ぴーぴーMate Episode.3 二つの星が出逢う時

(ここが……結城くんの通ってる学校…………)
 綾瀬水紗は、肩の前に下ろした二房の黒髪を揺らしながら灰色の大きな校舎を見上げて歩いていた。5月中旬。街路樹が青々と色づき、身にまとう紺色の冬服は少し暑いほどに感じられる。
 星雅女子学院中等部の、白いブラウスを包む紺色の制服。洋品店のカタログではブレザーと書かれていたが、襟周りの丸い形はブレザーのスタイリッシュな印象よりはどこかあどけない雰囲気を漂わせている。胸周りが少しでも膨らんでいれば女の子らしく見えるのだろうが、水紗の上半身はほとんど平坦なままで左右6個のボタンはきれいに上下左右対称になっていた。長袖の制服の袖から手首は見えず指の付け根がのぞいている。「今はぶかぶかでも成長すればぴったりになる」と言われ続けてきたが、1年経ったころからそれすら言われなくなり、最上級生になっても制服は小さくなるどころか水紗の体をゆったりと包み続けている。

「もうすぐね。ちょっと早かったかな?」
 水紗の隣には、10cmほど高い身長の少女、中川優佳がいた。優佳が別に長身というわけではなく標準的な身長で、水紗が中学3年生という年齢の割にかなり小柄だという方が正しい。彼女の身長は142cm。小学5年生の平均程度でしかない。
「う、ううん、これくらいでいいと思うよ。小林くんと結城くん、待たせちゃったら悪いし……」
「みーちゃん大丈夫? 緊張してない?」
「えっ……? うん……ちょ、ちょっと緊張するかも……優佳さんは大丈夫?」
「私は何度か来たことあるから」
 切り揃えられた前髪と首の後ろで無造作に結んだ後ろ髪を風に揺らしながら、落ち着き払って歩く優佳。歩幅の小ささを補うように小動物のようにとことこと歩く水紗は、わずかに前を行くその姿を頼もしく思っていた。星雅女子学院中等部の生徒会長。それに相応しい優秀な成績と大人びた振る舞いに、水紗は憧れすら抱いている。
「それに、今日はどっちかと言うと楽しみだから」
「楽しみ……?」
「うん。みーちゃんがいつも話してる結城君ってどんな人なのかなーって」
「えっ…………みーちゃん、そんなにいつもは話してないと思うけど……」
「ふぅん、結構よく聞いてる気がするけど。……じゃあ、みーちゃん的には、もっと彼のこと話したいってことなのかな」
「え……ち、ちがうよ、そんなのじゃなくて……!」
 これから行う交流行事の打ち合わせで、相手の担当者となる男子生徒の名前。その男子生徒は水紗と小学校で同級生だった。客観的な関係はそれだけ。水紗が心の内に抱く想いは誰にも話したことがなかった。1年生の頃からの親友である優佳にも。
「ごめん、冗談だよ。行こ、みーちゃん」
「う、うん。…………」
(天川中学校…………結城くんが、待ってる…………)
 水紗は始めて足を踏み入れる場所を前に心臓の鼓動が早まるのを感じた。膨らみのほとんどない胸にそっと手を当てた後、顔を上げて数歩先を行く優佳に追いつこうと足を動かした。

 天川中学校。戦前から続く名門男子校であるこの校舎は、水紗と優佳の通う星雅女子学院からほど近い距離にあるが、3年間足を踏み入れることがないほど遠い場所であった。
 まるで織姫と彦星を隔てる天の川のように、山手線の線路が二つの学校の間を隔てている。


「お出迎えいただいてありがとう。星雅女子学院中等部3年の、中川優佳です。中等部の生徒会長をやってます。はじめまして」
「あのっ、同じく中等部3年の、綾瀬水紗です……今回、七夕交歓会の星女側の実行委員長になりました。よ、よろしくお願いしますっ」
 来客用玄関で出迎えを受けた二人はお辞儀をして自己紹介をする。出迎えたのは、黒い詰め襟の制服に身を包んだ二人の男子生徒。身長の低い水紗が見上げた高さに、茶色がかった髪の男子の眼鏡をかけた瞳。それよりもう少し視線を上げると、見覚えのある顔が目に入ってくる。
(結城くん、また背が高くなったんだ。……みーちゃんは、全然だけど……)
 小学生の時は水紗の頭が彼の鼻の高さだった。今では肩に届くかどうか。見かけるたびに水紗が見上げる角度が大きくなっていく。思春期の男女の身長差を考えれば自然な変化かもしれないが、水紗は子供っぽいままの自分の体つきをつい意識してしまうのだった。
「……いやいや、こちらこそ来ていただいてありがとう。天川中学校3年、生徒会長の小林将樹です。……って、中川さんにはいつもお世話になってるけど」
 背の低い――といっても平均的な身長の少年が自己紹介する。名門男子校の生徒会長という肩書ながら、バンカラな雰囲気はまったくなく親しみやすい印象を受ける。
「そうね。初対面なのは私と……」
「ああ、おれか……はじめまして。天川中3年、天川側の七夕実行委員長の結城輝です」
「………………」
「そっか、きみが結城輝君…………なるほどね」
「…………星女の、中川さん……か」
 優佳と長身の少年――結城輝が顔を合わせる。真剣な表情でお互いの姿を見つめあう二人。
「あれ、中川さん結城のこと知ってるの?」
「もちろん知ってるわ、天川中不動の学年一位なんだから。……それと、みーちゃんからもいつも聞いてたし、ね?」
「あっ…………え、えっと…………」
 横目に輝の顔を見ていたところ突然話を振られて、水紗は慌てて視線を戻した。
「え……結城のこと、綾瀬さんから? もしかして結城と知り合い?」
「え、えっと、はいっ……小学校が同じで……その、えっと」
「……綾瀬の言う通り、同じ小学校だったんだ。3年から6年まではクラスも一緒だった」
 水紗が言葉に詰まりながら説明を始め、輝が補足説明をする。
「……なんだ、めっちゃ知り合いだったんじゃないか。それなら早く言えよまったく」
「結城君ってどんな人なのって聞いたら、すごく頭が良くて何でも知ってるって……。だから、前から一度会ってみたかったの」
 そう言って優佳はもう一度輝の顔に視線を戻す。見上げる角度だが、口元に軽く握った手を当てる優佳の仕草は、見下ろされるのではなく同じ視線で向き合っているように見えた。
「そっか。結城も中川さんのことは知ってるよな?」
「……ああ、やっぱり星女のトップと言えば気になるから」

「なんだ、じゃあみんな知り合いみたいなもんだったのか。じゃあ堅苦しいことなしでフレンドリーに行こうよ」
 将樹が両手を広げて声をかける。優佳は苦笑しながら頷いた。まだ緊張している水紗を前に輝が口を開く。
「将樹は綾瀬と初対面じゃないか」
「おっとそうだった。じゃあ俺と綾瀬さんは二人でゆっくりお話でも……」
「え、ええっ…………!?」
「ちょっと小林君、みーちゃんそういうの慣れてないからからかわないで」
「あっごめんごめん、綾瀬さんのことは中川さんから聞いて知ってるよ。軽いジョークのつもりだったんだけど……ごめん、大丈夫?」
 怯えたように見える水紗を目にして慌てて取り繕う将樹。その心配そうな顔を前に、真っ赤になった顔で水紗が答える。
「え、あっ……だ、大丈夫。みーちゃんその……すぐ緊張しちゃって……」
「よかった。まあ、リラックスして行こうよ。…………あれ、綾瀬さんって自分でもみーちゃんって言うんだ」
「え、ああっ……」
 水紗は一瞬だけ言葉を詰まらせ、赤かった顔をさらに赤くした。
「…………ご、ごめんなさい、みーちゃん、じゃなかったわたし、みんなにみーちゃんって呼ばれてたから自分でもそう言うようになっちゃって…………その、ごめんなさい、子供っぽくて……」
 慌てて言い訳をする水紗。自分のことを愛称の「みーちゃん」と呼ぶのは水紗の物心ついた時からの習慣だった。最初は親や幼稚園の友達が呼ぶ愛称を自然に使っていた。小学生の高学年になると一人称を自分の名前で呼ぶ子も少なくなり、水紗も変えたほうがいいかなと思っていたが、結局変えることはなかった。可愛い子ぶっているわけではないが、水紗は周囲から「可愛いみんなのマスコット」のように思われていることを感じていて、そのイメージを崩さないために、子供っぽい一人称を使い続けることでみんなからの期待に応えようとしてしまっていた。
「いやいやいや、そんなことないって。可愛くって似合ってるんじゃない? なあ結城」
「私もずっと一緒だから、みーちゃんはみーちゃんって感じだけど。結城君はどう思う?」
 しゅんとした水紗をフォローした将樹と優佳は、ほぼ同時に輝の方を見た。
「どう思うって……。綾瀬は小学生の時からそう言ってたから、全然違和感ないけど」
「うぅ……結城くん、その…………もう中学3年なのに子供っぽいとか、思ってない……?」
 俯いたままの水紗は自信をなくしたように輝に声をかけた。中学に入っても皆からの視線も水紗の意識も変わらず、習慣的に「みーちゃん」と呼ぶのが当然になっていたが、中学3年生になって他校の男子生徒の前でも思わずそう言ってしまい、あまりに子供っぽかったのではと意識してしまっていた。
「別にそんなことないだろ。綾瀬らしくていいんじゃないか?」
「…………あ、ありがと……」
「ふぅん。みーちゃんのこと、よく知ってるのね」
「……………………」
 水紗は慌てていた心を落ち着かせた。輝に嫌がられなかったことで安心することができた。可愛いと言ってもらえたらと期待しなかったと言えば嘘になるが、たぶんそんな事は言ってくれないだろうな、とも思っていた。
 輝は小学校の時から大人びた雰囲気で、騒いでいる男子からは少し浮いている様子だった。とはいえ女子とも話すわけではなく、いつも真面目に本を読んでいる印象だった。そんな彼を、水紗はいつから好きになっていたのかわからない。一目惚れというわけではなかったが、数少ない会話といくつかのささやかな思い出を積み重ねるうちに、少しずつ思いを募らせていった。クラスの誰々が好きとか言う話にも加わらない彼の姿を目にして、その気持ちが片思いであると気づいてはいたが、それでもその気持ちを抑えることはできなかった。中学で男子校と女子校に別れることになっても、電車通学の駅で時々言葉を交わし、それができないときでも遠目にその姿を見るだけで今日もがんばろうと思うことができた。
 まだ誰にも話したことはないが、水紗にとって輝は誰よりも大切な存在だった。

「さて、じゃあ緊張もほぐれたところで始めますか」
 4人は生徒会室の横にある会議室に移動した。
 今日の打ち合わせの目的は「七夕交歓会」と呼ばれる両校の交流行事の準備である。星に関わる名前を持つ伝統ある男子校と女子校である天川中学校・高等学校と、星雅女子学院の間では毎年7月に両校の生徒が顔を合わせるイベントが行われていた。「集団お見合い」と揶揄する声も少なくないが、1年間このイベントだけを楽しみにして頑張っている生徒も少なくなかった。

「――以上が、これまでの経緯と今年のスケジュール感。って言ってもあと2ヶ月だから結構急がないといけないけど。それで…………あ、まずい、もう時間だ」
 流れるように説明していた将樹が鞄を持って突然立ち上がる。
「時間? 小林君何か別の会議でもあるの?」
「いやあ、本当に悪いんだけど、地歴の追々試食らっちゃって……1回で抜けられると思ったんだけどなあ……大丈夫、実務は結城に丸投……もとい一任してあるから俺はいてもいなくても変わらないし」
「追々試……追試じゃなくて……?」
「そっか、星女は追試とかないんだっけ。うちらは受かるまで何度でも試験なんだよ……ごめん30分くらいで戻ってくるから。じゃあ結城、あと頼むっ」
「ああ。資料とか一通り説明しとくよ」
 将樹は3人を残して会議室を出ていった。

「…………中学から追試があるなんて、天川って大変なのね」
 優佳は頬杖をついて苦笑した。
「……まあ、厳しいって言えば厳しいけど。これで底上げされてる面もあるから。高校になるといつも平均点で星女に負けてるらしいから、先生も必死らしいんだ」
「……結城君は、大丈夫なの?」
「ああ、まあ」
「……結城くん、追試受けたって聞いたことないから……いままで、1回もないんだよね?」
 水紗は微笑んで輝に問いかけた。数えるほどの機会だが、通学時の駅などで会って話した時の話題にも、追試などということは出てこなかった。
「いや、去年英検の勉強ばっかりしてたら数学で50点切っちゃって見事に追試食らったよ」
「ご、50点って……結城くんが?」
「ちょっと問題集のやり込みが甘くて、難しい問題に歯が立たなかったな。数学の追試は朝0時限目だから5時起きさ」
「そ、そうだったの………」
 水紗は頭を掻いている輝の表情を見て口元に手を当てた。そういえば、去年いつもの電車の時間に、どんなに探しても輝の姿が見当たらなかったことがある。それがその時だったのかもしれない。
「ふぅん、本当に大変なんだ。私達星女でよかったね、みーちゃん」
「う、うん…………」
 こくこくと首を縦に振る水紗。
「……数学だから、綾瀬なら楽勝だったと思うんだけど」
「そ、そんなことないよ…………みーちゃん、試験の成績そんなによくないし……」
 輝に話を投げられ、今度は首を横に振る。小学校の時に算数が得意だったことを、輝は覚えていてくれている。でも、計算は速いけど、式の証明や図形がそんなに得意なわけではない。
「そんなに謙遜することないでしょみーちゃん。今でも十分上位にいるんだし、ちゃんと実力を出せたら私より上に行けると思うんだけど」
「ゆ、優佳さんより上なんて無理だよ……そんなこと考えたらよけい緊張しちゃう……」
 水紗は少し落ち込みながら答えた。得意な科目の数学でも、試験となるとどうしても緊張してしまい、実力を出しきれずに終わってしまうことがほとんどだった。緊張すること自体も苦しいが、それだけでなく――。
「でも結城君、追試ってその1回だけなんでしょ? 地理歴史は特に厳しいって聞いたけど」
「ああ、確かに70点取らないといけないけど、得意科目だから絶対大丈夫」
「……すごい自信なのね」
 優佳が嘆息する。
「あの、結城くん6年生の頃からすごく歴史の本とか読んでて。たぶん先生の代わりに授業とかできちゃうんじゃないかなって」
「……冗談で代わりにやれって言われたことはあるけど。でも興味ないとこはあんまり知らないから」
「ふぅん。どのへんの時代の話が好きなの?」
 少し身を乗り出した優佳。輝は1秒未満の時間考えて答えを返した。
「ああ…………戦国時代から入って三国志とか……それと最近は幕末もかな」
「そっか、みーちゃんや結城くんって西調布よね。近藤勇の出身地でしょ」
「あぁ……中川さんって新選組好きなの?」
「小説を読んだくらいだけどね。ちょっと変則的だけど壬生義士伝から入って燃えよ剣読んで、それからその他諸々って感じ」
「おれは割とオーソドックスに図書室にあった司馬遼太郎全集読んでから他に行った感じかな」
「えっ、全集あるの? 見たい。図書室見学させてよ」
「……………………」
(……うぅ、話に入れない…………)
 水紗は畳み掛けるように進む二人の会話を聞きながら両者の顔を交互に見つめていた。水紗がいつも優佳と話す時はこれほど早くしゃべってはいなかった。小学校の時に輝と話した時も、こんなに饒舌に話していたことはなかった。
(すごく、楽しそう……)
 二人の知識量と頭の回転の速さについていけない。その事実が、今まで水紗と話す時はそのレベルに合わせて気を遣っていてくれたのだと気づかせてしまう。
  ギュル…………
「…………っ!!」
 水紗はお腹の奥にかすかな違和感を感じ、左手をお腹に当てた。
(…………だ、大丈夫、ちゃんと学校出る前にトイレに行ってきたんだから…………まだ、しばらくは大丈夫……)
「あっ、ごめんなさい話し込んじゃって。……そうだ、私よりみーちゃんの方が、結城くんといろいろ話したいんじゃない?」
「え、えっ? そ、そんな別に……その、あっ話したくないってわけじゃなくて…………えっと……」
 水紗は急に話を振られてまた慌ててしまった。話したいと思っていてもいざ話そうとするとうまくいかない。
「みーちゃんほら、この前みんなで行った遊園地の話とか」
「え…………あ、で、でも…………」
「そっか、女子はみんなで遊園地とか行くのか」
「3学期の期末が終わった打ち上げにね。私はコーヒーカップが好きなんだけど。みーちゃんは何が一番楽しかった?」
「え、えっと…………みーちゃんはやっぱり、観覧車が…………」
 水紗は小さい頃から好きな乗り物の名前を挙げた。ゆっくりと動き、遠くの景色が見渡せる観覧車。
「コーヒーカップに観覧車か…………もう何年も遊園地なんて行ってないな。小学校の遠足が最後かも」
「え、それって3年生の……? あれっきりなの?」
「……ああ。特に行きたいわけでもないし、連れて行かれもしなかったし、まあ…………」
「3年生って、二人同じクラスだったんじゃない?」
「う、うん……」
「そうだな。最初の席替えの後だったから、綾瀬と同じ班だったはず」
 水紗は輝が覚えていてくれたことを嬉しく思った。でも、それは水紗と一緒だったから覚えていてくれたのではなく、単に輝の記憶力が良いだけだということもわかっている。たぶん1年生の最初の席替えのことも覚えているだろう。
「じゃあ、観覧車も一緒に乗ったの?」
「ああ、班のみんなで。おれと綾瀬と、あと石田と大坪と……大坪が遠く見ようとして立った時にめちゃくちゃ揺れてて、あれ結構怖かったよな」
「う、うん。みーちゃんもう泣きそうで……でも、結城くんすごく落ち着いてて、全然怖くなさそうだったけど……本当は怖かったの?」
「実は結構…………まあ、おれまで怖がったらみんなパニックになるだろって思って平気な顔してたけど」
「そ、そうだったんだ……ありがとう、結城くんが落ち着いててくれたからみーちゃんや七海ちゃんも安心できたんだよ」
 水紗は脳裏に焼き付いた光景を思い出しながら微笑んだ。あの時、大きく揺れるゴンドラの中でバランスを崩して慌てていた同級生の大坪七海と、座ったまま固まって震えていた自分。あの時、輝が「大丈夫、少しずつ揺れなくなってきてるからそのまま動かないで」と落ち着いた声で言ってくれなかったら、きっと泣き出していただろう。
「……ふぅん、みーちゃんが観覧車大好きなのはそういうことだったんだ」
「えっ、ち、ちがっ、じゃなくて、観覧車は大好きだけど、そういうことじゃなく、て…………っ!!」
  ゴロロピィーーグルギュルーーッ!! グギュルルッ!
  ゴログルルルルルルギュルグギュルーーッ!!
(だ、だめっ、お腹が…………お願い治まってっ…………!!)
 緊張でどきどきした心拍が腸の運動を強烈に刺激する。水紗のお腹の中の違和感が、はっきりと下痢の濁流として下腹部に襲いかかろうとしていた。
 緊張するとお腹を壊してしまう。勉強が得意なはずの水紗がいつも試験でいい成績が出せない原因がこれだった。学校の試験では50分の試験時間が始まるとまもなくお腹が急降下し、必死に我慢しながらパニックになりそうな頭で問題を解き、しかし最後まで我慢できずトイレに駆け込み、書きかけの解答用紙だけを残してトイレの中で終了時間を迎える、というのが水紗のいつもの試験結果だった。

「結城くんも結構楽しかったんでしょ。また、みーちゃんと一緒に行ってあげたら?」
「え? 綾瀬と…………?」
「えええっ、優佳さんそれは……ぁ……っ!!」
  ギュルルルピーゴロギュルグウーーッ!! グルルッ!
  グギュルルルルルルゴロピィーーーッ!! グピーピィィィィピィィィィギュルッ!!
(お腹痛い……これじゃ……このままじゃ、だめ……!!)
 そして、緊張するのは試験だけに限らない。水紗にとっては残酷なことに、好きな人と話すどきどきする瞬間も強い緊張となり、激しい下痢の引き金となってしまう。
 小学生の時から想い続けている結城輝と数分間だけ話した幸せな時間が終わりを告げ、下痢の苦しみと恥ずかしさに苛まれる時間が始まっていた。

「あああ、あの、ちょ、ちょっと脱線しすぎ……じゃないかな……。そ、そろそろ準備の話しないとっ……!」
 水紗は慌てて話題を転換した。本当はもう少し思い出の話をしていたかったが、そうするとどきどきが止まらず、お腹が一層痛くなり便意がどんどん高まり続けてしまいそうだった。水紗は心の奥で泣きそうになりながら思い出話を打ち切った。
「あっ…………そうね、ごめんなさい。じゃあ結城君、資料の説明お願いできる?」
「ああ。こっちこそごめん。綾瀬は相変わらず真面目なんだな。……じゃあ資料1ページ目から説明するよ。まずは…………」

 輝がプロジェクタで投影するスライドを切り替えながら説明していく。全体計画、教室配置、運営スタッフの必要数などスライドに詰め込まれた内容を流れるように解説していく。1枚1分もかけずに説明していくが、わかりにくいことはなく必要な情報はすべて伝わってくる。水紗の隣りにいる優佳はうなずきながらその説明を聞いていた。
 しかし、水紗はその説明を理解しきれていなかった。
  グピーーーギュルルルルルルルルルギュルルルルルルルルグピィーーッ!! ピィーッ!
  グピィィィゴロロロロロロッ! ゴロログルグルルルゴログピィーーーーーッ!!
  グギュゥゥゥゥゴログギュルーーーーーーーッ!!
(ど、どうしよう、完全にお腹こわしちゃってる…………)
 お腹の痛みが増幅されて便意に転換され、水紗の小さなお尻の中央部をこじ開けようとしている。10分くらい前までは何もなかったのに、お尻をしっかり締め付けておかなければ漏れてしまうほどの圧力。
(トイレ行きたいよ…………でも……今は絶対だめ、せっかく結城くんが説明してくれてるんだから……)
 輝の説明を遮ってトイレに行かせてもらうなどしたくないし、したくてもできない。とはいえ、輝の説明に集中したくても、ゴロゴロと音を立てて駆け下るお腹の痛みがそれを許してくれない。資料に視線を合わせてはいるが焦点が合わなくなってきている。

「…………あっ…………あぁ…………」
  ゴロッピーーゴロゴログギュルルルルルルッ!! グギュルッ!
  ゴロロピィギュルルピーーーーーーーーーゴロロロロロロロロギュルーーーーーッ!!
  ゴロゴロロロギュルグルルルッ! ゴロロロロロッ!!
 左腕を押し付けるようにお腹を押さえる。それでもお腹の痛みを宥めるには不十分で、右手もお腹に押し付けたいが、そうしたら上体を支えきれなくなり机の上に突っ伏してしまいそうだった。そんなことになったら輝にお腹を壊していることを気づかれてしまうかもしれない。
(ゆ、優佳さんに話したら、助けてもらえるかな…………ちょっと休憩にしてもらうとか…………)
 水紗は救いを求めるように視線を横に送った。しかしその視線が優佳と合うことはなく、優佳はスクリーンに表示される資料を凝視していた。小刻みに視線が動き、文字と数字を確認し続けている。その真剣な視線を、水紗の恥ずかしい事情で遮ることは憚られた。
(…………だ、大丈夫。説明が終わるまでなら我慢できるから……。そうしたら、トイレに…………!!)
 水紗も顔を上げて画面を見る。しかし、優佳の視線の動きとは異なり、水紗はその内容を見ることはできていなかった。唇を噛み締め、画面の一点に視線を合わせたままかすかに震えている。焦点は画面より遠くに合っていて、内容がほとんど頭に入ってこない。
(がまん…………我慢しなくちゃ…………!!)
 水紗は青ざめた顔の頬だけを紅潮させ、遠く一点を見つめて全神経をお尻に集中させ続けた。


「……と、今まで準備できているのはこんなところかな。もうちょっと進めておこうと思ったんだけど」
 10枚のスライドを5分かからずに説明し終えた輝はPCのマウスを離した。
「いいえ、十分すぎるくらいよ。ここまでできてるなら、準備も十分間に合うと思う……小林君が丸投げしたくなる気持ち、わかる気がするわ。ね、みーちゃん?」
「……あ、そ、そうだね………………」
  ゴロギュリリグルグピィーーッ!! ギュルグルルギュルルルグギュルーーーッ!!
  グピィギュルギュルルルギュルギュルーーーッ!! グピィィィィィィィピィィィィギュリリッ!! ギュルーーッ!
 左手でお腹を押さえながら、必死に体を起こした水紗。途端に激しい痛みと便意が襲ってくる。
(どうしよう、トイレ、もう我慢できない…………トイレ行きたいって、言わなきゃ…………でも…………でもっ…………)
 水紗はお腹を押さえたまま汗を浮かべて硬直していた。トイレに立たなければもうすぐ漏らしてしまう。でも、そのためにはトイレに行きたいと言わなければいけない。輝の前でそれを言い出すことがどうしても恥ずかしくてできない。何度も口の中まで上がってきた言葉を水紗は飲み込み続けていた。
「あとは、アンケートの結果を見ると……部活発表は好評だけど、クロス集計すると……これ、出てない人からすると部活発表がある奴らだけ目立ってるように見えるらしい。何か変えるとしたらここだけど、今ひとついい案が出てこなくて」
 輝はスライドのページを戻して昨年度のアンケート結果を表示し、その画面を見ながら説明している。正面に座っている水紗の青ざめた表情は見ておらず、その窮状にも気づいていなかった。
「確かに、この属性だけ楽しかった割合が低いのは何とかしたいところね。そうだ、みーちゃんにいろいろ新しい企画の案を考えてもらってたんだけど、どう?」
「う、うぅ…………っ………」
  グピーゴロピーーグギュルーッ! ピィーーゴロロピィーーッ! ゴロギュルグギュルルッ!
  グピィィィゴロギュリリリリリリッ!! グピィゴログウーッ!
  ゴロギュリリリリリギュルルルルルルルルッ!! ピィーーーーーッ!!
(もうだめ……このままじゃでちゃう…………!! 押さえなきゃ……!!)
 熱くなった肛門が膨らみ始める感覚。直腸に押し寄せているのは水状の下痢便で、わずかな隙間からでも漏れ出してしまう。これを我慢するには外からお尻の穴を押さえつけるしかない。でも、手をお尻の下に差し込んだりしたら下痢を我慢していることを気づかれてしまう。
「あの、一つ前のスライド、もう一回見せてっ……!!」
「え? ああ、はいこれ」
 水紗はスライドを操作してもらうことで輝と優佳の視線を画面に移させた。次の瞬間、誰にも見られないところで水紗は制服の袖からのぞく指先を後ろからお尻に当て、強く押し込んだ。
(だ、大丈夫、これならまだがまんできる……これを乗り切ったら、トイレに……!!)
  ゴロッグルルルギュルゴロッ!! ピィーギュルゴロロッ!!
  ゴロロロロロロロロロギュルルルルギュリリリリリリリリリリリリピィィィィィィィィィィィィィグウーーッ!! ゴロッ!!
  ギュルルルルルルルゴロロロロロロピィィィィィギュルーーーーーーーッ!! グギュルギュルルルルギュルルルッ!!
  グピーーーーーーーーーーゴログピィーーーーーーーッ!! グピーーーーーゴロピィィィピィーーーーグウーーーーーッ!!
 気が遠くなりそうな腹痛と便意を、左手でなだめ右手で押し返しながら必死に耐える水紗。なかなか波が引かず、10秒近くも水紗は目をぎゅっと閉じて耐えていた。
「綾瀬?……もしかして、集計の計算違ってたか?」
「あ…………ご、ごめんね、違うかもって思ったけど大丈夫だった……っ…………」
  グキュゥゥゥゥゥゥ…………ゴロロロ………ゴロッ…………
 急におしりの圧力が弱まった。肛門を押し開くことができなかった水下痢が腸の奥へ押し返される嫌な感覚。しかし、それは水紗が一時的にとは言え便意に打ち勝った証であった。
(うぅ………嘘ついちゃってごめんなさい…………でも言わなきゃ……トイレ、トイレっ…………!!)
 もう一刻の猶予もない。静かにお尻から手を離し、顔を上げる。

「あのごめんなさい、みーちゃん、ちょっと…………トイレに……!!」
 水紗は顔を真っ赤にしながら席を立ち、トイレに行くと言い残して会議室を飛び出そうとした。
「あっ……みーちゃん、ちょっと待って! ここ天川中だから、生徒用の女子トイレないかも……」
「え…………あっ…………!!」
 水紗は今度は顔を青くして振り返った。ここは男子校の天川中学校。女子生徒がいないのだから生徒用の女子トイレはない。すぐ近くにトイレがあると思っていて、そこに駆け込めばなんとかなると思っていたのだ。
「えっと……結城君、職員用の女子トイレとかあるでしょ? 案内してもらえる?」
「あ、ああ。職員室の近くにあったはず……管理棟に入ってすぐだから、そこまで連れて行くよ」
「お願い。みーちゃん、大丈夫? ごめんね、我慢してたの気づかなくて……」
「あ、だ、大丈夫……だよ…………優佳さん、ありがと…………」
「いいから早く行ってきて。私はここで待ってるから」
「綾瀬、じゃあ行こう、こっちだ」
「う、うん…………ありがと…………っ!!」
  グピィィピィィィィィギュルグピィーーーーッ!!
  ギュルルルルグルグギュルーーーーッ!! ゴロピィーーーギュロロロロロッ!!
 さっき押し返したばかりの便意が再び強まってくる感覚。一刻も早くトイレに駆け込まないといけない。水紗は輝に連れられて会議室を飛び出した。

「ゆ、結城くん、管理棟ってどこ…………?」
「そこの窓の向こうの建物。端まで行って渡り廊下を渡ればすぐだから」
「う、うん…………」
(校舎の端まで…………思ったより遠い…………がまん、できるかな…………)
  ゴロロギュロロロロッ!! ゴロッギュルピーグギュルルッ! グピィーーッ!
  グギュゥゥゥピーーーーーーーピィィィィィィィィィグルルルルルルルルギュリリリリリリッ!!
  ゴロッゴロロロロロロピィーーーッ!! グギュルルルルッ!!
 水紗のお腹はひっきりなしに重苦しい音を鳴らし、一歩歩くたびに刺すような痛みで神経を満たす。本当は全速力で走ってトイレに駆け込みたいが、今はとてもそんな余裕がなく、早歩きがやっとの状態だった。歩きにくいスリッパではなく、現場確認のために必要だからと学校から持ってきた足にぴったりの上履きを履いていることがせめてもの慰めであった。

「ごめん、最初に場所教えておけばよかったな」
「う、ううん、だ、大丈夫…………あの、ありがとう、一緒に来てくれて…………」
  グギュルルルルルルルルルルグルルルグギュルルルルルルルルルルルルッ!!
  ゴロピィィィギュルグピィーーーーッ!! グギュゥゥゥゥピィィグピィーーッ!
  ゴロロロロロゴロピィィゴロロロロピーーーーーーーーーーーギュリリリリリリリリリリリギュロロロッ!! ゴロッグルギュリピィーッ!!
 水紗は顔中に汗を浮かべながら必死に歩みを進めた。予め説明していなかったことを詫びる輝に小さく首を振って答えながら、内心では嬉しさを感じていた。お腹を下してトイレに連れて行ってもらうという恥ずかしい状況ではあるが、輝と二人きりで歩ける機会など想像していなかった。もしお腹が下っていなかったらどれほど幸せだったことだろう。

「うぅっ…………」
  ゴロッピィーーーグルルルルグギュルルッ!! グギュゥゴロロッ!!
  ゴロッグルルルルルピィィィィィィゴロロロロロロロッ!! グピーーーピーーーピィィィグウーッ!
(トイレ、すぐ近くにあるけど……でもこれ、男子トイレだから…………)
 水紗は輝が振り返らない間にお腹をさすりながら校舎の中を歩いていく。廊下の右手に古めかしい字体で「トイレ」と書かれた扉が見える。ここに駆け込めたらどれほど嬉しかったことだろう。しかし、普通に考えれば水紗が男子トイレを使うことはできない。
「あ、あっ…………」
  グルルグルルッ!! グピィギュリギュリリグウーッ!!
  ゴロゴロロロロロロロロロロロロログギュルルルルルルルッ!!
  ゴロギュルゴロロロログピィーーッ!! グピィィィィィィィグルルルルルルゴロギュルピィィィィィィィィィギュルルルルルルルルルルルルッ!! グウーッ!
 ひときわ強い腹痛が水紗を貫く。今すぐにトイレに駆け込まないと漏らしてしまいそうな便意。
(だめ、もう漏れちゃいそう…………そうだ、結城くんに外で誰か来ないか見張っててもらえば、このトイレで…………)
 理性を吹き飛ばされてしまいそうな便意に苦しむ水紗には、すぐ近くにあるトイレのドアが楽園の扉のように見えていた。足を止めて切なそうな視線でそのドアを見つめる。
「えっ?」
「――っ!!」
 突然そのドアが空き中から男子生徒が出てきた。目の前にいるはずのない女子――それも、星女の生徒がいるのを見て驚いている。目が合ってしまった水紗も、驚きのあまり声も出なくなっていた。顔を真っ赤にして逃げ出すように駆け出す。後ろを振り返ると、男子生徒もまた振り返っていてもう一度目が合ってしまった。
(だめ、そんなの絶対だめだよ、ちゃんと女子トイレまで我慢しなきゃ…………)
 水紗は一瞬誘惑に負けて男子トイレに駆け込もうとしたことを恥じ、一層強くなった便意に苦しみながら女子トイレに向かって走り出した。

「はぁっ……はぁっ……」
(渡り廊下……向こうの校舎に入ればすぐトイレに行ける……!!) 
  ゴロロロロロロロロロロロロロロログルゴログギュルルルルルルルッ!! ギュルルグギュルーッ!
  グギュゥゥゥゥゥギュルーーーッ!! ギュルルギュルグウーーーッ!!
  グギュゥゥゥピィーーーッ!! ゴロロロロロロロピィィィィィィィピィーーーーーッ!!
 水紗は何とか校舎の端までの距離を歩ききり、渡り廊下に踏み出した。最初は1歩だった輝との距離が4歩か5歩にまで開いている。水紗の軽い体重でも軋む板を踏みしめながら、おしりから力を抜かないように細心の注意を払って歩く。

「ほら、階段の向こうに職員用トイレがあるから」
「う、うん…………あっ!?」
  グピーーーゴロギュリリリグルルルルグピィーーッ!! グギュルーーッ!!
  グピーーーーーゴロゴロロロロロロロロロロロロピィィィィィィィィィギュルルルルルッ!!
  ゴロギュリリリリリリリリリリリリリリグルルルルルッ!! ピィーーゴロロギュリリッ!!
  グギュゥギュリピィギュルーーーーーッ!! グギュゥゥゥゥピーーーーーグピィーーーーッ!! グピィィィピーーーーギュリリリリリリリッ!!
 職員用女子トイレの赤いピクトグラムが見え、水紗の心を希望が満たした瞬間、今までにない猛烈な腹痛が水紗を襲った。同時に肛門に押し寄せる便意。さっき椅子に座っていた時以上の便意。押さえないと耐えられない。

「ゆ、結城くんちょっと待って、っぁ!!」
  ゴロゴロピィィィィィギュロロロッ!! グギュルルピィピィピィーッ!
  グギュルルルゴロピーーーーーーーーーーーーグギュルーーーッ!! ピーギュリギュリッ!!
  ゴロロロロピィーーグルルルルルッ!! グピーーーーーーーグギュルーーーーーーーッ!! ピィーッ!!
  グギュルギュルルルルルルルルルルグギュルルッ!! グピィィィィィグルルピィーグギュルーーーーッ!!
 水紗はお腹から大きな音を鳴らしながら、崩れるようにしゃがみ込んだ。右手をお尻に回し、右膝をついてつま先を立てた姿勢で上に向けた踵の上に、指で押さえた肛門を押し付ける。そのまま上体の全体重を踵で受ける。挟まれている右手の指先は痛みを超えて痺れてしまっている。それでも、肛門が開くのを押さえつける栓としては十分な役割を果たしていた。
 体重をかけて指先でお尻を押さえる我慢姿勢。限界が近づいた時に水紗が使う最後の手段だった。

(で、出ないでお願いっ…………お願いだからっ…………!!)
  ゴロゴログルルルルルルギュロロロロロッ!! グウーーッ!
  グピーーグルルルルルルルギュルルルルルグルルルルルルルルルルルルルッ!! ピィーーッ!!
  ジュッ……ブピッ…………!!
  ゴロピィィィィィピィーーーーーーーーーーーッ!! グピィグギュルーッ!
  グピィィィィィィィィィィィィィゴロピィィィィィィギュルルルルルルルルルルルルルルルッ!! グギュゥグルルルピィーーーピィーッ!
  ビィッ…………ブピピブジュブビッ…………!!
(だめ、だめだよ、出ちゃだめっ…………!!)
 必死に抑えている肛門が内側から広がろうとし、わずかな隙間から水だかガスだかわからない何かが漏れ出していく。水紗はさらにお尻を沈み込ませて、少しでも外力を強めようとした。

「あ……………っ……………」
  キュゥゥゥゥゥゥゥッ……!! ゴロロゴロゴロゴログルルルルッ…………!!
 押し寄せていた波が少しずつ押し戻され、お尻の圧力がわずかながら弱まる。水紗は、廊下の真ん中でしゃがみ込んでお尻を押さえるという恥ずかしい姿勢をとったかいもあって、何とか便意の大波を耐えきったのだ。
「綾瀬……? どうした、大丈夫か?」
「え…………あ、あっ、その…………だ、大丈夫、ちょっとその、つまづいちゃって」
 水紗は慌てて立ち上がった。下向きの加速度が一瞬大きくなり、治まりかけた便意が再び強くなってくる。輝の前で恥ずかしい姿勢を取ってしまい頬がわずかに赤くなるが、それよりも青白さの方が目立つ顔色であった。
「も、もう大丈夫だから……!!」
 水紗は遅れを取り戻すように歩き出した。だが、もう早足で歩くこともできない。お尻を締め付けながらの歩行。足が小刻みに震えている。

(トイレ……着いた……っ!!)
  グピィィィピーーーゴロロロロギュルルルッ! グピィギュルグギュルルッ!
  グギュゥゥゥゥゥゥゥグルルルルピーーーーーーーギュルルルルルグギュルルルルッ!! ゴロロギュリリリリグピィーーッ!
  グギュルルルピィーーーーーーーーーーーーーーーグルルルルルルルルルルルッ!! ギュルルゴロロゴロゴロギュリリリリッ!
「あぁぁ…………」
 職員用女子トイレのドアに手をかけた瞬間、水紗のお腹が再び濁流の渦巻く音を立て始める。血の気が引くような強烈な腹痛と、とても抗いきれない凄まじい便意が押し寄せてくる。このまま個室に駆け込んでも間に合うかどうかわからない。

「あのっひとりで帰れるから結城くん先に戻ってて!」
 水紗はドアの少し先で待っていた輝の顔を見上げて叫ぶように言い、返答を聞かずにトイレのドアを開け放って中に飛び込んだ。
(早く、早く、早くっ……!!)
  ゴロッピィーーーーゴロロロロロロロロギュリリリリリリッ!! ゴロゴロギュロロッ!
  ギュルルルピーーーグルルルッ! グピーグピィーーーーーーーーーーーーーーーッ!! ゴロッピーギュリグピィーーッ!!
 勢いで開いていくドアを後ろ手で引っ張り、叩きつけるように閉める。目の前に個室の和式便器が見える。

(ドア閉めて鍵閉めてパンツ脱いでしゃがんで早くっ!!)
  グピィィィィィギュルーーーーーーーーッ! グギュルグルルルルルピィーーーーグピィーーーーーッ!!
  ゴロピィーーーーーーギュルーーーーーーーーーーーーッ!! ゴロロギュルルルギュルルルルルルルグルルルルルルルルグウーーーッ!!
 水紗の小さな体がお腹を鳴らしながら個室に飛び込む。冷や汗で湿った手で内開きのドアを勢いよく閉め、ドアが締まり切るのも待たず便器をまたいでスカートの中に両手を差し込む。
「あ、あっ…………だめっ、まだ……!!」
  ギュルルルルギュルギュリリリピィーーーーーーッ!! グギュルルルルルゴロピィィィィギュルーーーーーーッ!!
  ゴロロロロロギュルギュロロロロッ!! グギュゥゥピィーーーーグギュルルルッ!!
  ギュルルピィーーーーーーピィィィゴロロロロロピーーーーーギュルルルルルルルルルルッ!! ゴロログギュルルッ!! グピーーーーーーゴログルグルルルルルルルッ!!
  ブジュッ!! ビュッ!! ビュルルルッ!!
 震える手でパンツに手をかけて下ろそうとした瞬間、水紗の下腹部をねじ切られるような痛みが襲った。腸の奥から絞り出されるように押し寄せてくる汚水が直腸の容量を超える。必死に我慢して閉じていた肛門がはち切れそうに膨らんでいく。もう限界だった。まだドアも閉めていない、パンツも下ろせていない、便器にしゃがむこともできていない。
(もう…………もうだめっ……!!)
  グギュルルルルピィィギュルギュロロロロロッ!! グピーーギュリリリゴロギュロロロロッ! グウーーッ!
  グギュルルギュルグギュルーーッ!! グギュルルルルルルルルピィーーーーーーーーーギュロロロロッ!! グピィギュルピィーグピィーーッ!
 真っ白になりそうな意識を必死につなぎとめ、水紗はせめて漏らすのだけは避けようと、パンツを下ろして開きかけた肛門から逃がそうとした。紺色のスカートの奥、パンツをずらして痛々しく膨らんだ肛門が見え始めた瞬間、そこが水紗の我慢の終わりだった。

「…………うぅぅ!!」
  ビシャァァァァァァァァァァァァァァビュルルルルルルルルルルッ!! ビシャブビューッビチビチビチブビィィィィビシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
  ビシャビシャビチャビチャビチャッ!!
  ブシャッジャァァァァァァァァァァブシャーーーッ!! ブシャッビシャァァァァァァビュルーーーーーーッビシャブシャーーーーーーッビチィーーーーッブピジャアアビシャァァァァァァァァァァァァァァブビューーッ!!
  ビチャッビシャビシャビシャビシャーーーーーッビチャビチャッ!!
 圧力に耐えきれず開いてしまった水紗のお尻の穴から、パンツの上端とスカートの下端をかすめて水便が斜め下方向に一直線に飛び出していく。直径1cmの水流が飛沫を散らしながら飛び出し、広がりながら到達点――便器から遠く離れた壁の地上20cmの高さに叩きつけられた。周囲に黄土色の飛沫を塗りたくるように撒き散らしながら。
 固形物のかけらさえない完全な水状便。お腹が極度に弱い水紗の便はいつも完全に水状になっている。その水状便をしゃがみきらずに中腰で出してしまったらどうなるか、何度も経験がある水紗にはよくわかっていた。それでも水紗は限界に達していた圧力に耐えられず、腸内の汚水を全力で噴射してしまっていた。

「あ、あぁぁ……………っ…………!!」
(や、やっちゃった……!! だめ、しゃがまなきゃ早くっ!!)
  ブジャッビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!! ビューーーービチビチビチブジュビィッジャーーーーーッ!
  ブジャッビュルビシャーーーーーッ!! ブシャビチィィィィビチィーーーーーーーーーッ!!
  ビシャビシャビシャビシャビシャッ!!
  ビシャァァビュルルルルルルルルルルジャーーーーーーーーーッ!! ブジャッビチィーーーーーーーーーーーーーーッブシャーーーーーーーーーッ!!
  ビュルジャァァビィーーーーッビュルビシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! ブパッビュルーーーーーーーーッビチィィィィィィィブシャーーーーーーッ!!
  ビシャッビシャビシャビシャビシャッ!!
 個室の後方を派手に汚してしまい、青ざめた顔が赤くなっていく。しかしまだ、あと一歩間に合わなかった水紗の失敗は終わっていない。現在進行形で水便が水紗のおしりから噴射され続けている。水紗は脚を震わせながら崩れるようにしゃがみ込んだ。水便の到達点が壁からその下の金属部へ、さらに下の床へ、リノリウムの床面に黄土色の幅のある線を描きながら手前の床へと移動し、至近距離で便器の後ろ縁を捉えた瞬間凄まじい勢いで飛沫が飛び散り、上履きや靴下にまで黄土色の雫が飛んだ。
 床と便器を直視できないほど汚し、パンツとスカートと上履きと靴下にも汚れを残しながら、やっと水紗は和式便器にしゃがみ込み、その肛門が便器の中を捉えた。

「うぅぅぅぅぅ!!」
  ビシャジャァァァァァビシャァァァァァァァビュルーーーッ!! ビュビシャビュルルルルルルルルルルルッ!!
  ビュルッビチャビィーーーーーーーーーーーーーーーーーッビュルーーーーーーーーーーッ!! ブシャッビシャアアアアアアアッ!
  ブシャビュルーーーーッビィィィィィィッ!! ブピッビシャビシャブビューーーーーッ!! ビュッビィィィィィィィィビュルーーーーッ!!
  ブジャッビチィーーーーーッジャーーーーービュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!! ビュビチィィビュルビュルーーッビシャーーーーーーッ!!
 水紗は右手で膝を掴むように上体を支え、左手でお腹をさすりながら肛門を開放した。すでに閉じなくなっていた穴の中からは止まることなく黄土色の水流が水鉄砲のように噴射されて便器に叩きつけられる。一瞬で便器の中の水は水下痢の色に染まり、跳ね上がった飛沫が便器の側面を汚していく。
(あっ、だめドア閉めなきゃっ!!)
 勢いよく閉めようとしたドアが跳ね返り隙間が開いている。水紗はドアを締め切らないまま水便を噴射していた。慌てて左手でドアを押し付ける。鍵をかけようとしたがそれには一度立ち上がらないといけない。しかし水紗の水下痢は止まらず、立ち上がることはとてもできそうにない。

(だ、だめ、止まらないっ…………靴が汚れちゃうよ……!!)
  ブシャビシャビュビチャビシャアアアアアアッ!! ビュルルルッビュルーーッビィーーッ!
  ブピッビュルーーーーーッビュビィーーーーッ!! ビュッビシャァビュルビィィィィィッ!!
  ビチビチビチジャーーーブシャーーーーーーッビィーーーーーッ!! ブシャブジュジュビュルーーーッ!!
  ビシャビチィーーーーーーッビュルーーーーーーーーッジャーーーーーーーーーーーーーッ!! ビュルッビュルビシャアアッ!! ビュッビシャーーーーーッ!
 水紗は肛門を開いて、直腸の中の下痢便を全く抵抗なく便器の中に送り込み続けていた。その勢いはさらに増し、着弾点の周りの液体を押しのけるように波打たせ、跳ね上がる飛沫は便器の外へ飛び出し、床と水紗の上履きを汚し始めている。勢いを弱めなければいけないことはわかっていたが、しかし水紗の下りきったお腹はそれを許してくれなかった。完全に水状になった下痢便を出すよりも早く直腸に送り込み続け、水便の流れを途切れさせないようにしている。漏らすかもしれないという焦りが消え、代わりに靴や靴下を汚してしまうという焦りが水紗の心を満たしていく。

「うぅぅっ…………くぅっ………………あ、っ……!!」
  ブシャブシャァァァァァァビチャビィィィィィィィッ!! ビュッビチィビチャビシャーッ!
  ビシャビュブシャーーーーーーーーーーーーーーッ!! ブパッブシャァァビシャビュルーーッ!!
  ビシャビィーーッビューーーーーーーーービュルルルルッ!! ブパッビィーーーッビシャアアアッ!! ビュッビチィィィィビチャブシャーッ!!
  ブジャッビュビュビシャーーーッ!! ブピッビュビュルーーッビィーーーーーーーーーーーーッ!! ブジュブジュブジュブビッブビビビビビビィーーーーーーッ!
 猛烈な勢いの水便噴射。しゃがむ前に出始めてから一瞬たりとも途切れることなく吹き出し続けていた水下痢。その水流の太さがさらに増し、便器の側面に飛沫ではなくまとまった黄土色の水を跳ね上げ飛び散らせていく。さらに一秒ごとに1ミリずつ黄土色の水柱の太さが増し――突如その流れが途切れた。次の瞬間、爆発するような勢いで肛門が振動し気体と液体の混合物を吐き出し、茶色い飛沫を全力で撒き散らす。

「はぁっ……はぁっ…………ふぅっ…………」
(す、すごい音しちゃった…………結城くん、外で待ってたりしないよね……ちゃんと戻ってくれたよね……?)
 怒涛のような噴出が止まり、やっと鍵をかけた後で息を整えていた水紗は、水下痢と連続する水っぽいおならでものすごい音を立ててしまったことで羞恥に包まれていた。数分では終わらないだろうし、もしかしたら音が聞こえてしまうかもと思って輝には会議室に戻るように頼んだが、その返事を聞くどころかその時の表情すら見ずに水紗はトイレに駆け込んでしまった。ただ、一秒すら惜しんだその選択が間違っていなかったことは水紗の後方に広がる光景を見れば明らかだった。わずかにでも余計な時間を使っていたら、壁と床にぶちまけられている水便が水紗の下着を埋め尽くし両足に流れ落ちていただろう。
  グピィィィィィィィィィピィーーーーーギュルルルルッ!! ピィィゴロピィーッ!! グピィギュルゴログギュルーッ!
  グピィィィィィィゴロロロロロロロロロログピィーーーーッ!! グピィィィグルルルルルグギュルーーッ!!
「あぅ……っ…………また…………!!」
 まだお尻の穴が押し広げられたまま閉じきっていないうちに、再度水紗のお腹が恐ろしい音を立てる。30秒もしないうちに次の便意の波が押し寄せてくる。

(こ、今度は気を付けてしないとっ……汚さないように……!!)
  グギュルルギュリリギュルルギュルーーーーーーーッ!! グギュルルルルルルゴロゴロロッ!!
  ゴロピィーーーーーピィーーーーーーーゴロロロロロロロロギュルーーーーーーッ!! ギュルギュルルルグウーッ!
「…………っく……!! うぅぅっ…………っあ!!」
  ビチブジュブシャッビシャーーーーーーーーーーーーーージャアアアアッ!! ブジャッビチィィィィビシャーーーーーッジャアーーーーーーーーーッ!!
  ブシャッビシャァァァァァァァブビューーーーーーーーッ!! ブパッビィーーッビシャジャーーーッ!!
  ビシャビシャーーーーーーーーーーーーーーーッビィーーーーーーーーーーーーーッ!! ビュビシャアアアアアッ!!
  ビシャビュビュジャーーーーーーーーーーッ!! ブジュビュルッビィィィィブビィィィィィビチビチビチビチィーーーーーーッ!!
 1秒前まで全神経を集中して慎重に開度を調整しようとしていた水紗の肛門は、何度目かわからない強烈な腹痛が刺激した本能によって全開になってしまっていた。腸内に許容量を超えて押し寄せてくる水状便を外に吐き出せ、と。水紗の理性に反した本能の願い通り、肛門からはさっきの噴射を上回る勢いで水下痢が便器に向けて全力で叩きつけられていく。

「うぅぅぅぅ…………だめっ…………うぅぅ!!」
  ビシャビチィーーーッビチャビュルジャアアアアアアッ!! ブジャッビュルーーーーーーッブシャーーーーッ!!
  ブシャッビュビュルジャァァァァァァァァァァァビシャーーーーーーーーーーッ!! ビィーーッブシャァァァァブビューッ!!
  ビュブシャーーーーッビュルルルルルルルビシャーーーーーーービィーーーーーーッ!! ブジャッビシャーーッビシャジャアアッ!! ビシャビィッ!
  ブピッビシャーーーーーーブシャーッッブビッブビビビビビブジュブジュブジュグジュブビビビビビィィッ!! ジャァァァァァァァァビシャジャーーーーーーーッブビッブビビビビッブジュブジュブジュジュジュッ!!
 水紗の肛門が苦しげに開いて水下痢を飛び散らせながら噴射していく。少し左寄りに噴射したかと思えば次の瞬間には右側に斜めにと、肛門に残る水下痢の方向に引かれて黄土色の汚水が飛び出し、おしりの曲面を伝って流れ落ちていく。その噴出が途切れるとまた激しく汚い水下痢放屁音が響き渡り、肛門が黄土色の泡に包まれる。

「うぅぅ…………早く…………しないと…………!!」
  ビシャーーーーーーービチィーーーーーーッビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!! ブピッビィィジャーーーッ!!
  ブピッビュルーッブシャァァァァァビューーーーーーービシャアアアアアッ!! ブジャッビシャーーッジャーーッ!!
  ビシャジャーービュルジャァァァァビシャーーーーービィィィィィィィィィィィィィィッ!! ビュッジャーーーービュビシャーーッビシャーーーーービシャビィィィィッ!!
  ビシャビチィーーーーーーーッビュルルルルルルルルッブジュブジュブジュブジューーーーーーッ!! ブシャビチィーーーーーーーーーーーーッビィィィィィッブビビビビビブジュッ!!
 早く腸内の水下痢を出し切ろうと肛門を押し出すように開く水紗。しかし、思った通りに一気に水下痢が吐き出されることはなく、数十秒おきにまとまった量の水が流れ落ちてガスと飛沫が撒き散らされる。そのたびに水紗は顔を赤らめた。

  ゴロピィィギュルルギュルルッ! グギュゥゥグウーーーーッ!! グウーッ!
  ピィーーゴロゴロギュルルルルルルルルルルルグギュルルルルルルッ!! グピィィゴロゴログギュルーーーッ!
「うぅぅぅ………お腹………痛いよ…………!!」
  ビュルルルルルルルビュルーーーーーーーーーーーーーーーーッ!! ブシャブシャーッ!!
  ブパッブシャーーーーッビシャーーーーービチィーーーーーーーーーーッ!! ブジャッビィィィィィィィビシャアッ!!
  ブシャブシャッブシャァァビュルーーーッビィィィィッ! ビュルルビュルルビュルッ!! ブシャッビューービュルーーーーッ!
  ブジャッジャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァビチィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッジャーーーーッ!! ビュッブシャァビシャビィーーッジャアアアアアアアアアッビチビチビチブジュジュジュジュッ!!
 お腹が鳴り腹痛を感じた次の瞬間には肛門が押し出されて水下痢を迸らせている。水紗の可愛らしい小さな体から発せられていると信じられない音。その体の中にあったとは信じられない汚い汚水。数分前まではなかったと想像できないほど凄まじい刺激臭。少女の可憐な姿からは想像できない水下痢排泄の光景が広がっていた。

「お願い…………止まって、早くっ…………」
  ビシャビュルーッビィビチィーーーーーーーッ!! ブシャッビチャジャアアアアッ!! ビシャビィーーーッブシャァァァァビシャアアッ!!
  ビュルッビシャビチィーッビュルルルルルルルビィィィィィィィビュルーーーーッ!! ビュルッブシャァブシャァァジャアアアアアアアアアアッブビビビビブビッブビジュッ!!
  ビュビチャジャァァァビシャブシャーーーーーーーーーーッブビューーーーーーッ!! ブパッビィィィビュビュルルルルルルルルッ!!
  ブピッビュルビィィッ!! ビュルッビシャァァァブビューーーーーーーーーーーーーーーーッ!! ブジュブジュブジュジュジュッブシャーーーッビィーーーッブジュグジュグジュグジュッ!!
 水紗は涙が浮かんだ両目を閉じて少しでも早くこの苦痛と恥辱の時間が終わることを願った。しかしその思いを嘲笑うように肛門からは断続的に水下痢が流れ落ち続ける。

「早くっ…………うぅぅぅっ……」
  ビュルッビチィーーーーーッビュルビュルブシャァァァァァビュルーーーッ!! ビュルッビィィビュルーーッビュジャァァァァァァァァビュルーーーーーーッ!!
  ブジャッビィーーーーーーッジャーーーーーーーブシャーーッ!! ブシャジャアアッ!! ブシャッブシャーーーーーーーッビュルルルルルルルブビューーーーーーーッ!!
  ビシャブシャーーーーーーーーーーーーーーッブシャーーーーーーーッ!! ブシャッビュルルルブシャァァビィィィィィィィィッ!! ビュビシャーーービシャーーーーッジャーーッ!!
  ブシャビュジャーーーーービュルルルルジャーーーッ!! ビシャビュビュジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! ビュルーーッビシャジャーーーーーッブビッッブビビビビビビビブジュッ!
  ブピッビチィーッビチィィビシャーーーーーッ!! ブシャビィィィィィィィィィィィビィィィィィィィィィィィィジャーッ!! ブビューーッ!
  ブパッビュビチィィィィィィィィィィィィィジャーーーーーーーーーーービィィィッ!! ブシャビシャーーーーーージャァァァァァァァァジャァァァァァァビチィーーッブビビビビビブビッブジュッ!!
 水紗は痛み続けるお腹を擦りながら、お尻の穴を何度も押し広げ水便を絞り出していった。
 その後2分間で水流が流れ落ちること4度、個室に飛び込んでからは7分が経ってやっと、水紗は狂おしい腹痛と便意から解放された。
 便器の中は固形物のまったくない水状便の海と化している。側面の下半分は跳ね上がった飛沫で塗りつぶされ、便器の縁の最上部まで無数の飛沫が飛び散っていた。

「はぁ…………はぁ…………はぁっ…………」
(終わった……? 早く戻らないと結城くんに下痢してるって気づかれちゃう…………はやく…………っ…………)
「あ………………」
 水紗は片付けをしようとして後ろを振り返り絶句した。
 壁に直撃して辺りに飛沫を撒き散らしている黄土色の水。床にも広範囲に飛沫が飛び散り、汚れていない部分の方が少ないほど。便器の後ろ縁は水状便の直撃を受けて汚れきり、さらに便器の側面にも黄土色の飛沫が撒き散らされている。他所の学校の、しかも職員用のトイレを無断で使用し、直視できないほどひどく汚してしまった。
「うぁぁ…………ど、どうしよう…………」
 靴や靴下にも黄土色の汚れがいくつも付いている。すでに周辺に染みが広がっており拭いても落ちなそうだ。視線を落とすと、膝に引っかかっているパンツのお尻の部分に黄土色の染みができている。どれ一つとっても、下痢で汚してしまったことが丸わかりだ。
(染みないうちに靴と靴下拭いて、それからおしり拭いて、それから…………早くしないとっ…………)
 パニックになりながら優先順位を考える水紗。お尻を拭くのを真っ先にしたいところだが、一刻も早く靴と靴下の汚れを拭かないと染みが残ってしまう。水紗は紙を厚く巻き取り、汚れを広げないように押し当てるようにして靴についた黄土色の飛沫を拭い始めた。

(どうしよう……全然落ちないよ…………)
 水紗は1分ほど靴や靴下に滲んだ黄土色の汚れと格闘したが、汚れを消すどころか薄めることもほとんどできなかった。白い木綿の靴下は吸水性が良く、水紗が飛び散らせた水分100%の黄土色の液体をその繊維に吸収してしまっていた。靴もキャンバス地で汚れが染み込みやすく、特に便器の後ろ縁から飛び跳ねてきた水しぶきが「綾瀬」と名前が書いてある背面を激しく汚していた。トイレットペーパーを5回巻き取り、最後にはごしごしと拭い取るようにしたが、染み込んだ汚れは落ちなくなっていた。パンツにも小さいながら黄土色の染みが浮かんでいて、これも拭いても全く落ちる気配がなかった。

(これ以上は時間が…………とにかくお尻拭いて…………)
 水紗はお尻を拭き始めた。シングルロールのトイレットペーパーを5回折り、開いたままのお尻の穴に押し付ける。出し終わってから時間が経っているのに、32枚重ねのトイレットペーパーはいとも簡単に貫通されて少し冷たくなった水便の湿り気が指先を包んだ。もう一度繰り返して、今度はお尻の穴をぎゅっと閉じて擦るように拭く。ついで、肛門から左右におしりの肌を滑るように拭う。水状便は飛び出すだけでなく肛門からお尻の左右に流れ落ちて黄土色の川を肌に作り上げていて、これを拭かないとパンツに大きな汚れを作ってしまう。最後にもう一度新しい紙でおしりの曲面の最下部から外側まで、前から後ろまでを大きく拭き取る。本来汚れるはずのない部分だが、股の間で見た紙には無数の黄土色の汚れが付着していた。水状便の勢いが激しくて便器の中から跳ね上がってきた飛沫がいくつもお尻に残っていたのだった。

「あとは…………っ……………ぁあ…………」
 もう一度紙を巻き取り、後ろを振り向いた水紗は思わずため息をついた。本当に掃除できるかわからないほどの凄まじい汚れ具合。壁から床を通って便器まで撒き散らされている黄土色の水下痢。近くなるほど幅は広くなりその周囲を噴射の勢いを物語る水飛沫が縁取っている。
(と、とにかく掃除しなきゃ…………こんなに汚したこと、天川の先生に知られないように…………)
 水紗は意を決して水状便の海に手を伸ばした。一杯に巻き取った紙を床の水たまりに落とすと瞬く間に紙全体が黄色に染まっていく。持つ場所がなくならないうちに端を持って引き上げて便器の中に放り込み、次の紙を落として吸わせる。その間にまた紙を巻き取り、壁に飛び散らせてしまった水下痢を拭い取っていく。少量でもはっきりと伝わってくる冷たい濡れた感触が、やってはいけないことをしてしまった罪の意識を水紗に突きつけてくる。
(ど、どうしよう、紙があんまり…………)
 ペーパーホルダーにあった2ロールの紙のうち、少しだけ残っていた片側はあっという間に使い切ってしまい、新品だったもう一つの紙はすでに半分以下に減っていた。このペースで使っていたら便器の周りを拭く紙がなくなってしまうかもしれない。水紗は一枚の紙をなるべく無駄なく使い、繰り返し拭くことで少しでも紙を節約しようとした。

「…………うぅ…………」
 和式便器の縁にたっぷりと付いてしまった水下痢を拭うと、陶器の冷たさが汚してしまったことを責めるかのように指を刺激する。完全にきれいになったかというとまだ細かい汚れが残っている気もするが、それでも辛うじてまとまった汚れは落とし終えていた。すでに、個室に入ってから10分以上経過している。そろそろ戻らないと輝や優佳が心配してしまい、ひどくお腹を壊していることに気づかれてしまうかもしれない。水紗は一刻も早く会議室に戻らなければならなかった。水紗はわずかに染みの残る下着を引き上げた。靴と靴下の汚れはどうしようもないが、脚の内側だから足を揃えて見えないようにすることはできるはずだ。
(お願い、流れて……!!)
 水紗が便器の中に吐き出した大量の水状便と、便器の外を汚し尽くした水状便を一杯に吸った紙を、水洗の水が流していく。便器の側面に飛び散った飛沫は残ってしまっているが、便器の底はあっという間に清浄な水流に洗い流され、水紗の体の中にあった汚水は下水の中へ押し流されていった。お尻だけでなく、靴と靴下と床と壁を拭くのに大量の紙が使われ、残量はわずかになっていた。

「…………ふぅ…………」
 文字通りやっと一息ついた水紗は、個室を出て急いで手を洗った。
(早く、早く戻らなきゃ…………)
 焦りながらトイレのドアを開ける。
「あ……」
「え…………ゆ、結城くんっ…………!?」
 トイレの外には、いつも会いたいと思っていたけれど今この時この場所では会いたくないと思っていた姿が待っていた。


 水紗が個室で止まらない水下痢と戦い続けている頃、輝は水紗に言われた通り会議室に戻っていた。所在なげに待っていた優佳が出迎える。
「結城君、ありがとう。……ごめんなさい、私がちょっと休憩とか考えてあげればよかったのに、みーちゃんに無理させちゃったかも」
「いや、こっちこそ打ち合わせ始める前に教えておけばよかったのに、気が利かなくてごめん」
 少しの沈黙の後で優佳が静かに話し始める。
「……結城君、思ったよりみーちゃんと仲良かったんだね、クラスもずっと一緒だったみたいだし」
「ん……いろいろ話はしたけど、そんな仲良かったってわけでも……おれも綾瀬もそんなにしゃべる方じゃないし」
「それでも遠足の思い出とかいろいろあったんでしょ? いいな、私そういうの全然ないから」
「そうなのか? 中川さんなら、いくらでも……あ、いや、小学校で仲が良かった子とかは?」
 輝が意外そうな表情で問いかける。優佳は中性的な言葉遣いではあるが間違いなく美少女と言える。その優佳に全く浮いた話がないというのは、そういったことに興味の薄い輝からしても意外であった。
「いないわ。私が変わってるのかもしれないけど……なんか話が合わなくって」
「……まあ、小学生の男子って本当ガキっぽいからな。おれもそんなもんだったけど」
「え、結城君はそうじゃなかったんじゃない? みーちゃんも、小学生の頃から大人っぽい話し方だって言ってたし」
「……そうかな……?」
 少し視線を反らした輝に、優佳はわずかに笑みを浮かべて、次の瞬間には表情を戻して問いかけた。
「あっ、そうだ、結城君に会ったら聞こうと思ってた事があったの。小学校の頃ね、みーちゃんってその……テストの時とかすごく緊張してたりしなかった?」
「綾瀬が? …………うーん、テスト中とか周り見てないから覚えてないな」
「あっ、それもそうね…………じゃあ、その、テスト中とか授業中とか、ト……保健室に行ったりとかしてた?」
「保健室って…………んー、テスト中はなかったかな。授業中……1回か2回はあったかもしれないけど、誰でもそれくらいあるんじゃないか?」
「そうなの……。あ、ごめんなさい変なこと訊いちゃって。その、いつもじゃないんだけど、みーちゃん時々試験中に緊張しすぎちゃうみたいで……。試験に集中できたら、それこそ私よりも上の成績が取れると思うんだけど」
 優佳は少し視線を落として呟くように話した。直接的な聞き方はできなかったが必要な情報は得ることができた。いつも試験中にお腹を下してしまう水紗の力になりたいと思い、小学生の頃からこうだったのか聞こうとしたのと、もう一つ、輝は水紗のお腹の弱さを知っているのか、と。答えはどちらも否定だった。
「……中川さんもやっぱりそう思うのか……。おれも、綾瀬はすごい才能があると思うよ。おれよりもずっと…………あれ?」
「どうしたの?」
「…………いや、綾瀬戻ってくるの遅いなって。もう10分くらい経ってないか?」
「あっ……そ、そうだっけ?」
 優佳は少し声を高くして慌てた様子になった――のは実は演技であり、時間がかかっていることはわかっていたし予想もできていた。水紗が下痢でトイレから出られず時間がかかっていることを輝に気づかれないように驚いた表情をしていたのだった。
「ああ、たしか戻ってきて時計見たら31分だったから……12分か。どうしたんだ……?」
「よ、よく覚えてるのね。…………あの、みーちゃんね……その……」
「あ……一人で戻れるって言ってたけど、もしかしたら迷ってるかもしれないな……おれちょっと見てくるよ」
「え、でも…………あっ、な、なんでもない……確かに迷ってるかもしれないわ。探してきてもらえる? 私も一緒に行こうか?」
 優佳は輝の予想が間違っていると確信していたが、それを正そうとした瞬間に正さない方が水紗のためだと思い直して言葉を飲み込んだ。
「いや、おれひとりで大丈夫だから。すぐ戻るよ」
 そう言って、輝はまた会議室を出ていった。
「…………ふぅ…………結城君がちょっと鈍くて良かったわね、みーちゃん……」
 優佳は机に視線を落としてため息をつき、椅子の背もたれに体を預けた。


「……一回戻ったんだけど、戻る途中で道に迷ってたら大変だと思って探しにきたんだ」
「あっ…………ご、ごめんなさい、心配かけちゃって……っ……」
 水紗は輝がずっとトイレの外で待っていたわけではないと聞いて安堵したが、次の瞬間慌てて両足をぴったりと閉じた。上履きと靴下の内側には決して見られてはいけない黄土色の汚れがたくさん残っている。
「綾瀬、もしかして体の具合悪いのか?」
「え…………あっ…………」
 水紗は一瞬びくっとして、もしかして靴の汚れに気づかれてしまったかと慌てたが、輝の視線は水紗の脚ではなく顔に向けられていた。かなりの量の水分を失った顔色の悪さは隠せなかったが、水紗は必死に心を落ち着かせて理由を取り繕った。
「う、ううん、大丈夫だよ。その、一回戻ろうとしたんだけど、忘れ物しちゃって取りに戻ったら遅くなっちゃって……ごめんなさい」
「いや、それならよかった。じゃあ、戻って続きでいいか?」
「うん。ごめんなさい、みーちゃんのせいで遅くなっちゃって」
 水紗の言い訳は稚拙なものだったが、幸い輝は疑うことなく聞き流してくれ、二人は生徒会会議室に向けて歩き始めた。足元の汚れを気づかれないように、水紗は数歩遅れて歩いていく。
(…………結城くんと、もっと話したいけど……でも、また緊張してお腹痛くなっちゃったら…………またトイレ行ったら、今度は絶対下痢してるって気づかれちゃう…………)
 水紗が何度も口を開いて声を出せず口を閉じることを繰り返した後、黙って歩くことに耐えかねたのか輝が口を開いた。
「綾瀬、さっきの準備状況の話さ、なにか企画考えてたって中川さんが言ってたけど」
「あ…………う、うん…………あのね、部活じゃなくても、いろんな発表ができたら楽しめる人も増えるんじゃないかなって思ったんだけど……」
 問いかけられた水紗は一瞬戸惑ったものの、数日前から考えていたことを輝に話した。
「部活以外で…………出し物みたいな感じか? それとも、もっと真面目な研究発表とか?」
「え、えっとね……そこまではちゃんと決めてなくて……。出し物の希望者は多いと思うけど、それで出たがる人って別に舞台がなくても楽しめる感じだから、もうちょっと、おとなしい人でも参加できるような……その、難しければできなくてもいいんだけど」
 両校とも、文化祭のステージでは漫才やバンドのような出し物が定番である。ただ、それで盛り上がるのは一部の活発な生徒たちで、それを楽しめない生徒は余計に疎外感を感じるかもしれない。
「……いや、でも面白い話だと思うからなんとかやってみたいな。……やるなら、文化祭と重ならないものに限る、というのが現実的かもしれない」
「あ……うん、そうだね。それがわかりやすいかも」
「中川さんや将樹の意見も聞いてみよう。せっかくなら新しいこともやりたいしな」
「う、うん、ありがとう結城くん……!!」
(…………うん……お腹は大丈夫…………まじめな仕事の話なら緊張しないで話せるみたい……)
 水紗は輝と話せた嬉しさと役に立てた嬉しさを感じながら、少しだけ歩みを早めて前を行く輝に近づいた。また緊張してお腹の具合が悪化してしまうのを恐れていたが、幸いその兆候はない。水紗はさっき絶望的な思いで歩いた道のりを、ささやかながら幸せな気持ちに包まれながら戻っていった。

 二人が会議室に戻ると、追試を受けに出ていった将樹が戻ってきて優佳と話し込んでいた。
「おー、二人ともお帰り。ごめんごめん遅くなっちゃって」
「いや、気にするなって。追々々試にはならずに済みそうか?」
「たぶん。……と、追試の時も思ったんだけどなぁ……あ、そうだ結城、太田先生がお前のこと呼んでたぞ」
「え? おれを……すぐに来いってことか?」
「ああ、すぐ終わる話って言ってたけど」
 悪いことで先生に呼び出された経験のない輝だが、戸惑いながらも入ってきた扉に手をかけた。
「……仕方ないな。ちょっと行ってくるよ。綾瀬、中川さん、ごめん。すぐ戻るから」
「……う、うん」
「気にしないで。今のうちに小林君に話をしておくから。資料読んだけど、ここのアンケートの話で……」


「あの、それで何か発表みたいなことができたらいいなって……………………っ……!!」
  ギュルルルグルルゴロギュルッ!! グギュルルピィィゴログギュルルッ!
  グピーゴロロロギュルルルッ!! グギュルゴロロロロゴロロロロロロロログウーーーーーーーッ!! ギュルーーッ!
 先ほど輝に話した内容を整理してもう一度話し始めた水紗だったが、話し終えようかと言うタイミングで言葉を詰まらせてしまった。両手でお腹を抱え込んで前かがみになる。
(どうして…………また…………お腹が…………さっきトイレに行ったばっかりなのにっ……)
 水紗は一度お腹の調子を崩すとなかなか治らず、不調が長引いてしまう体質だった。緊張するような話題を避け、お腹をなだめながら会議に参加していたが、しかし一度下ってしまったお腹は具合が悪いままで、腸の奥から新たな水状便を水紗の直腸に送り込み続けていた。腸管が内圧で膨らみ、激しい便意がこみあげてくる。
「うぅぅ…………」
「…………みーちゃん、大丈夫?」
「優佳さん…………あの、何でも…………うぅっ!!」
  ピィーーーゴロギュルルルルルルルルッ!! グピィーッ!
  ゴロッピーーーーーグギュルルルルルルルルッ!! ギュロッ! グギュルギュロロロロロッ!
  ゴロピィーーーグウーーッ! グギュルルピーゴロロッ! ゴロピィィィィィィグルルルルギュロロッ!!
  ゴロッピーーーーーゴロログルルゴロロロゴロギュルルルルルッ!! ゴロッピィーーーーーーーギュリリリッ!!
 水紗は収まらない腹痛と便意に耐えきれず上体を支えきれなくなった。机につきそうなほど上体を倒し、押さえる右手の下で左手で必死にお腹をさすっている。
「ちょ、ちょっと、綾瀬さん大丈夫?」
「みーちゃん、本当に無理しないで……」
「うん…………あの、ごめんなさい…………その、ちょっとお腹痛くて…………」
 あまりに苦しげな様子に将樹も心配して声を掛ける。水紗はもう耐えられなくなり、お腹が痛いことを訴えた。輝がいたらまだ秘密にしていたかもしれないが、優佳と将樹しかいない状況では、羞恥心よりも苦しさが勝っていた。それほどのひどい下り方だった。
「そうか……なんか顔色も悪いし、保健室で見てもらおうか? まだ先生いるから」
「う、ううん、大丈夫……」
「みーちゃん無理しないで。今日は早めに切り上げて休んだほうがいいわ」
「え…………で、でも…………うっ……!!」
  ゴロッゴロロロロロロロッ!! グピーグピィーッ!
  グルルルルギュルルルルルグギュルルルルルッ!! グギュルルルルゴロピィーーーッ!!
  ゴロロロロピーギュルグルルルルルルッ!! ギュルグウーッ!
  グピーーーーーーーゴロロロログルルルルルルルルルルルルギュルルルルルルルルルルルグウーーーーッ!! ピーーーーギュロロロロッ!!
 何とか顔を上げて大丈夫だと言って打ち合わせを続行しようとする水紗。自分のせいでみんなに迷惑をかけてしまうのは嫌だったし、せっかく輝と会って話ができる時間なのにすぐ終わりにしてしまうのも耐えられなかった。しかし、そのささやかな抵抗を打ち砕くかのようにお腹が激烈な音を立て、一瞬にして漏らしそうな便意がお尻を満たす。
「今日は顔合わせが目的だったし、結城くんの準備のおかげで全体の流れも確認できたから。次回までにみーちゃんの提案について具体的な案をみんなで考えてくればいいんじゃない?」
「ああ、そういうことで」
「…………うん…………ごめんなさい、みーちゃんのせいで…………」
 優佳が助け舟を出し、十分今日の目的は達したことを説明してくれた。水紗もそれを聞いて安心し、優佳の言う通り無理せず早めに帰らせてもらうことにした。しかし、自分のせい、しかもひどい下痢という情けない理由で早上がりすることは申し訳なく、水紗は何度も謝りの言葉を口にした。
「もう、みーちゃんは何も悪くないから気にしないで。じゃ、結城くんが戻ってきたらお暇しましょう」
「う、うん…………うぅぅ…………っ!!」
  ゴロッギュルギュルグピィーーーーーッ! ゴログギュルーーッ!!
  ゴロギュリギュルゴロロロロロロッ!! ゴロロロロロピィィィィィグギュルーーーーーーーーーーーッ!!
  ギュルギュルゴロロロロロロッ!! ギュルグルルルルルルルルルルルルルルルルギュロロロロッ!!
  グピィィィィィィィィィィィギュルルピィーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!! ゴログルルピィィギュリリリッ!!
 水紗はまたお腹を押さえて机に倒れ込んだ。次の瞬間には、右手をお尻に回して肛門を抑え込んでいる。すでに肛門が開きかけていて、押さえておかないと漏れそうになっていた。
「……みーちゃん? 本当に大丈夫?」
「あ、あのっ、みーちゃんちょっと……ごめんなさい、も、もう一回、トイレにっ……!!」
 水紗は便意の波を乗り切った後、一目散に部屋を飛び出し、さっき行った職員用トイレを目指して走り出した。

(早く、早く、早く……トイレ、急がなきゃ……!! この渡り廊下を渡れば、すぐ……!!)
 水紗は便意の波が治まっているうちにと、先生に見られたら怒られそうな速さでスカートを翻しながら管理棟を目指した。渡り廊下を最短距離で渡ろうと、曲がり角の一番内側を駆け抜けようとした。
 曲がり角を曲がった瞬間、水紗の視界が黒くなった。
「え…………あっ……!!」
「……何……うわっ!?」
 ぶつかる、と思った瞬間にはもう、水紗は曲がり角に入ってきた男子生徒と衝突してしまっていた。走ってきたけれど体重が軽い水紗と、歩いてきたものの体重が重い男子の運動量はほぼ同じだった。衝突後の重心はほぼ動かず、二人はわずかに跳ね返されながら至近距離で倒れてしりもちをついた。
「きゃっ…………!!」
「いてて…………え、綾瀬!?」
「えっ…………ゆ、結城くん……!? ……ああっ、ご、ごめんなさいっ!!」
 水紗は廊下を走って曲がり角の先を確認せず、輝に体当たりするようにしてぶつかってしまったことに気づいた。廊下を走るなというのは小学生が言われるようなことなのに、中学生にもなって、しかも他所の学校で、トイレに駆け込むためとは言え廊下を走って事故を起こしてしまった。真面目な性格の水紗にとっては自分が許せなくなるような失敗だった。
「いや、おれは大丈夫だけど……綾瀬は怪我してないか?」
「あっ…………あの、みーちゃんも大丈夫…………本当にごめんなさい」
「いいよ。おれもちゃんと前を見てなかったから…………とにかく、怪我がなくてよかっ…………あ」
「結城くん、どうしたの…………………?」
 輝がぽかんと口を開けている珍しい表情を見て、水紗は当惑する。驚いているだけでなく、頬が赤く見える。水紗は輝の視線の先を追った…………。
「………………あっ、や、きゃぁぁっっ!?」
 水紗が視線を落とした瞬間、彼女はついに気づいてしまった。転んで尻もちをついたためにスカートの中…………パンツが見えてしまっていることに。水紗はパニックになりながら、右手で両脚の間にスカートを引っ張って見えてはならない部分を隠した。
「ご、ごめん、わざとじゃ…………その、何も見てないから」
「あ、あ、あぁぁ………………」
 水紗は気の毒なほど顔を真っ赤にしていた。単にパンツを見られてしまったというだけでなく、そのパンツのお尻の部分には、さっきトイレに行く前にちびってしまった黄土色の汚れがにじんでいる。もし、そのことに気づかれてしまっていたら……。
(どうしよう、どうしよう、結城くんに見られちゃった……パンツだけじゃなくて、汚れまで…………あっ、靴下と靴も!?)
 心臓が止まりそうなほど高鳴り、意識が真っ白になっていく。だが次の瞬間、水紗の意識は現実に引き戻された。
「あ……あぁっ…………」
  グピィィピィーーギュロロッ!! グルルッ!
  ゴロロロギュリリリギュルグギュルーーーーーーーッ!! ギュリグピィーッ!
  グギュルルルルピィーーーグギュルーーーーッ!! ピィィィグギュルーーーーーッ!
  ギュルルギュルルルルッ!! グギュゥゥゥギュリゴログギュルーーーーーーーーーーッ!! グピーギュリギュリリギュルーッ!
 強烈な腹痛と便意が水紗を襲う。しりもちをついたままの、我慢どころではない体勢。肛門のささやかな抵抗が、押し寄せた水下痢によっていとも簡単に押し開かれる。
  ビュルッ!! ビジュルルッ!!
(だめっ……!! 結城くんの前でおもらしなんて、絶対だめっ……!!)
「うぅぅっ!!」
 水紗は必死に肛門を締め付けた。極大まで増幅された女の子としての羞恥心が、一瞬だけありえないほどの力を生み、肛門が決壊するのを瀬戸際で食い止めた。
「………………っ…………はぁっ……はぁっ…………」
「綾瀬、大丈夫か? ……立てるか?」
 先に立ち上がった輝が心配そうに声をかけ、手を差し伸べる。
「え…………」
(これって…………)
 倒れた水紗に輝が手を差し伸べている。引き起こしてあげようとしている。そのためには、手を繋ぐことが必要で、輝は水紗がそうするのを待っている。
(本当にいいの……!? みーちゃん、汚いのに…………)
「立つの無理か? なら、おぶって保健室まで連れて行くけど……」
「あ、あの、だ、大丈夫! 立てるよ、だから…………」
 水紗は、震える右手をおそるおそる差し出した。
 その小さな手を輝の大きな手が掴む。
「あっ…………」
 水紗も、その手をそっと握り返した。
(うそじゃないよね…………みーちゃん……結城くんと、手を繋いでるんだ…………!!)
 引き起こされるまでの時間は1秒もなかった。しかし、水紗には夢のような時間であり、永遠のように長く感じられた。

「よかった、怪我がなくて安心したよ」
「………………」
 立ち上がった水紗の手が輝の手から離れた。でもその感触とぬくもりが、水紗の右手には残っている。好きな人と手を繋ぐことができた感動の余韻が、水紗から言葉を奪っていた。
「でも、どうしたんだ、そんなに急いで」
「……あっ……あの、ごめんなさい、みーちゃんその…………っ!!」
  グピィィィピィィィィィギュルルルルルグピィーーーッ!
  ギュルルルルルルルルピィィギュルゴロロログウーーーーーーーッ!! グルルッ! ギュルルルギュリッ!!
  ゴロロロギュリリリリリゴロロロロロロロロロロロロッ!! ゴロロギュルギュリリリッ!!
  ゴロッグルルルルルルルルルルルルゴロロロロロロロロロロロロロロロロギュルーーーーーーーーーーッ!! ギュルギュルピィィギュルルッ!!
 走っていた理由を意識した瞬間、水紗のお腹に激痛が走り、猛烈な便意が直腸を押し広げる。水紗はお腹を抱えて前かがみになった。
「どうした? どこか痛めたか?」
「……ご……ごめんなさいっ…………ちょっと……!!」
「綾瀬……?」
「す、すぐ戻るから先に行ってて!! おねがいっ……!!」
 水紗はそう言って、お腹を押さえたまま輝の横をすり抜けるように走り出した。

(早く…………で、でもまたぶつからないように気をつけないとっ……)
 水紗は渡り廊下を駆け抜け、曲がり角でわずかに減速して、見えた職員用女子トイレに向けてまた駆け出した。
  グギュゥピーーーーーーーーグルルルッ!! グギュゥギュルグギュルルッ!
  ゴロギュルルルピーーゴロロロロロロロギュルグウーーーーッ!! グピィゴロピィーーーーーーーーーピィーーーーーーーーーーーーーッ!!
  ゴロッギュルルルルルルルルグギュルーーーーーーーーーーーーーーッ!! ゴロロロロロロロロピィーギュルギュリリリリリリリリリリリッ!!
「あ、あっ…………」
 トイレに駆け込む寸前、水紗はまた猛烈な便意に襲われた。立ち止まってお腹を押さえるが、膨らみ続けるお尻の穴を押し留めておくことができない。
  ビュッ……!! ブジュ……!!
「だめぇっ…………!!」
 下着の中が熱くなった瞬間、水紗は右手でお尻の穴を押さえつけた。限界を超えて我慢するための最後の手段。誰かに見られたら下痢が我慢できないことが丸わかりの恥ずかしい姿。水紗にはもうこの手段しか残されていなかった。
(お願い、お願いだから出ないでっ……!!)
  ギュルルギュルルルルルグピィィィィィィゴログルルルッ!!
  グギュルルルルギュルルゴロロロロロロッ!! ギュルルルルギュリギュルルグウーーーーーーーーッ!! グピーギュリゴロロギュルーーッ!
  ゴロピィーーーゴロロロロロッ!! ゴロギュルーーーーーーーーーーーーーーグギュルルルルルッ!!
  ブジュ……ブピ…………ブビィッ…………!!
 水紗は言うことをきかない自分の体に切実な願いを訴え、お尻を全力で押さえ続けた。拮抗。肛門を押し戻すことはできないが開き切ることは辛うじて阻止している。しかしその間にも、下着の汚れはわずかずつ広がっていた。
  グギュゥゥゥゥゥーーーーーーーッ……………!!
「あっ…………!!」
 瞬間、便意の波が引いた。ぎりぎりの攻防に耐えきり、水紗は直腸内の水便を体内に押し留めたのだった。次の波にはもう耐えられない。水紗は脇目も振らずトイレに飛び込んだ。個室を選ぶ余裕はなく目の前にある一番近い個室に転がり込む。そこはわずか20分前までしゃがんでいた個室だった。便器の側面には水紗が飛び散らせた水状便の汚れがまだくっきりと残っており、その時の刺激臭がまだ消えきっていない。でも今の水紗にはそんなことはどうでもいい。とにかく便器があれば何でもよかった。

(お願い、今度は間に合って……あとちょっとだけだから……!!)
  ゴロッグルギュルーッ! ギュルルッ!!
  グピーーーーーーゴログギュルルッ!! グギュゥゥピーピーーーーギュリリリグピィーーーッ!
  ギュルゴロロロロロッ!! グピーピィーーピィィィィゴロロロロッ!!
  グピーーーーーーーギュルルルルルルピーーーーーーーーーーーーピーーーーーーーーーーーーゴロロロロッ!! ゴロッギュリグルギュロロロッ! グピィィィィィグギュルッ!
 水紗は慌てて便器をまたぎ、スカートを跳ね上げて下着を下ろす。お腹がゴロゴロと鳴り、さっき押し戻した水便が量と勢いを増して肛門に押し寄せてくる。漏らすのが早いかしゃがむのが早いか。開き始める肛門を必死に締め付けながら、水紗は汚れた和式便器にしゃがみ込んだ。

(よかった、間に合った……!!)
  ビュッ!! ビチビチビチブジュッ!!
 間に合った。今度は壁と床を汚さずに済んだという当たり前のことに喜びを感じながら、水紗は肛門を解放しようとして息を飲んだ。
(だめ、今度は汚さないように……!!)
 全力で噴射してしまったために靴と靴下を汚してしまった水紗。これ以上汚したら、輝に気づかれてしまうかもしれない。水紗は慎重に少しずつお尻の穴を開き、水便の飛び散りを抑えながら排泄しようとした。
  ゴロッギュルルルルルッグギュルルルルルルルルッ!!
  グルルルルルグピィッ!! ゴロゴロゴロッ!! ギュルルルルルルゴロロロロログルルルルルッ!!
「あっ!!」
  ビュルルルルッ!! シャーーーーーーーーーーーッ!!
 水紗が肛門をわずかに開いた瞬間、水便がほとばしった。しかし、その水便は便器の中ではなく、水紗の右足近くの便器の横縁を叩いていた。至近距離で発生した水飛沫が、一瞬にして水紗の右足の靴と靴下を汚していく。
(あああっ…………!! 変な方に飛んじゃった…………!!)
 肛門があまり膨らまずに水状便が出るとおしりの曲面を伝って流れ落ち、お尻に水状便の流れができている状態になる。そこで新たにあまり強くない勢いで水便を出すと、すでにお尻側に流れている水状便に肛門から放出される便が引っ張られてお尻の曲面に沿って放出され、斜め横下方に飛んでいくという現象が発生しうる。水紗はその原理を理解していたわけではなかったが、経験的にこんな飛び方をしてしまうことは何度もあった。全力で噴射しているときではなく、慎重に出そうとした時や、一度出し切った後少量の水便が流れ出すような時に多く経験することもわかっていた。


(だめ…………これじゃもっと汚れちゃう…………でも…………!!)
  グルルルルルルルルルルルルルグピィーッ!! ギュルルゴロログピィーーーーッ!!
  グギュゥゥゥゥゥゥゥギュリリリリグルルルルルルルルルルルピーーーーーーーーーーーーーーグウーーーーーーーーッ!! グギュルルギュリピーーゴロロロロッ!!
  ゴロピーーーーーーーーーーーーーーーゴロロロロロッ!! ゴロッピィィィィィゴロロロロロギュリッ!
 激しく飛沫が飛び散るのを覚悟して勢いよく出すか、斜めに射出されるリスクを許容して慎重に出すか迷っていた水紗。決断できないまま数秒が過ぎると、業を煮やしたかのように腸が大きくうねる音が響き、凄まじい圧力が押し寄せてきた。
 水紗にはもう耐える力は残っていなかった。
「あぁ……………痛いっ…………うぅぅぅ!!」
  ビュッビチィィィィィィィィビュルルルルルルルルルビチィーーーッ!! ビィーッ!
  ビシャブビューーーーーーーーーッ!! ブパッブシャーーーーッジャーーーーッ!!
  ビュッビシャーーーーーーーービシャーーーーーーーーーッビチィーーーーーーーーッ!!  ビュルッビチャジャービィーーーーッビュルーーーーーーーーーッ!!
  ブシャビシャービチィーーッジャアアッ!ブシャビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッビチィーーーーーーーッ!! ジャァァァァァァァァビィィビシャアアッ!
 水紗のお尻の穴が一杯に開き、とてつもない勢いで水下痢が噴射される。便器の中を一瞬で黄土色に染め上げなおも途切れずに滝のように水流が注ぎ込まれる。飛沫は便器の側面どころかその上まで跳ね上がり、床と靴と靴下を汚していく。一瞬遅れておしりの両側に水便が流れ落ち始め、その途中から便器の中に黄土色の水滴が落下していく。

「んぅぅっ…………!! あっ…………うくっ…………」
  ゴロロギュルルピィーーーグウーーッ!
  ブシャビュルーーーーーーーッビシャーーーーッ!! ビシャビューービィィィィッ!
  ブジャッビシャァァァァビチィーーーーーーッビシャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! ビィーッ!
  ブジャッビィィィィッ!! ビュビィィィィィィィィィィィィィィブシャァァァァァァァァァァァァァァァビュルーーーーッ!!
  ブピッビチィーーッビシャーッビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!! ビュルッビシャビィーーーッ!!
 お尻の真下の水を押しのけ跳ね上げながら水状便が注がれ続ける。水紗の腸の中を埋め尽くしていた汚水がとめどなく噴き出し、便器の中を満たしていく。
「ふぅぅぅぅ……………んっ……あっ!!」
  ブシャッブシャァァジャァァァァァァァビチィーーーーーーーーーーーーッ!! ブシャビューービチャビシャビチィーーッ!!
  ブシャッビュルーーーーーーーーーッビュルビシャアアッ!! ビュルッビィーーーーーーーーーッビュルルルルルルッ!! ブシャッビュルルルルビチビチビチブジュブジュブジュブビッブーーーーーーーーーッ!!
(い、いや…………すごい音…………)
 勢いよく注ぎ込まれていた水便が途切れると同時に、腸の奥に押し込められていたガスが泡となって水便とともに吐き出され凄まじい爆音が響き渡った。トイレのドアの向こうの廊下まで響いてしまいそうな大音量。

「はぁ…………はぁっ…………うぅぅ…………」
  ギュルッ…………ゴロロロロ…………!!
 直腸に押し寄せてきた水便を大量に吐き出した水紗はやっと一息つくことができたが、まだお腹は締め付けるように痛み続けている。程なく次の濁流が押し寄せることは間違いなかった。
(お腹痛い…………さっきしたばっかりなのに…………)
 輝に連れてきてもらってトイレの中をぐちゃぐちゃに汚しながら排泄したのはわずか30分前。泣きそうになりながら後始末をして、会議室に戻った時にはまたお腹が痛くなり始めていた。完全にお腹を壊してしまっている。
(…………また…………出るっ…………!!)
  ゴロロロロゴロロロロロロロロピィーーッ!! グピーーーーグルピィーグルルルルルルッ!!
  ギュルゴロロロロロロロロロギュリリリリリリッ!! グギュルルルルルルルルピーーーーーーーギュリリリリッ!!
  ブパッビシャビチィーーッ!! ブジャッビシャァァァァビュルルルッ!!
  ブシャビィィィィビシャーーーーーーーーーッビチィッジャーーーーーッ!! ジャァァァァァブシャァァビビィッ!!
  ブジャッビシャーブシャッビィーーーーーーーーーーーーッ!! ビュッビィーーーーッビチィーーーッ!! ビュジャーーッビュルルルルルーッ!!
  ブピッビチャビシャアアアアアアアアアアアアアアッ!! ビュッビィィィィィジャアアアアアアッ!!
 強烈な痛みがお腹の上から下へと移動した次の瞬間、水紗のお尻の穴がまた熱くなった。すでに黄土色の海と化した和式便器の水面に水便の水流が降り注ぐ。着水の衝撃で水たまりが波打って便器の底の白い陶器面が見える。跳ね上げた水飛沫が便器内外に飛び散り、お尻から飛び出す水流の周りにも無数の水滴が舞う。靴下に冷たい水滴が染み込む寒気のするような感覚。これだけ出してもまだお腹が楽にならない。


(…………お願い…………止まって……!! 早く戻らないと…………結城くんに、また下痢してたって気づかれちゃう…………!!)
  ゴロゴログウーーーーーーーーーーーッ!! グギュゥグピィーーッ!!
  ビシャーーーーーーーーーッビチィッ!! ブシャビチィーーッビシャーーーーッ!
  ブパッビチィィィィィィィビュルブビューーーーーーーッ!! ビュビチャブシャーーーーッ!
  ビュルッビュルジャアアアアアアッ!! ブパッブシャーーーーッブビューーーーーッ!!
  ブシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッジャアアアアアアッ!! ブパッブシャァァァビュルルルルルッ!!
 とても早く戻れそうな気配のない音を立てながら水紗のお尻から水便が迸る。痛み続けるお腹を左手でさすり、右手で膝をつかんで倒れそうな体を支える。目を開けることもままならない苦痛に歪んだ表情。青ざめた顔には無数の汗の水滴が浮かび、目からは涙がこぼれ始めている。
「うぅぅっ…………!!」
  ブピッビチィーーーーッビィッ!! ビシャビシャーーーーービュルルルルッ!!
  ビチィィィッビィィィィィィビシャァァビシャーーーーーーーーーーーーーッブジュッ!! ビュブシャァァビュルビューーーーッ!! ブビュルルッ!
  ブシャブシャビシャーーーーーージャアアアアアッ!! ビュジャァァァァァビィーーーーッ!! ブピッビチィーッブビューッ!
  ビュルッビチィィジャアアーーーーーーッ!! ブピッビィィィィィィィィィィィィィビュルーーーーーーーーーーーーーーーーッ!! ブビュッビチビチビチブビビビビイッブジュビィッブジュジュジュジュジュッ!!
 水紗の小さな体から生み出されているとはとても考えられないひどい音とにおい。そして、便器の中をぐちゃぐちゃに汚し続ける水便の洪水。腹痛に耐えて水便を絞り出し終えると、また腸内ガスが泡となって炸裂し爆裂音を連発する。苦痛と羞恥の波状攻撃から、水紗はまだ解放されていなかった。
(早く…………早くしなきゃ…………!!)
「んっ…………んぅぅ!!」
  ブジャッブシャァァァァァァァァビチャビィィィィィィッ!!
  ビュルッビシャァァビュビチィーーーッビシャーーーーッジャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!! ビュビチィィィィィブビュビィィィィッ!!
  ブパッビシャァァァァァァァァァァァァビシャビシャーーーーーーーーーーーーーッ!! ブピビシャーーーーッビチィーーーーーーーーーッ!! ビュルルルルルッ!!
  ビシャッジャァァァァァァァァブビィィィィィィッ!! ブピッジャアアアアアアアアッ!! ブパッブシャーッビュルビチィーーッ!
 水紗は涙を流しながら痛むお腹に力を込め、お尻の穴をいっぱいに開いた。一瞬遅れて凄まじい勢いで黄土色の鉄砲水が便器を削るほどの勢いで飛び出していく。
「っくぅぅぅ…………うぅんっ………………早く……っ……!!」
  ブピッビシャーーーーーーッビィーーーーーーッブビューーーーッ!! ビュルッ!! ブピッビチィィィビチィーッ!!
  ブピッビィィビュビシャジャーーッ!! ビシャビシャァァァァァァァァビィィィィィィブビューーーッ!! ビシャビュルビュルルルッ!
  ビュブシャーーーーーーーッビシャァァァァァァァァビィィィィッ!! ビュッビシャビシャァァァァァァァァァァァァジャアアアアアッ!! ブピッビューーージャァァァァブシャーーッ!!
  ビュルッビューーーーーーーーーーッビチィーーーーーーーッ!! ブシャッビシャビチビチビチィーーッブビビビビビ!!
  ビュルッ! ブピッビシャーージャージャアアアアアアアアアアアアッ!! ジャァビィィィビュビィィィィィィィッブビビチビチビチブジュッブジュビジュジュジュジュッブビィィィィィィィィ!!
  ブジュブジュブジュッブビッブジュジュジューーーーーーーーッ………!!
 水紗の苦闘がようやく実を結び、水状便の噴出がやっと収まった。肛門で弾けたガスが膜のようになった水便を膨らませていくつもの泡を肛門のすぐ外側に形作る。


「はぁっ…………はぁっ…………」
(お…………終わった…………?)
  ブピッ…………プジュッ…………ブジュジュッ…………!!
 全くいうことを聞いてくれなくなったお腹の具合は自問してもわからず、気まぐれなタイミングでまた猛烈な便意を引き起こすことが予想される。ただ、今この時には何とか落ち着いてくれていることは確かだった。

(早く拭いて戻らなきゃ…………下痢してたって気づかれちゃう…………)
 水紗は息を整える間も惜しみ、紙に手を伸ばした。
「あ――!!」
(どうしよう、紙が足りなくなってたんだった……!!)
 さっき水紗が個室中を汚して大量に使ってしまったせいで、この個室の紙の残量はほぼなくなっていた。お尻を拭ききれるかどうかすら怪しい。肛門の汚れは何回拭けばなくなるかわからないし、肛門から流れ落ちた水流がおしりの両側に川を作り曲面の最下部から滴っている。そしてお尻全体に飛び散っている黄土色の雫。激しい排泄のために便器の中から跳ね返ってきた水便の飛沫だった。さらに靴と靴下に飛び散った雫。ひときわ濃い黄土色の汚れの周りに、黄色い水分が染み込んでいる。
(と、とにかく早く靴と靴下拭かなきゃ……できるだけ少なめの紙で……)
 水紗は染み込みの被害を最小化するため、まず靴と靴下を拭きにかかった。広がってしまった黄色い染みはどうしようもないが、中心の汚れは吸い取ることができる。できれば1回で拭ききりたかったが、拭いた汚れを別のところになすりつける二次被害を避けるために、紙を3回巻き取らねばならず、残ったわずかな紙の半分程度を消費してしまった。
(ど、どうしよう…………汚れ…………落ちない…………)
 それでもなお、靴の後ろ半分は遠目にも黄色い色が目立つほどになってしまった。靴下もかなり無惨な状況で、これで電車に乗るのは憚られるほどだった。水紗は靴下を半分に折り返し、かろうじて汚染を免れた上の方の裏面を表に出すことで、恥ずかしい汚れを隠そうとした。
(おしり…………きれいになるかな…………?)
 あと3回分くらいしか紙は残っていない。できるだけ効率的に使わないと。お尻に飛んだ飛沫を拭いて回り、最後に折りたたんで肛門に当てて水便を吸わせる。少しずつ動かして白い部分を染めていくように肛門を押し拭っていく。2枚目の紙はおしりの両側に流れ落ちた水便の川を拭い取るのに使い、また最後に肛門に押し付ける。3枚目は予想していた半分の長さで切れてしまった。お尻の穴を少しずつ閉じながら、外側ににじみ出る黄土色の汚水を吸い込んでいく。
(…………紙…………終わっちゃった…………どうしよう…………!!)
 お尻が完全に拭けたかわからないが、すべての紙を使い切ってできるだけの後始末をした。しかし、便器の内外は手つかずである。便器の外まで飛び散った飛沫が、今もなお水紗の排泄の激しさを物語っている。最初に右足近くに噴射してしまった水便は飛沫どころではなく水たまりを作り上げていた。

「……………………どうしよう…………」
 水紗は隣の個室から紙を取ってこようとしたが、そちらにもごくわずかしか残っておらず、厚く巻き取った紙は最初にこぼしてしまった水たまりを吸い取りきれずに終わってしまった。トイレの中を見渡したが予備の紙や掃除用具入れも見当たらない。
(職員室に言って、紙をもらってきて…………でも、勝手に使っちゃったのがわかったら怒られるかも…………でも、このままにしておくわけには…………荷物の中にティッシュはあるけど流せないし……)
 よその学校のトイレを借りて汚したまま立ち去るのは、真面目な水紗には耐えられなかった。しかし、掃除するための道具を手に入れるには一層の恥ずかしさを乗り越える必要がある。その勇気も水紗には出せなかった。
 水紗はどうしたらいいかわからないまま顔を落とした。便器の中のすさまじい汚れが目に入っていくる。使い終えた紙がすべて黄土色に染まり、その紙が吸い上げた後とは思えないほど大量の黄土色の汚水がなみなみとたたえられている。水紗は目が眩みそうなすさまじい光景と鼻がきかなくなりそうな刺激臭に耐えかねて水を流した。

(ゆ、結城くんに頼んで男子トイレから紙を持ってきてもらう……………だめ、そんなの絶対恥ずかしくてできない…………ちゃんと拭いてないって思われちゃったら…………)
 水紗が迷いながら手を洗っていると、突然トイレのドアが開いた。
「ひゃぅっ!?」
 水紗の母親ほどの年齢の女性教師が入ってきて、彼女の小さな姿を見て問いかけた。
「あら? 星女の生徒さん? どうしたの?」
「あ…………あ、あのっ、ごめんなさいトイレ勝手に使っちゃって……!! その、七夕交歓会の打ち合わせで…………」
 水紗は慌ててトイレを勝手に使ったことを謝った。
「そうだったの。いいのよ気にしないで。生徒会室の方で打ち合わせしてたのかしら? 不便でごめんなさいね」
「あ、ありがとうございます…………あ、あのっ、すみません、紙がなくなっちゃって……」
「あら、ごめんなさい。大丈夫だった? 補充しておくから気にしないでいいわよ」
「す、すみません…………あ、あのっ、ちょっと汚しちゃって、掃除しなきゃいけなくて…………紙、一緒に取りに行きます」
「なんだ、そんなの気にしなくていいのよ。私がやっておくから」
 水紗は紙を持ってきてもらって自分で掃除するつもりだったが、目の前の教師は親切にも代わりに掃除しておいてくれると言っている。しかし、並大抵の汚れようではない水下痢の痕跡を掃除してもらうのはあまりに恥ずかしかった。
「で、でも………………お願いしますっ、自分でやりますから」
「…………そう、わかったわ…………気にしなくていいのに、真面目なのね」

「…………あの、本当にありがとうございました」
 水紗は持ってきてもらった紙を使って数分かけて汚してしまった個室を綺麗にし、用を足し終えて個室から出てきた教師に改めてお礼を述べた。
「本当に気にしないで。紙が足りなかったのはうちのせいなんだから」
「あ、ち、違うんです、たくさん残ってたのに、さっきたくさん使っちゃって………」
「いいのよ。それより、準備大変でしょうけどがんばってね。私も星女だったから懐かしいわ」
「えっ…………そ、そうなんですか?」
「ええ、そうよ。その頃から七夕はあってね、私は全然話せなかったんだけど、楽しかったなってことは覚えてるわ。……今回も、楽しい会になるといいわね」
「は、はいっ……がんばりますっ……!!」
 思いがけず応援してもらった水紗は少しだけ温かい気持ちになり、会議室へと戻っていった。

「…………ご、ごめんなさい…………時間かかっちゃって…………」
 水紗は少しふらつきながら、顔を真っ赤にして会議室に戻ってきた。見てはいけないほど汚れてしまった靴の内側と後ろ側を隠すように脚を閉じている。
「みーちゃん、大丈夫?」
「う、うん…………心配かけちゃってごめんなさい…………あ、あの、大丈夫だから続きを…………」
「だめ、みーちゃんはいつも無理しちゃうんだから。今日はもう帰って休みましょう」
「中川さんの言う通り、今日はこれでお開きにしよう。結城と綾瀬さんのおかげで思ったより進んでるから大丈夫さ」
「両生徒会長もこう言ってるし、綾瀬は気にしなくていいよ。おれが家まで送ってくから、早く帰ろう」
「でも…………え…………えっ!? 結城くんが、家までって、ええっ!?」
 突然の展開に驚く水紗に、優佳が小さな声で耳打ちする。
「……みーちゃん、私が頼んだの。途中で倒れちゃったりしたら大変でしょ?」
「で、で、でもっ…………今は、その…………」
「結城君って、ちょっと鈍いけど頼りになると思うから。……帰り道にもっとお話もできるし、ね?」
「そ、そうだけど…………今はその、だめだよ…………きっと途中でトイレ行きたくなっちゃうから…………」
 消え入るような、というより本当に聞き取れないような小さな声で水紗は懸念を口にした。お腹の調子が悪い時は、30分ほどの電車乗車時間の間に3回も4回も途中下車してしまうことがある。
「大丈夫、結城くんはそんなこと気にしないから。みーちゃん疲れてるから座れるように各駅で帰るように言ってあるし」
「で、でも…………」
「みーちゃん。私から見てもかなり具合悪いから、一人で帰るのは本当にやめたほうがいいわ。家族に迎えに来てもらうとかでもいいけど…………でも、お母さんまだ体調が良くないんでしょ?」
「う、うん…………でも…………」
「私も門限がなければ一緒に行けるんだけど……やっぱり、結城君に送ってもらうのが一番いいと思うわ」
「……………………うん…………」
 水紗はかなりの時間逡巡していたが、実際に足がふらついていたことも考え、送ってもらうのを受け入れることにした。確かに途中で倒れてしまったらもっと大変なことになる。
「じゃあこれで解散か…………あ、そうだ、連絡先聞いとかなきゃ。少なくとも実行委員長同士は…………って、ふたりとももう知ってるか」
「……いや、実は知らないんだ」
「はぁ!? 嘘だろ? 最近でも時々話してたんじゃないの?」
「……あ、あの、本当なの。駅で会ったときに話すくらいで………………」
「じゃあいい機会だから連絡先交換しときなよ。あっ、俺にも教えてくれると嬉しいな」
「小林君、いいけど絶対変なことに使わないでね」
「……綾瀬、俺のはこれ」
「あ…………う、うん…………じゃあ……ありがとう…………」
 水紗は手を震わせながら輝の電話に表示された二次元バーコードを読み取った。登録ボタンを押すと、輝の名前が水紗の携帯電話の中に表示される。
(結城くんの、電話番号…………いつでも、連絡できる…………って、だめだよ、学校行事のためなんだから、勝手に使っちゃ……)
「結城君、私の連絡先も教えておくわ。大丈夫だと思うけど帰り道何かあったら連絡して」
「ああ、ありがとう」
「じゃあ帰りますか。ふたりとも気を付けて」

 こうして、その日の打ち合わせは予定より早く解散となった。


 一度体調を崩してしまった水紗のお腹の具合は全く良くならず、帰り道でも何度もトイレに駆け込むことになった。
 学校最寄りの渋谷駅で空いているトイレを探し、乗り換え駅の明大前でもトイレに行こうとしたが混んでいて入れず、我慢して各駅停車に乗ったもののすぐ耐えられなくなり次の駅で降りてトイレに飛び込んだ。お腹が痛くなり、このままでは我慢できなくなるとわかっていながらも、輝にトイレに行きたいと打ち明けるには相当の勇気が必要であり、羞恥心を便意の切迫感が上回ってやっと口を開ける様になり、その時にはかなり限界が近くなっていた。下痢が止まらず長時間トイレから戻ってこない水紗を、輝は嫌な顔をせず待っていてくれた。
 途中の明翠学園前でまた途中下車したが、トイレの中で行列ができており、渋谷駅で一度履き替えたパンツにちびった汚れをつけてしまった。大量の水分を失ってふらついてしまい、ホームのベンチに座り込みながら輝にスポーツドリンクを買ってきてもらうことになった。水紗は恥ずかしさと情けなさを感じながらも、優佳の言っていたことが正しかったと思い、輝と優佳に心の中で深く感謝した。
 その後はやや落ち着いたかに見えたが、家の最寄り駅を出て歩き始めた時にまたお腹が痛み始め、徒歩10分の家に着く頃には今にも漏れそうなほどになっていた。まっすぐ電車で帰れば45分程度の道のりだったが、何度もトイレに駆け込みながらの帰り道はその倍以上の時間がかかっていた。時間は19時近くなり、日が長い5月とはいえ辺りはかなり暗くなっている。

「あ、あの、結城、くん……あ、ありがとう、送ってくれて」
「気にしなくていいって。早く家に入ってゆっくり休んだほうがいい」
「う、うん…………ごめんなさい…………あの、またね」
「ああ。じゃあまた」
「…………」
 水紗は輝の姿が見えなくなると同時に玄関の扉を閉め、トイレに飛び込もうとした。
  ガチャ、ガチャ
「え、えっ!?」
 飛び込もうとしたトイレの扉が閉まっている。
「みーちゃん? ごめんね、お母さんもちょっとお腹痛くて……急いで出るからもうちょっとだけ待ってて」
「え、う、うんっ…………」
 トイレの中からは水紗の水下痢と同じような水音が響いていた。2ヶ月前に乳癌の手術をした母は再発予防のために化学療法を定期的に受けているが、その副作用が強く、強い倦怠感と激しい下痢に苦しんでいた。お腹が丈夫でないとはいえ水紗のような極端な下し方はしていなかった母だったが、ここ数週間は水紗と同じかそれよりひどい下痢の症状を呈してしまっていた。
「……はぁっ………………ごめんね、お待たせ、みーちゃん」
「あ、ありがと…………うぅぅっ……あっ!!」
  ブジュッビチブジュブピッ!!
 トイレの扉を閉める前にお尻から響いてしまった破裂音。水紗は慌てて下着を下ろし、便座に座り込んだ。
「うぅぅぅ……!!」
  ブシャッジャァビュルルビシャーーーーッ!! ブシャビシャァァァァビィィッ!!
  ビュッビチャジャアアアアアアッドボボボボボッ!! ブジャッビュルーーーーーーーーーーーーーーッビュルーーッ!!
  ブピッビチィーーーーーーッビュルーーーーーーーッ!! ビュルッジャーービィィィジャーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
  ブピッビシャァァァビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーッビュルーーーーーッ!! ブピッビュルルビュルーーーーーッビューーーーーッビシャアアッ!!
  ブシャビュルビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーッジョボボボボボッ!! ブジャッビチィーーーーーーーッビシャーッ!!
  ビシャジャーービュルルルルッ!! ブピッビチャビュルビチィィィィビュルーーーーーーーーーーーッ!! ビュッブシャーーーーッジャアアアアアアアアアアッ!!
 帰り道に補給した水分がそのまま出てしまっているかのような凄まじい勢いで、水状便が便器の中に注ぎ込まれた。
(…………またやっちゃった…………)
 水紗は、両足の間に下ろしたパンツの中央に、ちびったとはとても言えない量の水状便の染みが目に入り、泣きそうな気持ちになった。誰にも見られていない……特に、一番知られたくない輝には見られずに済んだとはいえ、かなりの量をパンツに漏らしてしまった。家に帰って、トイレにたどり着いて、あとちょっとだったのに。しかし薬の副作用で下痢に苦しむ母を責めることはできず、水紗は我慢できなかった自分の情けなさを悲しむことしかできなかった。

(みーちゃん、もう3年生なのに…………)
 水紗は一層深く視線を落とし、自分の体を包む紺色の制服を見た。来年はもうこの服を着ることはない。高等部の制服は、後ろ襟に二つの星が刺繍された黒のセーラー服。伝統ある制服に袖を通すことへの期待を少しずつ感じながらも、中等部の制服がまだ大きく感じるということは、中学3年間でやるべきことを終えていないのではないかという不安も覚えていた。
 中等部を卒業する前にやるべきこと。もっと勉強して試験でいい点が取れるようにならないと。生徒会長になった優佳から引き継いだクラス委員を、今度こそちゃんとやり遂げてみんなの役に立たなきゃ。みんなが楽しみにしている七夕交歓会も成功させたい。それから……。小学校の卒業式の時からずっと、思い続けていること。……でも、今日みたいに情けなくて恥ずかしい失敗ばかりしているようでは、まだまだその言葉は言えそうにない。

(……………………もっと……もっとがんばらなきゃ…………)
 水紗は温水洗浄便座を活用して後始末をしてトイレから出て、汚してしまった下着を洗った。ちびっただけの2枚は洗剤でもみ洗いするだけできれいになったが、最後に漏らしてしまったパンツは全く落ちず、漂白剤につけないといけなかった。情けないけれど少しずつ白くなっていく下着を見て、気分が良くなる作業ではあった。
(…………子供っぽいパンツも、そろそろ卒業しないと…………)
 水紗は、輝と廊下でぶつかった時の出来事を思い出して顔を赤くした。ちびった時に汚れが外側に見えにくく、かなりの量を漏らしてしまってもこぼさずに済むコットン生地の子供用のパンツを愛用していたが、万が一見られてしまった時に本当に子供っぽいと思われてしまう。
(結城くん…………)
 水紗は手をよく洗って携帯電話を手に取った。
 勉強も頑張らないといけないけれど、今日はもう一つだけできることがある。

(…………こ、これは行事の連絡だから。連絡先の確認もしないといけないし。だから…………)
 水紗は小さな胸を高鳴らせながら文字を入力し、震える手で送信ボタンを押した。

『連絡先教えてくれてありがとう。
 今日はみーちゃんのせいで途中で終わりになっちゃってごめんなさい。
 一緒に帰ってくれてありがとう。駅でふらついちゃった時、結城くんがいてくれて本当に助かったよ。
 一生懸命がんばるから、七夕交歓会楽しい行事にしようね!』

「………………………………あっ」
 どきどきしながら待っていた数分後、マナーモードのままになっていた電話が震え、水紗は一秒すら惜しむように通知をタップした。
「…………………」
(結城くん…………ありがとう…………)
 水紗は画面に表示された文章を食い入るように読み、両手で電話を包みこんで抱きしめるように胸に押し当てた。

「お母さーん、遅くなってごめん、ごはんの準備手伝うよ!」
 水紗は制服を脱ぐ時間も惜しみ、体調の優れない母を手伝うため台所に向かっていった。


ぴーぴーMate Episode.3 二つの星が出逢う時 Fine.
To Be Continued...



キャラクター紹介

綾瀬 水紗 (あやせ みさ)
「ごめんなさい、みーちゃんその……すぐ緊張しちゃって……」
14歳 星雅女子学院中等部3年2組
142.1cm 34.3kg 68-48-69
ぴーぴー属性:水状便(-90) 神経性下痢(重度) 持続性下痢 ちびり体質 お尻押さえ我慢 不運(トイレ行列中)

 都内の名門女子校である星雅女子学院中等部に通う少女。
 小柄で子供っぽい体型。胸はとても小さく、服の上からでは完全に平坦に見えるほど。青みがかったきれいな黒髪を首の後ろで二房に結び、胸の前に下ろしている。
 学年1位の秀才である輝や優佳と比べても2倍以上計算が早いという驚異的な計算処理能力の持ち主。優等生の多い星女の中でも上位レベルの学力を持っているが、プレッシャーに極めて弱く、肝心な試験では実力を発揮できないことが多い。得意科目は数学、次いで理科。中学受験塾を経て入学する生徒が多い中、特別な特訓をせず学校の勉強だけで受かってしまっており、潜在的な素質は非常に高い。
 真面目でおとなしい性格だが、受け身であるものの女子とは明るくしゃべることができ友達も多い。仲の良い友達と話す時は自分のことを「みーちゃん」と呼ぶ。ただ、男子とはまともに話せないという極度の恥ずかしがりやな一面もある。幼い頃から周囲から「お利口さん」と褒められて育ったため、周りからの期待に応えようとしてしまう傾向がある。自分のことを「みーちゃん」と呼ぶのも、小さく可愛らしいマスコットのように思われていることを意識してそれを演じてしまっていることが理由である。常に周りのことを優先して自分の願望を抑え込んでしまう性格。
 小学校の同級生だった結城輝に片思いしており、星雅女子学院に進んだのも、女子校の方が安心するという理由以外に都内の私立男子中学に進学する彼と同じ電車で通って少しでも同じ時間を過ごしたいと思ったためでもある。恥ずかしがり屋で挨拶くらいしか会話できないが、それでも毎日顔を見られることは幸せだと感じている。
 生徒会長の優佳とは1年生の頃からの親友。入学直後、みんなの役に立ちたいとクラス委員を務めたものの緊張してうまくいかず落ち込んでいたが、その時に助けてくれた優佳を心から信頼し大切に思っている。明翠学園に通う大坪七海とは小学生時代の同級生で今でも仲が良く、誕生会にお呼ばれしたりしている。
 もともとお腹が弱い上に緊張するとさらにひどい下痢になってしまう体質で、試験は常に猛烈な下痢との戦いである。小学生の頃はそこまででもなかったが、成長するにつれて緊張を強く感じるようになり試験中の下痢も悪化の一途をたどっている。授業中や試験中に限界近くなり椅子に座ったままお尻を押さえて我慢していることも多い。一度調子が悪くなると翌日まで激しい下痢が続き何度もトイレに駆け込むことになる。
 普段は頭脳明晰でしっかりしているが、ひとたびお腹を壊すと激しい腹痛と漏らしたらどうしようという不安でパニック状態になって冷静な判断ができなくなり、間に合いそうにないのに我慢し続けて失敗してしまうことも多い。また、運良く我慢できてトイレにたどり着いても、トイレが行列してすぐに入れずあと一歩で漏らしてしまうこともある。通学電車では輝と同じ電車に乗るため特急に乗ることが多く、長時間停車しない区間で限界我慢していることも多い。

当日の排泄回数
1回目 06:02:15-06:10:22 8m7s 起床時 自宅トイレ(洋式) 水状便 ちびり12+345g
2回目 07:10:22-07:15:15 4m53s 通学中 西調布西駅改札内女子トイレ(和式) 水状便 便器外11+330g
3回目 08:05:12-08:11:45 6m33s 通学中 渋谷駅中央口トイレ(洋式) 水状便 ちびり32+453g
4回目 10:15:15-10:24:12 8m57s 2時間目後15分休み 星雅女子学院中等部3階トイレ(和式) 水状便 ちびり13+521g
5回目 11:20:22-11:24:43 4m21s 3時間目後5分休み 星雅女子学院中等部3階トイレ(和式) 水状便 ちびり33+便器外25+210g
6回目 13:02:22-13:13:24 11m2s 昼休み 星雅女子学院中等部3階トイレ(和式) 水状便 ちびり15+455g
7回目 14:36:22-14:43:15 6m53s 放課後 星雅女子学院中等部1階トイレ(和式) 水状便 328g
8回目 15:39:22-15:52:12 12m50s 放課後 天川中学校職員用女子トイレ(和式) 水状便 ちびり12+便器外165+540g
9回目 16:11:03-16:18:42 7m39s 放課後 天川中学校職員用女子トイレ(和式) 水状便 ちびり35+456g
10回目 16:56:26-17:04:52 8m26s 帰宅中 渋谷駅中央口トイレ(洋式) 水状便 285g
11回目 17:20:15-17:27:22 7m7s 帰宅中 桜上水駅改札内女子トイレ(和式) 水状便 便器外33+351g
12回目 17:42:12-17:47:33 5m21s 帰宅中 明翠学園前駅改札内女子トイレ(和式) 水状便 ちびり20+338g
13回目 18:35:33-18:48:22 12m49s 帰宅直後 自宅トイレ(洋式) 水状便 おもらし82+554g
14回目 19:15:12-19:21:22 6m10s 夕食準備中 自宅トイレ(洋式) 水状便 282g
15回目 20:33:22-20:41:01 7m39s 夕食後 自宅トイレ(洋式) 水状便 ちびり25+325g
16回目 21:45:15-21:54:24 9m9s 入浴後 自宅トイレ(洋式) 水状便 ちびり10+355g
17回目 23:12:15-23:18:54 6m39s 就寝前 自宅トイレ(洋式) 水状便 355g



中川 優佳 (なかがわ ゆうか)
「ふぅん。みーちゃんのこと、よく知ってるのね」
14歳 星雅女子学院中等部3年2組
154.2cm 47.8kg 79-53-82
ぴーぴー属性:下痢便(-75) 神経性下痢(軽度) 腹圧強化 方向音痴
 星雅女子学院中等部で生徒会長を務める少女。明治時代から続く都内の商家の娘だが、あまりお嬢様らしくはなく親しみやすい雰囲気。
 黒髪のロングヘアで、前髪は切りそろえて後ろ髪は首の後ろで一つにまとめている。体型は標準的で胸も大きくはないが年齢相応の膨らみがあり女性らしくなりつつある体型。よく通る美しい声の持ち主である。
 暗記に強い秀才型で、試験では安定して高得点を叩き出すことができ、星女でも学年1位が指定席である。文学・歴史の教養が深く特に国語と社会を得意科目とする。落ち着いていて大人びた性格だが、あまり流行や恋愛に興味がなく、同級生とは話が合わないこともある。コミュニケーション能力は低くないがどこか物足りなさを感じていることも多い。
 中等部1年の頃から同じクラスになった水紗と仲良くなり、3年生になった今は親友と言える関係になっている。水紗の実力をよく理解しているが、お腹を壊しやすい体質のためその実力を発揮できないことを不憫に思っており、助けてあげたいと思っている。はっきり聞いたことはないが水紗の輝への思いは察していて応援してあげたいと考えている。
 水紗ほど極端ではないが緊張するとお腹を下すことがあり、試験中にトイレで鉢合わせすることも時々ある。もともと知り合ったのも入学試験中のトイレであった。腹圧が強くかなりの勢いで下痢便を噴射してしまう事が多いが、その分短時間で排泄を終えることができ、試験中のタイムロスを最小限に抑えることができる。記憶力は高いが方向認識力が弱く道に迷いやすいところがあり、知らない場所ではトイレにたどり着けず焦ることがある。

結城 輝 (ゆうき ひかる)
「綾瀬はすごい才能があると思う。おれよりもずっと……」
14歳 天川中学校3年2組
172.3cm 54.6kg
 都内の名門男子校に通う少年。
 抜群の記憶力を誇り小学生の頃から天才と称されていた。暗記型の科目に強く社会科と英語では他の追随を許さないレベル。計算もかなり早い自信があったが、小学生の時に水紗の暗算の速さに衝撃を受けて自信を打ち砕かれ、より高い環境で自分を鍛えようと数学の授業に定評がある天川中学校に進んだ。
 周囲からは大人びた真面目な秀才、というイメージで思われており、本人もそうありたいと思っている。本来は年相応に女の子と付き合いたいという興味もあるのだが、そうすると勉強一筋の真面目な優等生という周囲のイメージが崩れると思って踏み出せずにいる。小学校の同級生で今でも通学時によく会う水紗のことは可愛いと思っているが、自分を上回る天才的な能力を秘めている彼女をそんな不純な目で見るのは申し訳ないとも思っていて、努めて普通に振る舞うようにしている。

小林 将樹 (こばやし まさき)
「ああ、俺細かいことはわかんないから全部任せるよ」
15歳 天川中学校3年1組
166.2cm 58.5kg
 都内の名門男子校で生徒会長を務める少年。学力的には中程度で、得意科目も苦手科目もなく「平凡」と自称する。「人を見る」力に優れており、高い能力を持つ人材を見つけて適材適所で実務を任せる調整型リーダーとして完璧な適性を備える。自分から前に出るタイプではなかったがクラス委員として人望を集め生徒会長に推されるまでになった。
 普段は口の軽いお調子者で、「細かいことはわかんないから任せる」と丸投げするのが常套手段だが、本当にやるべき時にはやる意思の強さと能力も持っている。結城輝とは1年生の時からの友人で、人との関わりは苦手だが能力を活かして皆の役に立ちたいと思っている彼を参謀役として見出し、信頼関係を築いている。
 口の軽い印象に違わず女の子には声をかけるのが礼儀だと思っており、優佳にも2年生の時に知り合ってまもなくデートの誘いをかけたが笑って断られている。


水無瀬 美衣子 (みなせ みいこ)
「みーちゃんは本当に真面目でいい子ね……もっと、わがままを言ってもいいのに」
39歳 小学校教諭
150.5cm 44.2kg 73-50-75
ぴーぴー属性:下痢便(-70) 持続性下痢 ちびり体質 お尻押さえ我慢
 水紗の母。小学校の先生で、数少ない中堅クラスの年齢層として精力的に働いていた。たまたま勧められて受けた人間ドックで早期の乳がんが見つかり、手術を受けて再発予防のため抗がん剤治療を受けている。治療が完了すれば再発率はかなり低いとのことだが、抗がん剤の副作用が強く、毎日ひどい倦怠感と激しい下痢に苦しんでおり、手術の前からずっと病気休職となっている。
 夫とは職場結婚し名字は結婚前のままにしている。一人娘の水紗のことは優しく慈しんで育て、高い才能を伸ばせるよう勉強にも付き添った結果真面目で勉強熱心な優等生に育ったが、内気な性格でいろいろな悩みを抱え込んでしまうことを心配している。
 小さい頃は水紗と同じく「みーちゃん」と呼ばれていた。

三上 雅恵 (みかみ まさえ)
39歳 天川中学校国語教諭
158.5cm 48.2kg 80-54-84
 天川中学校の数少ない女性教員。現代文を専門とし、文章の意図を読み解く高い感性をもっており、それを論理的に伝えることができる優秀な教師で、生徒からも人気がある。独身で、特段の美人というわけではないが男子校の生徒からは別の意味でも人気が高い。
 水紗の母、美衣子とは小学校で同級生であった。



あとがき

 初イラスト(立ち絵)、初ぴーぴー水下痢イラストを書いた記念すべきキャラクター、綾瀬水紗ちゃんの小説です。和式トイレ水下痢排泄のイラストの前後を描いた、自作イラスト先行の小説化で、小説が先行したはるかちゃんとは逆の制作順でした。どちらも後から作る方が制約条件が厳しくなるのですが、イラストは多少の矛盾はごまかせてしまうものの小説で文章化するとどうしても気になってしまうので、かなり制作に時間がかかってしまった気がします。とはいえどちらの順番でもできることはわかったので、今後もイラストと小説を描きたいように描いていきたいと思います。

 今回、イラストが排泄イラストの練習としてオーソドックスな和式トイレ排泄だったので、小説としても排泄内容はほとんどひねりがなく、イラストで暗示されている1回目に激しく便器の後方を汚してしまったぴーぴーフルコース描写をしっかり書くことを第一に考えました。本作の特徴としてはやはり、つぼみたちの輝き以来となるぴーぴーラブコメ描写で、好きな男の子の前でトイレに行きたいと言い出せなかったり、限界我慢状態でトイレに連れて行ってもらったり、お約束の曲がり角でぶつかっておちびりパンツを見られちゃうという伝統的な描写で恥ずかしく微笑ましいイベントを描いてみたつもりです。
 最近の作品では意図的に排泄シーン以外の分量を減らしていたのですが、今回はキャラ描写もしっかりしようとしたためそれ以外の場面も長くなってしまい、つぼみたちの輝きと同様の分量配分になったように思います。読むのに時間がかかるのは申し訳ないのですが、それに見合う魅力的な排泄シーンを用意しようと思っておりますので、ゆっくり読み進めていただければ幸いです。

 今回の評価は水紗ちゃんを気に入っていただけるかにかかっているのですが、いつものおかっぱちゃんよりは少し明るめの設定で、元クラスメート相手ということで丁寧語ではなく普通にしゃべってもらうことになりました。やはり一番の特徴は一人称「みーちゃん」で、名前一人称を上回る子供っぽさと可愛らしさがあると思うのですがどうでしょうか。
 ぴーぴー属性は水状便体質と神経性下痢を中心とするオーソドックスな構成で、これまで扱いが難しかった持続性下痢を使ってみました。「下痢が治らない」というのも非常に魅力的なシチュエーションなので、複数回排泄を描くのは大変ですができるだけ頑張ってみようと思います。トイレ行列中属性の出番がなかったので最後にお母さんと争奪戦してもらいました。ちびり体質はぴーぴー属性一覧の記述に従ってちびり率60%にしたのですがちょっとちびり過ぎな気も……ちびり体質(軽度)も作った方が良さそうですね。

 水紗ちゃんの話は今回は中学3年でしたが、本番は高校に入ってからで、星の刺繍付きの正統派セーラー服に身を包んでお腹を下しまくってくれる予定です。学校の試験でも神経性下痢で下しまくりなのに大学入試とかでどうなってしまうかは乞うご期待です。星雅女子学院は都内でこれまでの舞台とはちょっと離れていますが、小学生時代の話に七海ちゃんが出てきたように、明翠学園の子たちとも接点がありますので次の出番を楽しみにしていただければ幸いです。
 次回もお楽しみに。


戻る