」
「あっ」
その目の前を、改札から入ってきた少女が横切っていった。はるかと同じ制服を着て、髪を頭の横で結んだやや幼い感じの少女であった。少女の向かう先は、はるかが駆け込もうとしたトイレの中だった。
(…………や、やばい、出遅れちゃった…………)
慌ててはるかもトイレの中に駆け込もうとした。
「………………うそ……!!」
はるかはトイレの入口に足をかけたところで立ち止まった。
(こんなに並んでる……10人!?)
女子トイレの個室の手前から入口近くにまで並ぶ女性たちの列。その人数は、先程駆け込んだ少女を入れて、10人に達していた。
(ど、どうしよう…………こないだはこんなに並んでなかったのに…………そっか、学校休みだったからあんまり混んでなかったんだ…………)
はるかはきちんと朝の時間を選んで偵察したつもりだったが、春休み期間中だったので学生がおらず、そのため混み具合を過小評価してしまっていた。今並んでいる10人のうち、学生が3人。先頭の小柄な子、4番目の青いブレザーの子、はるかの目の前の、はるかと同じ制服の子。1/3近い人数の差は、行列の長さに大きな影響を与える。
(個室が3つで10人だと、全員おしっこだけなら、6分くらい……? あと、我慢できるのは…………さっきの波の間隔を考えると、たぶん、7分……それ以上は無理…………でも、ぎりぎり、間に合う……? 他のトイレは…………どうしよう、コンビニがあるかとか見てなかった………)
はるかは苦しいお腹の痛みを手でさすって慰めながら、冷静に計算を重ねていった。個室の数、並んでいる人数、自分のお腹の具合。取りうる他の手段の確実性。
(だいじょうぶ、このまま我慢すれば、きっと…………)
ギュルゴロゴロゴロギュルルルルルルルーーーーーーッ!!
「っ!!」
咆哮のように響いたお腹の音に驚き、はるかは思わずお腹を抱え込んだ。
だが、激しい痛みはない。おしりが破裂しそうな圧力もない。
(よ、よかった…………私のお腹じゃない………………え、そ、それって!?)
自分のお腹の音でないということは、他の誰かのお腹の音だということ。
「っ…………くぅっ…………はぁっ、はぁっ…………うぅぅぅ……!!」
ゴロログウーッ! グピィィィィィギュリリリリリッ!! ギュルッ!
ゴロピーーーーーーーーーーーーゴロロロロロロロロロロロロロロギュルルルルルルルルルッ!! ギュルーーッ!
ゴロロロロギュルルルルルルルルルルグギュルーーーーーーーーーーーーーーッ!! グピーーギュルグウーーーーッ!
先頭に並んでいる小柄な少女が、前かがみになってお腹をさすり続けている。ひっきりなしに鳴るお腹の音。荒い息遣いで上半身が動くたびに黒いおかっぱの髪が揺れる。着ているのは、緑色のセーラー服。はるかが着ているブレザーと同じ色合いの制服だった。
(あの子、明翠の…………うちの、中等部の子…………? そんな、あの子、まさか…………!!)
ゴボジャーーーーーーッ…………!!
水洗の音が響き、一番手前の個室が開く。それを待ち切れないかのように、先頭に並んでいた少女は空いた個室に駆け込んでいった。
(まさか、お腹、壊して…………!!)
はるかがその可能性に思い当たった瞬間だった。
「……うぅぅぅっ!!」
ブビューーーーーーーーーーーーッビチャビチャビチャビシャビシャバシャバシャバシャ!!
少女が駆け込んだ個室の中から衣擦れとほぼ同時に激しい水音が響き、次の瞬間、扉の隙間から茶色い液体の飛沫が個室の外に飛び出してきた。
(ひどい下痢…………個室の外まで汚れるって、ぎりぎり間に合わなくて、便器の外にしちゃった時…………じゃあ、中はもっと…………)
中学1年生の時、過敏性腸症候群の薬を飲んでも全然効かずに通学電車で激しい下痢になり、トイレに駆け込んだものの混んでいて限界近くなってしまい、ぎりぎり漏らさなかったものの便器にしゃがむまで我慢できなかった記憶が、その時の壁や床や個室の外まで汚してしまった光景とともに蘇ってくる。あの時は片付けに時間がかかっているうちにまたもよおしてしまい、「もうやだ…………」とつぶやきながら再度便器にしゃがみ込まざるを得ず、結局20分近く個室から出られず、始業時刻に間に合わず遅刻してしまった。
「あぅっ…………うぅぅぅぅぅ……………!!」
グピーーーーゴロゴロロロロロロロロッ!! ゴロゴロロピィグウーーッ!
ゴロッゴロロロロロロロロロロロロロロゴロゴロゴロロッ!! ギュルギュリリリリリピィーーーーギュルーーッ!! ゴロギュルルルルルルルッ!!
ブシャビシャァブシャーッビュルルッ! ビュッビチィィビュルーッビィッ! ブシャビュルルルルッ!!
ビュッビシャビュルルルルルルルルッ!! ブシャッビチィィィィィィビィーッ!!
ビュルッブシャァァァァァァァァァァァァァビシャアアアアアアアッ!! ブシャッブシャーーーーーーーッブシャーーーーーーーッブビューーーーーーーッ!!
ブパッブシャーーーーーーーーーッブビューーーーーーーーーーーーッ!! ブシャッジャーーーブシャーーーーーッビィーーーーッビィッ!! ビシャアッ!
個室の中の少女は、激しいお腹の痛みに苦しみ、うめき声をあげながら、大量の水状便を吐き出し始めた。便器の中に何度も何度も水便が注ぎ込まれるあまりにも苦しげな排泄の様子。しかし、はるかは少女を心配することはできなかった。はるかの頭の中は、必死に考えた計算が崩壊する衝撃に満たされていた。
(一人でも時間がかかる人がいたら……こんな、ひどい下痢してる子がいたら……回転が遅くなって、7分じゃ…………)
必死に導き出した希望が崩れ去っていく。こんなひどい下痢の排泄が数分で終わるはずがない。汚れてしまっているであろう床の掃除も必要に違いない。その時間を考慮したら、はるかが個室に入るまでにはもっと時間がかかる。
「あぅぅぅっ……んっ……ぐぅぅ…………!!」
グギュルルルルルルルルピィィグルルグウーッ!! グピィィゴロロロッ! グギュゥゥゥゥゥゥギュルギュルピィィィィゴロロロゴロロッ!!
ブシャァァァァァァァァブジュビュルーーッ!! ビシャビィーーーーーーーーーーーーーーーッ!! ビシャビチィビシャァァァァァァァァビュルルルルルルルビシャーッ!
ブシャッブシャァァァァァァァァビィィィィィィィブビューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!! ビュブシャァァァァァビュルーーーーーッ!!
ビュジャァビシャーーーービィィッ!! ブシャビィーーーーッビチィーーーーーーッジャァァァァァァァビィーーーーーーッ!!
ブシャッビィィィィィィビィーッ!! ブピッビュルビシャーーーーーーービチィーーーーーーーーーーッ!! ブシャビチィィィィィィビチィーーーーーッブシャーーッ!!
今注ぎ込んだばかりの水便の海に勢いよく新たな水便が叩きつけられる音が響く。おそらく、便器の側面やその外の床にまで無数の飛沫が跳ね上げられているだろう。白い靴下を履いていたがそこにも汚れが飛び散っているはず。音だけでも凄まじい勢いで排泄していることがわかってきた
(……あんな小さな子なのに…………こんなに下痢が…………まだ全然終わらなそう…………これじゃ…………かなり時間が…………)
はるかは、個室の中から響いてくる凄まじい水音を耳にしながら必死に考えていた。はるかもたまにしか経験しないほどの激しい大量の水下痢。それが終わるのにどれだけの時間がかかるだろうか。休み時間になると同時に駆け込んだトイレから10分後にチャイムが鳴っても出られなかった記憶が脳裏に浮かぶ。
(この子が出られなかったら、実質的に個室2つ…………一人2分かかったら、合計18分で…………、)
はるかは必死に頭の中で計算を始めた。明晰な彼女は、程なくその結果を導き出す。だが、その結果は彼女が望んだものにはならなかった。
「ぁ…………」
(そんな…………間に合わない…………!!)
はるかの心が絶望に包まれていく。このままじゃ間に合わない。信じたくない現実を、彼女の理性は否定できなかった。何度も、何十回も、何百回も限界までの我慢を繰り返してきたはるかは、自分があとどれくらい我慢できるかを1分単位で正確に予測することができてしまう。今日もその能力のおかげで、学校の最寄駅まで我慢できないことを早期に予測し、途中下車することができた。だが、彼女の想定を上回るアクシデント――トイレに行列ができていて、うち一人がひどい下痢で個室を汚してしまったこと――が起きると、その能力は、絶対間に合わないという死刑宣告になってしまう。間に合わないことがわかっていながら、絶望的な我慢を続けるしかなくなってしまう。
「う…………うぅっ………………」
どんなに頑張って我慢しても耐えきれない。繊細な彼女の心はその葛藤に耐えかね、涙腺を刺激してまなじりに涙をにじませ始めた。
グピィィィィギュルルルルルルルルグルルルルルルッ!! ギュルピィィグルルルギュルーーーーーッ!
ギュルゴログルルルルルルルルルルグピィーーーーーーーーーッ!! ゴロゴロロロピーーーーーーギュルルピーーーーーーグウーーッ!!
「あ、あっ…………!!」
またも襲ってきた腹痛と強烈な便意。反射的にはるかは背筋と臀部の筋肉に力を入れ、右足を引いて体を反らして我慢する体勢を取る。限界を超えた筋肉の緊張に引っ張られる脚がスカートの中でぷるぷると震える。座っていればお尻の穴を押さえて体重で押さえれば我慢できるものの、立っている状態ではお尻の穴を指で抑えるよりも、お尻全体の力で肛門が広がる余地を潰した方がより長く我慢できる。彼女は絶望的な状況の中でも無意識に最適戦術を取っていた。
(だめ、我慢、がまん、しなきゃ…………)
ゴロピーーーーーゴロロロロロッ!! ゴロピーーギュルルルルルギュルルルルルギュリリリッ!!
ゴロギュリリリピィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィグルルルルルルルルルルルルルルルルギュルーーーーッ!! グギュゥゥゥゥゥギュルルルルルルルピィーーーーーッ!!
過剰な神経伝達物質に刺激された腸がねじ切られるような痛みを発する。今すぐトイレで中身を出したいという悲鳴。激しいお腹の痛みに顔をしかめ、泣きそうな表情で目を細めて歯を食いしばる。顔中に浮かんだ汗と、目尻に浮かんだ今にも零れ落ちそうなほど大きな涙が光を反射させていた。
はるかは右手で必死にお腹をさすっていた。しかし、彼女の計算は、お腹をさすって便意の上昇速度を抑えることを含んだ計算なのだ。お腹をさすらないわけにはいかないが、やったからと言って計算以上に我慢できるようになるわけではない。何度も何度もお腹をさする音に、前の少女がちらりとはるかの方を見た。
彼女の前にはまだ9人の女性が自分の順番を待っている。はるかの番が回ってくるまで我慢できるか――。
「はぁっ、はぁっ…………んぅぅっ…………!!」
グギュゥゥゥゥグルグルルルルルルルッ!! ギュルルルルルルピーーーーーグルルルルルギュルーーーーーーーッ!!
ブパッビチャビシャーーッ!! ブシャビュルビシャァァァァァビュブシャーーーーーーーッ!!
ブピッジャーービシャーーーーーーーーーーーービチビチビチビチィッ!! ビュルッブシャーーーーーーーーーーーッビュルーーーーーーーッブビィィィィィィ!!
ビュブシャーーーッブシャァァァジャアアアアアアアアアアアアアアッ!! ビシャビシャーーーーービチィーーーーーッブビビブジュブジュブジュ!! ビシャビュブシャァァビシャアアアアアアアアアアッ!!
ビュビシャーーーーーービチィィィィィィィブシャーーーーーーーーーーーッブジュグジュブジュジュジュッ!! ブパッビュルブビューーーーーーーーーービシャーーーーーーーーーーーーーーッビチビチビチブーーーーーーーーーッ!!
小さな少女が駆け込んだ個室の中では、まだ水音と破裂音が休みなく鳴り響き続けていた。
はるかの前に並ぶ人の列は、まだ一人も減っていなかった。
(…………無理…………こんなの………………どうしよう、どうしよう、これじゃ…………!!)
我慢できない。自分の番が回ってくるより先に、我慢できなくなってしまったら。トイレ前の行列の中で、人前で、下痢便を漏らしてしまう。
はるかの目に浮かんでいた涙の雫が大きくなり、赤く紅潮した頬を伝って流れ落ちた。
(嫌だよ…………あの時みたいに…………また…………!!)
あまりにも絶望的な状況の中で、はるかは考えたくなかった、思い出したくなかった光景を頭に浮かべてしまっていた。
わずか数ヶ月前の出来事。彼女が先月までと違う制服を着て、この場所に立っている理由。幸せを失ってしまった事件。二度と思い出したくない、けれども決して忘れられない悲劇を――。
キャラクター設定
宮城 はるか(みやぎ はるか)
「……………………過敏性腸症候群って、知ってる?」
15歳 明翠学園高等部1年3組
身長:158.5cm 体重:44.2kg 3サイズ:73-53-78
―――――
基本設定
明翠学園に高等部から編入してきた、長い髪を茶色に染めた優しげな雰囲気の少女。
―――――
外見・服装設定
身長は平均より高いが細身な体型。胸も小さくAカップ程度である。
髪を染めていたり、ネクタイを緩めて制服を着崩したり等で派手目な格好が多いが、学校を変えるにあたって少し無理をしてイメージを作ろうとしている面もある。
―――――
内面・能力設定
服装や髪の色などは派手目だが、優しげな顔立ちの通り性格は優しく真面目。事情があってやや人付き合いを避けているが、もともとは繊細で寂しがりな性格である。辛いことや苦しいことがあるとすぐ泣いてしまう泣き虫な一面もある。実は頭を撫でられるのが好き。
真面目で勉強熱心な性格で、頭の回転も速く記憶力も良い。特に空間認識力が高く地図を覚えるのが得意。
編入後は吹奏楽部に入り、レベルの高い明翠学園の吹奏楽部でも見劣りしない実力を発揮している。
―――――
排泄設定
下痢便(-80) 過敏性腸症候群 大量排泄 腹痛悪化 激臭排泄 消化不良(重度) 便質軟化 限界予測 長引きおもらし 後ろ反り我慢
小学生時代から重度の下痢型過敏性腸症候群を患っており、トイレに行けない状況になると急激に便意が強まる下痢になってしまう。特に電車や車に乗ると確実に激しい下痢に襲われる。通学電車での下痢は文字通り毎日のことで、我慢できず途中下車するのも日常茶飯事。途中の駅のトイレの場所を全て覚えているほどである。授業中や試験中も、電車の中ほどではないが下痢になることがある。あまりに下痢がひどいため中学1年の時に病院を受診し過敏性腸症候群の診断を受けたが、食生活の改善や投薬でも治らず、恥ずかしくて誰にも相談できず一人で悩み続けている。本当は信頼できる人に悩みを聞いてほしいと思っている。
毎日のように下痢と限界までの我慢を繰り返しているため、「我慢するのは得意」と言うほどに我慢慣れしてしまっている。そのため、便意の高まり方と肛門にかかる圧力の具合から、あと何分我慢できるかを1分単位で正確に予測できるという嬉しくない特技を身につけてしまっている。普段はこのおかげで先んじて途中下車してトイレに向かったり、授業中に早めに手を挙げてトイレに行ったりすることができるが、アクシデントで電車が止まったりすると、我慢できないとわかっていながら絶望的な我慢を続けるしかなく、力尽きてお漏らしに至ることも多い。電車の中で立った状態で我慢することが多いため、立ったまま片足をわずかに引いて後ろに体を反らすような姿勢でお尻を締めて肛門が膨らむのを防ぎ我慢する姿勢をとることが多い。ただしお腹の痛みがひどく前かがみになってしまうこともあり、そうすると我慢しにくくなって漏らしてしまうこともある。
排便の量は毎回かなり多く下痢便が和式便器一面に広がるほど。その日の体調によって便がゆるくなることがあり、黄色っぽい液状便や水状便になってしまうこともある。ただいずれの場合でも臭いはかなり強烈である。脂っこいものなど消化の悪いものを食べると頻繁にトイレに駆け込んで水状便を出しまくるほどの猛烈な下痢になってしまい、翌日まで具合が悪い状態が続く。
当日の排泄回数(本編開始前)
1回目 06:16:22-06:22:16 5m54s 起床時 自宅1Fトイレ(洋式) 下痢便 521g
2回目 06:55:10-06:58:42 3m32s 通学中 西府中駅改札内女子トイレ(和式) 液状便 210g
サブキャラクター設定
館山愛里 (たてやま あいり)
「あっそうだ、今度またカラオケ行こうよ」
15歳 晶英学園高等部1年5組
身長:154.3cm 体重:47.2kg 3サイズ:82-55-85 髪型:茶髪ボブ
ぴーぴー属性:冷え冷え(重度) 長時間排泄
晶英学園中等部ではるかの友人だった少女。社交的な性格で友人関係も広い。歌が好きでよく友達を誘ってカラオケに行く。ただ、はるかとは何でも話せる親友というほど親しいわけではなく、過敏性腸症候群のことも話しておらず学校を映る理由も話していなかった。
お腹を冷やすと下痢をして長時間トイレにこもる傾向があり、カラオケで冷たい飲み物を飲みすぎてトイレをずっと専有してしまいはるかを慌てさせたことがある。
北野結希 (きたの ゆき)
「はぁっ、はぁっ…………あっ……弱冷車じゃなかった…………どうしよう、またお腹冷えちゃう…………」
15歳 明翠学園高等部1年3組
身長:144.2cm 体重:38.6kg 3サイズ:70-51-72 髪型:黒髪横結び
ぴーぴー属性:液状便(-85) 大量排泄 冷え冷え(重度) 神経性下痢(重度) おもらし体質(軽度) 腹痛悪化 不運(すべて) 不幸中の幸い
芸術科目に力を入れる私立高校の明翠学園に通う高校1年生。本格的にピアノを習っており、有名な先生に指導を受けるために毎週土曜日に都内まで電車で通っている。小学生時代にピアノの発表会の演奏中に下痢が我慢できなくなりトイレに駆け込もうとして楽屋の廊下で漏らしてしまい、そのことを意地悪な同級生に言いふらされたことで一時は学校に通えなくなったが、中学から私立の明翠学園に入り大坪七海らの友人にも恵まれたことで楽しく学校生活を送っている。
年齢に比べて小柄で幼げな体型。髪は横結びでピンクのゴムで止めている。胸はようやくわずかな膨らみが見え始めたくらいで同級生に比べるとまだまだ小さい。服装は清潔感のある整った服装を好み、制服でも白の靴下を身につけている。冬場は本当はタイツを穿いて寒さに備えたいのだが、以前通学路で漏らしてタイツをぐちゃぐちゃにしてしまった下半身の感触がトラウマになって穿くことができず、寒さを我慢しながら通学している。少しでもお腹を冷やさないようにパンツは子供用の厚手のものを愛用している。
小学生時代から飛び抜けた実力であったピアノは指導者にも恵まれてさらに上達しており、プロのピアニストを目指せるとの評価を受けている。ただ、相変わらず緊張に弱く、以前漏らしてしまった記憶がフラッシュバックすることもあり、発表会では毎回ひどい下痢と戦いながらの演奏になりまだその実力を出し切れていない。
お腹の弱さは相変わらずで、お腹を冷やすと激しい腹痛を伴うひどい下痢になってしまう。電車通学になったため車内の冷房でお腹を冷やしてしまうことも多い。弱冷車を選んで乗っているが、直前までトイレに入っていて慌てて普通の車両に飛び乗ってしまうこともある。休日はピアノのレッスンに都内に行くため長時間の乗車となり、途中でトイレに駆け込むことも少なくない。運の悪さも変わっておらず、トイレに行きたい時に限って電車が緊急停車してしまったりせっかく途中下車したのにトイレが大混雑していたりすることも多い。
雪ヶ谷 みゆり (ゆきがや みゆり)
「……あ、あの……汚しちゃってごめんなさい、すぐ片付けますっ…………」
13歳 明翠学園中等部2年1組
身長:135.6cm 体重:32.2kg 3サイズ:62-46-66 髪型:黒髪おかっぱ
ぴーぴー属性:水状便(-100) 超大量排泄 神経性下痢(重度) 食あたり(重度) 脱ぎかけ排泄 我慢強い 腹音 下痢風船
武家の格式を持つ名家の娘。平均よりも小柄で、髪をおかっぱに切りそろえた日本人形のような外見。口数の少ないおとなしい性格。幼少期には琴や三味線などの和楽器を習っていたが、小学生になってからピアノに興味を持って習うようになった。ピアノの上手な結希に憧れており、同じ中学に入ってからはピアノ教室も同じになり仲良くしている。
もともとお腹が弱く毎日水状の便を出している上に、緊張すると大幅に下痢が悪化してお腹がぎゅるぎゅると大きな音を立ててしまう。我慢強いため漏らすことは少ないが、限界まで我慢してトイレに駆け込むためしゃがむ途中で出てしまい大量の水状便で個室中を汚してしまうことが多い。大量の水状便を出した後に肛門で水便が風船のように膨らんで弾けることを何度も繰り返す。胃腸が繊細で食あたりしやすく、生の食べ物を食べると何度も大量の水便を排泄して苦しむことになる。中学から電車通学になり、最寄り駅のトイレが利用客が多く混みやすいため隣の駅まで1駅乗ってトイレに駆け込むこともある。
あとがき
ぴーぴーMateシリーズ新作……ですが中途半端なところで「次回に続く」ですみません。
「雪色の音符」で長すぎという意見も多かったことも踏まえ、大きく3パートに分かれる本作は試験的に分割掲載ということにしてみました。1話目は大変申し訳ないのですがほとんどが我慢シーンだけで排泄までたどり着いておらず、キャラ紹介編ということでご容赦いただければと思います。おまけに、意外な人気を博した悪役少女真琳ちゃんを書くという宣言もあっさり反故にしてしまいました。これは、それ以上に魅力的なキャラクターができたということでもありますのでお許しいただければと思います。
今回のヒロイン、宮城はるかちゃんは、とある方から提供いただいた実話に基づいており、実在の女性の設定をほぼ再現しているのが最大の特徴です。ぴーぴー設定もメインヒロイン級の結希ちゃんと互角以上の性能を持っていますが、これらも全て実際のエピソードから抽出したものです。今回の電車での下痢の原因である「過敏性腸症候群」も実際にそう診断されていたということです。
また、限界まで我慢する時に後ろに反った状態になる、という話もうかがい、これだけお腹が弱くて我慢慣れしている子がお尻を押さえるのではなくそういった姿勢を取るからには理由があるはずだと考えて、「後ろ反り我慢」という電車内での下痢に有効な我慢姿勢を導き出すことができました。別途ぴーぴー小説講座で解説した通り、キャラクターの設定や我慢シチュエーションによってはおしりを押さえさせてはいけないということになりぴーぴー小説の教科書を書き換えるほどの大発見だと思っております。ぜひ流行って欲しいなあと思います
あとはユニークスキルとも言える「限界予測」も、我慢の限界を高精度で予測できるという単純な効果でありながら、これを持っているだけで我慢とおもらしを繰り返してきた経歴が伝わる上に、何かアクシデントが起こると絶対に間に合わないことがわかってしまうという悲劇性も非常に魅力的です。新たなぴーぴー属性発明の契機になったはるかちゃんのモデルの女性には心より感謝しております。
身長も平均より高く髪もロングで染めてるということでちっちゃいおかっぱちゃんばかりのうちの傾向からは外れているのですが、彼女の魅力を可能な限り再現しようということでほぼそのまま設定させていただきました。
ぴーぴーMateシリーズ第2弾として、はるかちゃんの立ち絵もウニ体さんに描いていただきました。茶色に染めた髪に着崩した制服でありながら、優しげな顔つきの通り根は真面目で優しいというはるかちゃんの魅力をしっかり描いていただきました。この後どうなるかが気になりますね。
我慢シーンだけでは苦情が来そうなので、ゲストキャラとして「雪色の音符」のサブキャラの雪ヶ谷みゆりちゃんにぴーぴーしていただきました。超大量排泄属性があるので音だけでもかなり楽しめるキャラクターになっています。当然時間もかかるし毎回派手に汚しちゃって掃除しなきゃいけないのでトイレ争奪戦アシスト性能も高いのが嬉しいです。まだまだ出し切れてなさそうなのでこの後もお楽しみに。
はるかちゃんのお腹の下り具合がせっかく佳境なのですが、次回Part2は回想シーンということで別のシチュエーションでの排泄シーンをしっかり描きたいと思います。我慢に慣れているはるかちゃんにはPart3になるまでしばらくそのまま耐えてもらおうと思います……。
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